第190話 試練の塔再び⑧
──カツンッカツンッカツンッ......
白い階段を降りた先にあったのは、第15階層のような屋上だった。八角形の形をしているとても広い平らな階層。その中で私達が見据える先にいるのは一頭の大きな鹿だった。
「キュゥゥン...。」
「あんなに大きいのに声は可愛いんだネ...。」
「そ、そうだねぇ...。」
先程見た体長1mほどの茶色の鹿と違い、今目の前にいる鹿は体長5mはくだらない。色は真っ黒で、目も真っ黒に染まっている。それに、4本あるパラボラアンテナ付きの角がうねうねと蠢いている。足と尾には炎が揺らめいていて、ちょっと心配になる。...え?だって熱そうじゃない...?
「可愛いんだけどねぇ...。」
「うん...。ちょっと大きすぎカナ...。」
「キュイ!!」
「新しい敵に会ったらまずは鑑定だよね。...まぁさっきの鹿はやり損ねたけど....。」
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【名前】ボスダークパラボラティアLV.125 状態:正常
【弱点】なし
【苦手属性】氷
【説明】パラボラティア系を統率するボス鹿。普通のパラボラティアは火属性を嫌うが、ダークパラボラティアは真反対の氷属性を嫌う。普段温厚なボス鹿ではあるが、怒るととても凶暴になる。その触手のような角に付随するパラボラアンテナのような物から射出される闇属性光線はミスリルをも砕くと言われている。そして、細い毛の1本1本も魔鉄のように硬く、並大抵の攻撃では到底歯が立たない。
HP:52149/52149
MP:30875
STR:7321
VIT:6413
DEF:4124
AGI:14750
INT:6842
DEX:3764
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「これは試練だわ...。」
「試練だネ...。」
「キュイイイイ!!!!!!」
──パカラッパカラッ......!!!
先行はボスダークパラボラティアさんだ。ボスダーク(ryさんは軽やかなステップを踏み、直後、突進してきた。
「せいッ!!」
「ヤァッ!!」
──ザンッ!!
──ズバァァアッ!!!
左右に別れ、避けると同時に相手の首を斬る。アイリスは足を斬った。しかし、手応えを感じなかった。まるで空気を斬ったかのような...。この感覚どこかで───
「キュウウウウウウッ!!」
「っ!?」
──ドドドドドドドドドドドド!!!!
「「「「「「「キュゥウウウ!!!!」」」」」」」
「「う、うわぁぁあ!!!!!」」
ボスティアさんが鳴くと、どこからともなく現れるパラボラティアの群れ。その中には数頭ダークパラボラティアもいた。そして、現れると同時にこちらに向かって一斉に突進してきた。
「くっ...!」
アイリスを拾い、肩に乗せてその波に立ち向かう。いくら鹿の波とはいえ、鹿と鹿との間には隙間がある。そこを縫っていけば大丈夫だろう。
───ドドドドドドドド!!!!!
相手の進路を刀で逸らしながら進み、なんとか抜けた。しかし、そんな簡単にことは終わらない。
「「「「「「「キュウウウウ!!!!」」」」」」」
抜けた鹿の波が反転して、もう一度こちらに向かって突進してきたのだ。
ボスティアさんはというと、凄く離れたところで高みの見物をしていた。そこだけパラボラティア達が避けて通っている為、ボスティアさんにダメージはない。
「...まさかこの中で戦えと...?」
「そうみたいだネ...。」
「「「「「「キュゥウウウ!!!!」」」」」」
こちらに向かってくる群れと、ボスティアさんを見ながら私たちはため息をついたのだった。
ボスティアさんこんな感じでどうでしょうかねぇ...?




