第202話 傷だらけのお姫様
「よし。宿題終わった。」
数学の簡単なワークの宿題を数分で終わらせ、晩ご飯の準備をする。今日は刺身だ。刺身って美味しいよね。海外だと生で食べるのはちょっと...って感じだけど、日本は安心して食べられる。こういうところは本当に日本に生まれてよかったと思うよねぇ...。
「「いただきます。」」
お父さんと一緒に仲睦まじく刺身を食べながら、今日学校であったことや、鍛治の依頼についての話などをする。お父さんは寡黙で無表情な人だけど、長年一緒にいると今感じているような感情が分かるようになってくる。お父さんは嬉しそうに聞いてくれているから私も嬉しくなるんだよねぇ。
「ご馳走様でした。」
食後はミカンがあったのでそれを食べ、皿洗いをする。お父さんはもう既に鍛治場に行っていた。ちなみに今度の依頼は農業の機械刃らしい。お父さんの造る刃は本当に切れ味が凄いから余り手入れが要らないんだよね。私も真似ることはできるけど、やっぱりお父さんには敵わない。お父さんは十分だって言ってくれてるけど、やっぱりやるからには完璧を目指したいよね。
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明日の準備も終え、やることが無くなったのでログインする。
「......ん?」
「......すぅ......すぅ......。」
私がログインすると同時に上から聞こえてくる寝息。そして、私の体の上にある誰かの左手。そしてそして、私の顔の左半分を覆う柔らかい何か。
「セナ...さん...?」
「んっ...。ぅ...?あら...起きたのねぇ...。」
まだ寝ぼけているのか私を抱き枕にして、再び眠るセナさん。
「ちょちょっ!?お、起きてー!!」
「んもぅいいじゃなぁい......後少しぃ...。」
「私が嫌です!ほら起きてくださ──!...え?」
何とか上半身を起こし、セナさんを起こそうと振り返ると、そこには身体中傷だらけのセナさんがいた。
「え...ど、どうしたんですか!?」
「大丈夫よぉ...少し時間が経てば元通りになるものぉ...。」
元々細かった目をさらに細めて微笑むセナさん。なんだか消えてしまいそうな儚さを感じる。一体何があったというのか...。そして、こんな化けm...コホン。マリエスタさんのような強さをもつセナさんに誰がこんな傷を負わせたのか...。
「...誰がやったんですか...?」
「ん〜?フォルトゥナっていう子なんだけど...知らないよね。」
「セナさんに傷を負わせるってことはその人?は七大罪ですよね?」
「そうねぇ...。」
「...そもそも七大罪って何なんですか?」
「んー...。まぁアヤネならいっか...。まずはこれから。これらについて何も知らないと思うからね。」
そう言ってセナさんが語ったのは創造神と七大罪のことだった。
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はるか昔...。
突如として生まれた世界に1柱の龍神が降り立った。その世界で唯一の最高神であった彼はさらに上に位置する存在からその世界の権限の半数を任され、世界を維持していた。
そんなある日。
たった1柱しか存在しないそんな世界に飽きてしまった龍神は7体の魔物を召喚した。
──鬼型の魔物
──龍型の魔物
──人魚型の魔物
──鳥型の魔物
──狐型の魔物
──人狼型の魔物
──そして、山羊型の魔物
そのどれもが最高神であり、創造神であった龍神にとってはお遊びに過ぎなかった。だが、そんな龍神でも心をもっている。7体の魔物達と一緒に過ごしていく中で、情が湧いた龍神は7体の魔物の寿命を伸ばそうと適当な魔物を大量に召喚したのだ。魔物はレベルアップすることで強くなり、それと同時に寿命も伸びていくのだ。
魔物を倒し、どんどん強くなっていく7体の魔物。それらは進化を重ね、遂に話せるようになった。龍神は話せるようなった7体の魔物達に歓喜し、さらに魔物を増やしていった。もちろん成長させる為に。7体の魔物達も魔物討伐に気合いを入れて戦いに臨む。
だが、それが間違いだったのがその時誰も気が付かなかった。




