第193話 試練の塔再び⑪
──アヤネ(?)side
「キュイッ!!!」
「危ない。」
──ボォゥッ!!
「ギュヴッ!??!!」
一頭の勇気のある鹿が私に襲いかかってきたが、遅い。半歩右に避けて相手に触れて燃やす。
そうだった。ここのボスを倒す前にまずはアレを殺らなきゃならんな。
「...みつけた。」
「キュ...キュウッ!!」
これから探そうってところで、左を見るとソレはいた。首の毛に焼きキノコの串を引っ付けている鹿。アヤネが言うにはキノコティアだったか?ソレはこちらを真っ直ぐに睨みつけていた。しかし、少し下を見ると、脚がガックガクになっている。それならさっき襲いかかってきた鹿の方が数倍マシだ。
「キュウキュウッ!!」
「...。」
「キュイッ!?!?」
それでもなんとか襲ってきたキノコティア。アヤネの好きなアイリスを消し去ったあの光線を放ってきたが、それ以上の熱量を持つ[煌帝]を割り込ませて吸収させる。
「お返し。」
──ビィィィイイイインンッ!!!!!!
「ギュヴヴヴヴ!!?!!??!?」
吸収した光線と全く同じ光線を[煌帝]が放ち、真っ黒焦げになる。
「...アヤネ、ご所望。」
「......ギュ...ゥ。」
「さよなら。」
──サラサラ......
真っ黒になったまま動けないキノコティアの頭をポンと叩き、その先にいるボスティアに向かって歩く。キノコティアは私が触ると同時に灰になって崩れていった。
「お待たせ。」
「...キュウ」
「そして、さよなら。」
「キュウッ!!」
───ボボボッ!!
──パカラッパカラッ!!
「へぇ...。」
「キュイッ!!」
不意の数撃を気合いで避けきったボスティアは私の周りを走りながらこちらを睨みつける。
───ブゥンブンブゥゥンッ!!!
そして、パラボラアンテナに溜め込んだ黒い光を小分けにして放ってくるボスティア。まぁ今までのような有象無象とは違い、腐ってもボスという訳だ。
だが、放たれた黒い光線は全て触れる前に消え去ってしまう。なぜなら、今の私は天力を纏っているからだ。厳密に言えば天力による技によって防いでいるのだ。
「キュゥ...!」
「...接近戦。」
黒い光線は全く効果が無いことを知るとすぐに接近戦に切り替えたボスティア。その判断は正しいが、勿論忘れてないよな。私が触れたらそいつは燃えるのだ。さっきも見ていただろう?あの勇気ある鹿が燃えたのを。
──ガァァンッ!!ガガンッ!!ガァァンッ!!!
「キュウッ!キュイッ!!」
「...。」
まぁ結果から言うと接近戦も無意味だった。やはり[神壁]は良いな。ヘルヘブンから教えて貰った技だが、使い勝手がいい。これを突破できるのはあの頃だと心牙童子ぐらいだろうか?今は知らない。
──────
───
「キュ...ウ...!キュイッ!!キュイッ!!!」
「...。」
────ガァンッ!!ガンガンガンッ!!ガァァァンッ!!
こうしてボスティアが攻撃をするのを見つめること早数分。もう飽きた。
「飽きた。」
「ッ!?」
───ベチッ!!
一瞬で近づき、天力を纏った中指でデコピンをする。凄い勢いで吹っ飛んだボスティアだったが、なんとか空中で体勢を整えたことにより、試練の塔から落ちずにすんだ。
「魔力もいいけど...。」
「ギユゥウウウウウ!!!!!」
ボスティアはパラボラアンテナを全て自身の後ろに向け、突進の準備をする。
────ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!...ドンッ!!
「...天力の方がいい。」
「ギュゥウウウウンンッ!!!!!!!!!!」
───ズバンッ
───ドスゥゥンッ...!
「...後は残党狩り。[煌波]」
───ピカッ!!!ドォォォオオォオォオオンンンッ!!!
「あ...。」
試練の塔の屋上全体に大きい火柱が無数に上がる。たったそれだけで試練の塔の次元に歪みが生じてしまった。
「...やり過ぎた。」
あんなに綺麗だった屋上の白いタイルは全てまっ黒焦げになってしまった。そして、そのタイミングで時間が来てしまった。
あぁ...せっかく出れたのに...。もう戻らないと...。これ以上はアヤネの体の負担が...。次はもっと長く出れそうだな...。
───バタッ...
○今日のスキル○
今日は[神壁]と[煌波]です。
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【名前】[神壁] 消費:????
【説明】創造神である龍神が創り出した技。使える者は龍神に認められた者のみであり、神壁は誰もが破ったことがないため、誰もがその力を欲しがったという。
天力を纏うことによって発動する神壁は簡単に発動するが、消費も激しい。
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【名前】[煌波] 消費:????
【説明】焔龍王スカーレットが創り出した技。超広範囲に渡る煌属性の攻撃で、第1次天獄戦争にて初めて使われ、多大な被害を及ぼしたと言われている。
ありとあらゆるものを焼き尽くす聖なる炎は悪しき者が見ただけで怯え苦しむ。
※煌属性・・・焔属性と光属性の上位互換。どちらの属性をも併せ持つ。
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因みに...
この世界の体に負担がかかる=データが消える可能性が高まる
という感じです。




