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第200話 妖精と強欲②

祝☆200((殴...はい。




「私も少し見に行ってみようかしら...。」



衛兵が去っていた後、その後ろ姿を見ながら私は考える。


一体なぜこんな中途半端な時期に魔物の大量発生なんて起こるのだろうか。それに、先程の衛兵が普段は敵対関係にあるはずのウォータルドッグとオレインモンキーが共闘していると報告してきたが、もし本当ならば魔物の上に指揮官がいるはずだ。そうでなきゃ説明がつかないほど、普段は敵対しているのだ。



「うん。少しだけ様子を見に行こう...。」



魂が抜けたかのように眠るアヤネを置いて私は世界樹から誰にも気づかれないように出ていった。ちなみに、私=世界樹といったように一心同体であるので、世界樹を通り抜けることは可能だ。



────────

─────



「───大型の魔物には3人でかかれ!!」

「「「「ォオォオオオオォオオ!!!!!」」」」



────ギャァァア!!!!



──た、助げでぇぇええええ!



私が来た時にはもうそこは地獄だった。普通のヒューマンよりも身体能力が高いエルフでさえも防戦一方であった。上空から少しだけ観察してみたが、やはり相手には指揮官がいる。...いや、あれは操られている?どの魔物も目がハートになっている。...はっ!まさか!



「──久しぶりねセレナーデ。」

「そうね。久しぶりフォルトゥナ。」



急に後ろから声がかけられたが、知っていた声だったので落ち着いて振り返る。

私と同じ金髪でありながらももふもふ感のある髪質に彼女自慢の狐耳をピコピコさせ、妖艶な笑みでこちらを見ていた。



「...それで?強欲様がこの国になんの御用ですか?」

「うーん。貴女も知っている通りスカーレットを取り戻しに来たのよ。」

「...やっぱりそうでしたか。」

「ふふ...私がスカーレットの気配を感じ取れなかったことなんてないのに。」

「そうですね...。ですが、貴女も知っている通り私もスカーレット...いえ、アヤネを奪われたくないのですよ。」

「ふふふ...。」

「ふふっ...。」

「「ふふふふふふふふ!」」



真下では我が軍が形勢逆転し、魔物の数もドンドン減ってきていた。

これでフォルトゥナとの戦闘に集中できそうだ。



「セレナーデ...いや、妖精女王!私は貴様からスカーレットを奪い取ってくれよう!!」

「ふふっ...!では、私は奪魅妃からアヤネを守りきってみせるわ!!」




お互いの2つ名を呼び合い、戦いの火蓋が開かれた。



「ふはははは!!!食らえ《狐火》!」



無数の小さな火がフォルトゥナの背後に現れた。それは、次々と私に向けて打ち出される。しかもちょっと魔法の解析をしたら自動追尾式に書き換えられていた。



「ですが!まだまだこんなのは温いですよ!!《暴風域》!」



そうは言うが直撃したら火属性が苦手な私にとったらただでは済まないだろう。なので、避けながら魔法を放つ。巻き込まれた狐火達は暴風によって巻き上げられ、火をまとった竜巻になった。それを操り、フォルトゥナに当てようとしたが、そんなんじゃもちろん当たらない。



「《強奪》」

「くっ...やはり使ってきますよね...!」



強欲専用のスキル《強奪》によって、魔法の主導権をフォルトゥナに握られてしまった。そのせいで、火を纏った竜巻がこちらに襲いかかってきたのだ。



「《パーフェクトプロテクション》!」



───ボォォウ!!!ガガガガガガガッッ!!!



幸い、強奪できるのはひとつまでなので、2つの魔法を使えば、ひとつの魔法は奪われずに済むのだ。



「《ディメンションワープ》」

「《強d...くっ...遅かった!」



そして、相手よりも早く魔法を発動しきってしまえば奪われずに済む。先程発動した後に奪われてしまったのは、あの魔法が持続系の魔法だからだ。持続系の魔法は終わるまでが長いため、フォルトゥナに奪われやすい。それに比べ、一瞬で発動し終わる魔法はフォルトゥナに強い。



「ふっ!《ディメンションワープ》」

「ぐっ!?」



───ドゴッ!!



相手の脇腹から出てきて、そのまま脇腹を蹴りつける。そして、再度違う次元に飛び、相手の出方を窺うのだった。




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