第176話 原初の偽神メルフォーズ①
ここは魔大陸のとある場所。そこには1人の...いや、一体の悪魔とそれを囲んで、守ろうとする数千を超える魔物達がいた。
───マオside
「...せっかくいい場所に拠点を移したというのに...!」
「ほんと全くっすよ...!なぁんで急に現れたんですかねぇ...!?」
「さぁな...!」
俺は近くにいる俺と同じ魔物プレイヤーと会話をしていた。ちなみに、俺はあのイベントでカインに負けてからというもの、研鑽を続けた結果、魔王という種族になっていた。
そんな俺を何故か崇めるのがここにいる魔物プレイヤー達5000人程度である。
なぜ、5000人程度の俺たち魔物プレイヤーが外で集まっているかと言うと...
『г┓”□○gdt◇≫Шtmp!!!!』
『レイドボス:超級スライム種・原初の偽神メルフォーズが現れました』
『レイドバトルに参加しますか?参加 5241/20000人』
突如として俺らの住む街にレイドボスが現れたからだ。俺らでも知っている。アイツ...原初の偽”王”メルフォーズは俺らが住んでいるこの地方の王である。普段は街の中心にある城にいて、そこから1歩も動かなかったらしいんだが、最近行方不明になってたらしい。まぁなってた、だから今は見つかってるんだけどね。...たった今。
「か、鑑定班!」
「りょ、了解...!《鑑定》!」
あのボスが放つ威圧に耐えつつ、俺は鑑定班に指示をだす。鑑定班も皆ガクブルと震えていたが、ちゃんと鑑定してくれた。
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【名前】原初の偽神メルフォーズLV.???? 状態:正常
【弱点】真核
【苦手属性】なし
【説明】この世の始まりから存在する永遠不滅の存在で、万物の始まりであり、なんにでもなれる...と言われていた原初の偽”王”メルフォーズを取り込んだある1匹の突然変異種であるスライム。原初の偽王メルフォーズが持っていた特性を全て引き継いでおり、とある目的の為に動き続けている。
HP:???????/???????
MP:???????
STR:??????
VIT:??????
DEF:??????
AGI:??????
INT:??????
DEX:??????
MND:??????
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「なっ!?な、なんだあれはっ!?」
「つ、強すぎる...!!」
鑑定班は鑑定を主に仕事としていて、鑑定に関することは右に出るものはいない。そんな彼らでも見れないステータスがあの原初の偽神メルフォーズだ。だが、彼らの鑑定スキルにはあるひとつの効果があった。それは?の数がその下にある数字の桁と同じになるということだ。ということは、あの偽神は────?
『Tdt●วヾ<〆jptчゃ▲ღさ#◆〆ぁぁぁあ!!!!!』
『アダジはぁぁあ...!!アタシ!!ワタシ!私はぁぁあ!!!』
『あのびどどいっじょにぃ...!!iгч▽▽○tmw◇г■○なг:■!!!』
「ぼ、防御魔法!!」
「「「「「「「お、おう!!」」」」」」」
「《プロテクション》!」
「《ワイドガード》!」
「《エリアプロテクト》!!」
「《─────》」
ボスが気を貯め始めたので指示を出し、1人につきひとつの防御魔法を唱えさせる。む?どうして5000人もいるのに指示が通るのか...だって?それはもちろん各地に指揮官を配置しているからな。予め指揮官とフレンドになることでフレンドチャットができるのだ。それもグループチャットがな!
で、話は戻すが、そうすることで、無数の防御魔法が重なり合い、より強固なものになるのだ。これはあのイベントであった事故の時も行ったものである。
そして...
───ダァァァァァァァァァアアアアアアアアンンンッ!!!!
───ブワッ!!!!!
───ビリビリビリッ!!!!ピシッ!!パリパリパリンッ!!
「ぐぁぁあ!!!?!??」
「ひぐっ!?」
「ぐべぁっ!?」
「ぎゃぁぁぁあ!!!!」
「くっ!?」
一気に気を解放したメルフォーズ。その一撃は何重にもなっていて最上位魔法である《結界》よりも固くなっている防御魔法をどんどん減らすほどである。そして、当然といっちゃあなんだけど、その防御魔法の内側にいる俺らにも被害が及ぶ。主に前線にいる味方にだが...。
「...あれ...だけで...ここまで...な、のか...?」
遠く離れていた俺のところにまでこの風圧は届いていた。そのせいで、少し前にいた小さめの魔人が吹き飛ばされていた。その後誰かに抱きとめられたようだけどな...。
「こりゃ不味いな...。」
下手すればこの魔大陸自体を崩壊させかねない戦闘力をもつメルフォーズ。
いったいどうすりゃいいんだよぅ...。
こうしてガチムチの魔王はその見た目に反して内心ではヒヤヒヤどころか凍っていた。
運営の誰かが悪ふざけで追加したらしい最強キャラ。作った人は上層部からこってりと絞られ、削除されそうになったが、現在、運営はある敵対する相手に対してメルフォーズを利用しようと画策し、とある地方の王に設定した。
だが、不測の事態が起こり過ぎてもう完全にバグ状態で操れなくなってるらしいが...?




