第17話 ロリと新しい装備
「う、うぅ...。」
「あんらぁ!いいじゃなぁい!!」
「恥ずかしぃ...。」
真っ黒な服に白いフリルやレース、リボンなどが沢山着いたゴスロリのドレス
...を着せられた私、アヤネ。恥ずかしくて死にそうです...。なんで断らなかったんだろ...。そうですよ!ノーと言えない日本人ですよ!!
「あ、あのぅ?」
「なにかしらぁ?」
「何故これを...?」
1番の疑問はなぜこの服を着せられたのかということ。
「そんなの決まってるじゃなぁい!!」
「???」
「可愛いからよぉ!!」
「...。」
一瞬意味があるのかと思ったが違ったようだ。
わざわざ目にも留まらぬ速さで採寸されて、目の前でぱぱっと作り上げられたドレスだから断れなかったよね...。
「小さくて可愛い女の子だったからつい...ねぇ?」
「小さく無いです!」
「.........まぁまぁ落ち着きなさぁい?」
「くぅぅ...!」
なに今の間!?
確かに高2にしてはちょっと低めだけど...!学校で1番小さいけど...!!皆に何故か撫でられるけど...!!!私は断じてロリでは無い...!!!!
...おっと、冷静に冷静に...。
「そうねぇ...。いいわぁ。着てくれたお礼に貴女の防具、作ってあげるわぁ?」
「えっ?」
「...いやならいいのよぉ?」
「いえいえ!まさか作ってもらえるとは思ってなくて...。」
「そのぐらいいいわよぉ!それに貴女の服、正直に言うとダサいと思うしぃ?」
「...。そ、そうですか。」
これ、初期装備なんですが...?
NPCにダサいと言われる運営さん...。でも作ってくれるのなら有難い。どんまいです運営さん。
「で、作るにあたって、何か希望はある?あたしとしては別にそれよりも凄く可愛いやつでもいいん──」
「ちょっとだけカッコイイやつでお願いします!」
私に可愛いのは似合わないし、ちょっとだけカッコイイやつでいいと思う。
「そぉ?分かったわ!次に服の効果なんだけどぉ。」
「あっ、私、鍛冶師なので暑くならないような服でお願いします!」
「それは素材によるわねぇ?」
「い、今出します!」
とりあえず素材になりそうなのは全部出した。
「ふぅん?オオカミの素材ばかりねぇ?それにファイアモルねぇ...。」
「どう、ですか?」
「ファイアモルの素材は使えないわね」
「え...?」
「ん?あぁ!違うわぁ。暑く感じなくなる服を作るにはこれだと逆効果なのよぉ...。」
「あぁ、なるほど...。」
てっきり素材として使えない物なのかと思った...。
「だから今回はオオカミだけでいいわぁ!」
「はい。分かりました。」
「出来るのは明日だからその時に来てねぇ?」
「はい!お願いします!」
「あ、その服は上げるわぁ。」
「!?」
着てたの忘れてた...。でもまぁ、一応貰っておこうかな...。着ることはもう無いと思うけどね。
そうして、私は着替えて服屋さんを出た。
そうかぁ。作ってもらうっていう選択肢もあったのかぁ...。すっかり頭から抜けちゃってたよ。
せっかく裁縫スキル取ったけど無駄に...いや、いつか使うかもしれないから無駄とは言い難いかな?...その日が来るかはわかんないけどね。
何はともあれ、明日が楽しみだなぁ...。
─────
───
翌日。
「すみませーん!」
「はぁい!...あら、もう来たのねぇ。待ってなさぁい今持ってくるわぁ。」
「分かりました。」
「待たせたわねぇ?」
「いえいえ。」
「じゃあ早速きてみてちょうだい!」
「はい。」
そう言って試着室に入りカーテンを閉める。
できたのはお臍が丸出しの革装備に翠色の毛皮で作られた外套だった。
革装備にもアクセントとしてゲイザマリンなどの金属も入っている。
...見てるだけでも暑そうだけど大丈夫かなぁ...?主に外套...。
───
「す、涼しい...。」
「でしょお?その外套の裏にオウシャンカウの革を使ってるからねぇ。」
「オウシャンカウ?」
「オウシャンカウはここから東に行った所にある海に住んでる牛型の魔物よぉ?でねぇ、オウシャンカウの革は冷却効果があるのよぉ!」
「それは凄いですね!」
「でしょぉ!それを縫い合わせてみたのよぉ!」
「なるほど...。じゃあ革装備の方もそうなんですか?」
「そうよぉ!外側も貴女から貰ったゲイザマリンと魔葉で装飾してみたわぁ!」
「え!?ど、どうやって...?」
「お隣さんにやって貰ったわぁ!お隣のお店の人が錬金術使えるのよねぇ。」
「そうなんですか!」
「えぇ。たまに錬金術が要りそうな服とかは彼に任せてるわぁ!」
「そうなんですねぇ...。今度お礼に行ってみます。」
「そうしなさぁい。じゃあ話は戻るけど、着心地はどお?」
「そうですねぇ...いいと、思います...。外套も暑いどころか逆に涼しいですし...。」
「あぁ、それも切り替え可能よぉ?」
「えぇ!?」
「寒い時に涼しいと困るでしょお?」
「それはそうなんですが...。いいんですか?」
「何がかしらぁん?」
「高いでしょうこの服。」
「いいのよぉ!そんな事は!!無理矢理着せちゃったようなものだからねぇ。」
「はぁ?分かりました。ありがとうございました!」
「いえいえ。またいらっしゃぁい?」
「はい!」
新しい防具を手に入れた私はルンルン気分で外に出たのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【名前】葉狼セット:品質7
【説明】ディーナが作った葉狼の素材を主とした装備。オウシャンカウの素材が使われており、見た目では想像つかないほどに涼しくなる。斬撃と水、風属性魔法に強い。
耐久:1600
VIT:10
DEF:160
AGI:80
MND:60
【製作者】ディーナ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
装備が強すぎる件について...。
斬撃に強いのはBOSS戦を見れば分かると思います。
そして、水、風属性に強いのはオウシャンカウと葉狼の素材のお陰。本当は火属性に弱いという弱点もあったのですが、水属性であるオウシャンカウの素材が使われているので打ち消しといったところですかね?




