第170話 vs.ウォータードラゴン
「グラァァァアアアアアアア!!!!!!」
──《怯み・小》
「「っ!?」」
「グラッ!!」
──ポワワワンッ......ビュビュンッ!!ビュンッ!!
私たちは何時ぞやのヘルウルフキングの時の咆哮による怯みと同じような状態異常に陥ってしまう。そこにウォータードラゴンが無数の水球を飛ばしてくる。
一足先に怯み状態から抜け出した私は未だ動けないでいるルーナさんの前に出て納刀状態の刀の柄を握る。そして...
──《刀堂流刀技・蕾》──
「...。」
──シャランッ......
──パァァァァアンッ!!
突如鳴り響いた鈴の音。その直後、私たちに襲いかかってきていた水の球が全て弾けた。私は驚いた。全ての球が弾けたのは、私が自分の力で全て斬ったからに他ならないが、鈴の音が鳴り響いたのには納得いかない。いったいなぜ...?
「...綺麗......。」
「クルルル...!!!」
相手はこの一撃で決めるつもりだったらしいが、この技を見て警戒レベルを引き上げたようだ。
「グルルッ!ガァアッ!!」
「来ますよ!」
「っ!は、はい!」
惚けていたルーナさんを現実...まぁここは仮想だけど...に戻して相手と相対する。相手が繰り出してきたのは水でできた動物達だった。ひとまずは様子見だろうか?
「《両手棍技・マジックレジデンス》!」
──バシャンッ!
ルーナさんは魔法抵抗力を上げるアーツを武器に使い、水でできた蛇や魚などに殴りかかっていた。ここまでくる途中に聞いたことだが、このアーツを使うことで、魔法でできた物などにも物理攻撃ダメージを与えられるようになるそうだ。だから今、水でてきている動物達にダメージを与えることができているのだ。
「こっちも負けてられないねっ!」
──《刀堂流刀技・1000連撃》──
──パァァァァアアアンッ!!!
水でできた熊みたいな動物が破裂した。
今の私に魔法でできているものに対して攻撃できる技はほぼない。あるとも言えないが、一応言うならば、ゴリ押しだ。魔法でできているものは、言い換えればMP...この世界では魔力って言うらしいんだけど、それの塊なのだ。現実世界でいうならば原子とかそこら辺の扱いなのかな?
まぁそんな原子レベルのものだから私が魔法に対して攻撃できると言えるのはその塊を崩壊させること。
いや...もっと単純に言おう。
───めちゃくちゃに斬りまくれば離れるんちゃう?という事だ。
そんな訳で、私は無数に思える数を斬りまくり、相手の体の構成を破壊しているのだ。
ルーナさんみたいにアーツ1つですぐに攻撃できるようになるものと違い、これは千回万回斬ってようやく実を結ぶ技だから大変だ。私もそういうスキルまたはアーツが欲しいものだ...。一応言っておくが、《刀堂流刀技》のアーツには期待していない。何せ、これは現実世界の技そのものだからだ。現実世界に魔法なんて言う概念はない......はず。だから魔法に対するアーツなんて出てくるはずもないのだ。
「グルルッ!!グルルルルッ!!!」
「またなにかくる...!?」
「いや...そうはさせません...!」
ここは新しいアーツをば...
──《刀堂流刀技・朧月》──
「クル?」
「え?え?アヤネさん...?なにしたんで───」
──バシャン......!
「へ?なんでそこに...って死んでる!?」
私は今いた場所からすでに移動しており、今はウォータードラゴンの真後ろにいた。
言わずもがなウォータードラゴンは体を両断され、絶命している。
私の対単体用のアーツ《刀堂流刀技・朧月》。これは霞んでいる月のように時を霞ませる技だ。これだけ聞くと訳が分からないだろう。だけど大丈夫。私もよく分からないから。
師匠が言うには、世界の理から自分の存在を霞ませて時を曖昧にするとかなんとか言ってたけど、本当にあの人って人間なのだろうか...?そんな説明を聞いたあと、使ってもいいけどあんまり人に見られるなよって言ってたけど...ルーナさんだけしかいないからいいよね?
ちなみに1000連撃とかも同じような技らしいけど、厳密には違いがあるから使ってもいいとの事...。...実に分からない。曰く、一撃を二撃三撃四撃になるように振っているとかなんとか...。
実に分からない。
人外師弟。
???「実に面白い。」(指クイッ)
今回の《刀堂流刀技・朧月》はとある読者様からのコメントを参考にさせていただきました!効果などが大幅に変わってるとかなんて言えない...。(((*>_<)))ブルブル




