第169話 ドラゴンとどらごん
「せいッ!」
──グシャッ!
「ビュルルル!?!??」
「ふっ...!」
──スパパンッ!
「ビュルル!??」
現在、私たちはフォルマナ大迷宮の中層あたりにいる。これまでに討伐してきた魔物はほとんどがタツノオトシゴ型魔物であるノトシゴだった。
なぜ、ノトシゴばかりなのかをルーナさんに聞くとここフォルマナ大迷宮は日によって出現する魔物が変わるからだとか。前に来た時はたまたまムッシュとネズミの2種類の魔物が出てきたが、今回は1種類...ノトシゴ系に焦点が絞られているようだ。
「ビュラァァァア!!!!」
「《両手棍技・ブロウデストラクション》!」
「はぁッ!」
───バジュッッ!!!!
──スパッ...。
奥に進む度に増えていくノトシゴ軍団。その最後尾から放たれた超高圧の水ビームをルーナさんが放ったスキルのアーツ《両手棍技・ブロウデストラクション》によって赤く光ったメイスで打ち消す。そのタイミングで私は《刀堂流刀技・十三連撃》で全て撃破。といってもアーツの補助に頼らず、自分でやったからMPは消費されていない。
「...いやぁ...。いつ見ても凄いですねぇ...。斬る瞬間の顔が凛々しくて私は大好きです!今日はアヤネたんとデートできて嬉しいですね!」
「...。」
ルーナさんって恥ずかしげもなくこういう言葉を言うから苦手かも...。いや別に嫌いだとかそういうのじゃないんだけどね?ただ、こっちの心臓がもたないっていうか...。
そうしてインベントリにノトシゴの死体を入れた後、再び進み出した。
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しばらく歩くこと数分。
「...いかにもボス戦って感じがしますねぇ...。」
「たしか、前にここに来た時はチュウオウって人がいましたね。」
「えぇ!?チュウオウってあのチュウオウですか!?」
「チュウオウが1人しかいないのなら多分その人ですね。」
「...あんなに強いネズミ人間を倒しただなんて...!」
「強かったですけどあれほとんど配下のネズミ達の力でしたからねぇ...。」
確かにチュウオウは強かった。だが、それは沢山いたネズミ達の力の一部を自分のものとして使っていたからだ。1匹だと多分何もできなく...は流石に言い過ぎか。でも相当楽にはなると思う。でも、ネズミ達の数があれよりももっと多ければあの魔法責めに耐えれたかどうか分からないなぁ...。
───ギィィ...
雑談をしながら扉を押す。そこにいたのは...
「クルルル......?」
水のように透き通った青色の肌をしている大きなトカゲ?
「ど、ドラゴン!?」
「ドラゴン...?あぁ...あれってドラゴンなのか...。」
ドラゴンって言われればなんとなくそんな感じはする。だけどなんか思ってるイメージとはちょっと違う。具体的には大きさが全然違うんだけど。私が想像しているのは私が暴走していた時のスカーレットのような体長50mのトカゲだ。しかし、目の前にいるのはその半分にも満たない僅か体長5mと10分の1の大きさだ。これじゃあドラゴンじゃなくてどらごんだ。
「いやいやいや!あれでも十分強いんですからね!?」
「でも...。」
「いや!言いたいことは分かりますよ!イベントの時の焔龍王ですよね?」
「そうですね。」
「あれは文字的にドラゴンの王ですから。あれと比べるのはちょっと...。」
「確かに...!」
そういえばそうじゃん!スカーレットって焔龍王だったよね?ドラゴンの中の王なんだから強くて当たり前だよね。
「クルルル!!」
「アヤネたん鑑定お願いします!」
「任せてください!《鑑定》」
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【名前】ウォータードラゴンLV.68 《BOSS》 状態:正常
【弱点】魔核
【苦手属性】土、大地
【説明】海の深海に生息する体長約5mのドラゴン。口からはノトシゴのものよりも数倍鋭い、超高圧の水のビームが飛び出てくるため、注意が必要である。また、水魔法を多用し、地の利を活かす戦い方を好む。
HP:61250/61250
MP:44980
STR:1428
VIT:1870
DEF:1296
AGI:1025
INT:1963
DEX:1487
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おっと...。ステータスが高いなぁ...。やっぱり《BOSS》マークが付くと強くなるのかな?




