第175話 SP
───ガァァァンッ!!ガァァァンッ!!
「......ふぁ....。」
朝5時。
お父さんの打つ鉄の音を目覚まし時計にして起きた私は今日からまた始まる学校に行くための準備を始める。
「......。」
指定の制服の袖に腕を通しながら昨日のことを思い出す。
「.........色々ありすぎでは...?」
ボタンをかける手を止め、一言。それほど昨日は色々ありすぎたのだ。
まぁそれはおいておくとして、今は朝ごはんの準備をしないといけない。
「うーん...。...今日は買い物だね...。」
冷蔵庫を見て、何も無いのを確認したあと、いつも持っている手帳に『今日、買い物』と書いておく。朝ごはんは...パンでいいかな...?
「お父さん何も無かったからパンでいいよね!」
「...あぁ。」
鍛冶場で作業をしていたお父さんに邪魔にならないタイミングで伝えておく。ちなみに今日の朝ごはんは簡単に作れて美味しいバタートーストだ。
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「行ってきまーす!」
「あぁ。行ってらっしゃい。」
暫くして、学校に行く時間になったので家を出る。
「おはようございます彩音さん!」
「うん!おはよう美月ちゃん!」
私が同じ時間に家を出ると毎回通りかかってくるのが同級生で同じクラスの彼女──真城美月ちゃんだ。話していると、清楚で可憐でとっても過保護な女の子だけど、意外とヤンチャな面もあり、面白い子だ。
「昨日は楽しかったですね!」
「え?」
「あ、いえ!ひ、人違いでした!」
「そう、なの...?」
「はい!」
「そ、それよりも!今日の体育楽しみですね!」
「あれ?美月ちゃんって体育好きだったっけ?」
「あのぉ...あれです!今日はバドミントンですから!」
「あぁ!そういえばそうだねぇ...。うん。確かに楽しみだ!」
こんな感じで毎日学校に通っている。入学した当初はこんな山の麓を通る人は誰もいなかったんだけど、1週間ぐらいしたら、何故か美月ちゃんが通るようになったんだよねぇ。私は寂しくなくなったけど、美月ちゃんの家ってどこにあるんだろう...?
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時間は入学して1週間経った頃まで遡る。
あるひとつのクラスは1人を除くクラスメイト全員でジャンケンをしていた。
「じゃあ私がやればいいんだな?わかった...。...最初はグー。ジャンケン...ポン。」
「「「「「「「ポン!!」」」」」」」
担任の先生は前日、明日の朝早く来てくださいと生徒に言われ、言われた通りに来たところ、ジャンケンをやらされていた。
先生1人が出した手に対して負ければ席に座るといった感じのルールで次々と脱落者が出てくる中、ようやく最後の2人にまでなった。
「勝負よ美月さん!!」
「望むところです涼香さん!!」
「「最初はグー!!ジャンケン!ポン!!」」
涼香:グー
美月:パー
「くぅぅぅぅ!!!負けたぁぁぁぁ!!!」
「やったぁぁぁあ!!!!」
「おぉ!!美月が勝ったのか!」
「でも美月なら任せられそう...。」
「せやな。」
こうして勝った美月は無事、彩音の家の前から学校まで着きそう権利を得たのだった。
なお、これを知らないのは彩音だけなのである。
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「おはy───むぎゅっ!?」
「おはようあや!!」
「おはようございます涼香さん。」
「...おはよう。」
私に抱きついたまま、美月ちゃんに挨拶するすず。心做しかトーンが低いような?...まぁ気のせいだよね。
1時間目の授業は国語か。早く準備しないとなぁ...。
こうして1日が過ぎていく。
いつの間にか守られていた彩音たんであった。ちなみに、美月さんは1度出てきてるんですよねぇ...。本当にチラッとですがね。
 




