第198話 エルフの女王様
うわぁぁぁ...すごい綺麗な...。
空いた口が塞がらないほど、世界樹の中は綺麗なところだった。まるで、屋外にいるような感じがする。あれ?試練の塔と同じ...?
「あのぉ...。」
「なんだ?」
「ここって試練の塔に似てますね?」
「お、よく気づいたな。お前も試練の塔に挑戦したのか。」
「えぇまぁ...。」
「試練の塔に似てるっていうか、試練の塔が世界樹に似ているんだ。」
「え?」
「元々、試練の塔はこの世界樹の一部なんだよ。」
「えぇえぇええ!?!?」
「うるさいぞ。」
「あ、すみません...。」
「世界樹はその名の通り世界中に根を張る木だ。その木から試練の塔が誕生していると考えてもらえばいい。」
「な、なるほど...?」
なんか壮大過ぎて、よく分からないが、試練の塔は世界樹が産みの親ってことでいいのかな...?
「っと、着いたぞ。」
「こ、ここが...。」
「ここから先はお前だけで行け。」
「え?」
「俺は入れないからな。」
「わ、分かりました...。」
耳長男さんに従って、ビクビクしながら大きな扉を開き、そっと中に入る。
入ると、目の前にはレッドカーペットが真っ直ぐ続いており、それを辿った先にいたのは玉座に座る無表情ながらも美しい女の人がいた。思わず見惚れていると...
「きゃぁぁぁぁ!!!!かーわーいーいーーー!!!!!」
「へ?──ぎゅむっ!?」
私と目が合うと、その無表情だった顔が一瞬で破顔し、消えたと思ったらいつの間にか私は抱きしめられていた。
「はぁぁ...森にいた時からずっ...と見てたわぁ...。あぁ可愛いわぁ...。スンスン...。」
「うひゃあ!?え?に、匂い嗅いでる!?」
「あぁぁぁぁずっと走ってたからか汗の香りが...!」
「変態ぃぃい!!?!?」
9000もあるSTRをふんだんに使って何とか離そうとしたが、いくら力を入れても離れない。ちょっと鑑定してみよう...。
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【名前】妖精女王セレナーデLV.1073 状態:正常
【弱点】世界樹
【苦手属性】炎、焔
【説明】世界樹に住むエルフ族の長。七大罪の座に誘われたが、それを蹴った彼女は七大罪に負けずとも劣らない実力を持っている。大昔に起こった第四次天獄戦争を終結させるため、自らの命を繋げ、世界樹を創った人物である。つまり、彼女の弱点は世界樹そのものである。だからといってその弱点が弱いとは限らないが。
HP:743215/743215
MP:1645238
STR:37157
VIT:32974
DEF:45421
AGI:143247
INT:153486
DEX:113670
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戦力的にマリエスタさんに近いものを感じる。
「...マリエスタさんと同じ感じがすると思ったら...。」
「あら?マリエスタを知ってるの?」
「え、はい。」
「まぁあの子スカーレットちゃんの事好きだったしねぇ...。貴女の中にいるスカーレットちゃんの気配に気づいたんでしょうね。」
「それにしてもスカーレットちゃんと似ても似つかないわねぇ...?」
「い、いひゃいでひゅ...!」
頬をムニムニされたので、抗議すると、またもや抱きしめられた。なんで?
「スカーレットちゃんは無口無表情な子だったんだけどなぁ...。今じゃこんなに可愛くなっちゃって...!あぁ可愛い...!」
「私ねぇ?密かに狙ってたのよ。」
「...。」
えー...この先正直聞きたく無いんですが...。聞かないと話が進まなそうなので聞いてみます...。
「な、何を...ですか...?」
「スカーレットちゃんよ。昔は私よりも強かったから捕まえられなかったけど...」
「っ!!」
頬をつつーっと撫でられる。すごくゾクゾクってきたんだけど...。嫌な予感しかしない...。
「この姿なら...ふふふっ...!よかったわぁあのラピスラズリに捕まえられなくて...。」
「ら、ラピスラズリってなんですか!?」
「ん?」
全力で話を逸らしに行く。だけどラピスラズリが何かを知りたいのも本当のことだ。
「えぇ?ラピスラズリは貴女を襲った子よ?知らなかったの?」
「...。」
話が一瞬で終わった。だ、だけど、まだ聞けることは...!
「じゃあ話はここまでね?さぁ行きましょうか!」
「あ...。」
こうして私は何も言えず、女王様の私室に連れ込まれてしまったのだった。




