第158話 猛威を振るう《刀堂流刀術》
「へぇ...?アーツってあれだよね?私覚えてるよ?」
イベントで1番最初に出会った人が使ってた技。《剣術・ダブルスラッシュ》と《剣術・クロー=ゼット》だったっけ?あの後すずから教えてもらったんだけど、これがアーツなんだよね。
「アーツってこうやって登録?するんだ...。」
すず曰く、アーツを登録する為には、1度自分で技を決めないといけない。それも1度だけでなく、何回も。だけど最速で2回らしいからそんなに苦じゃないかも?
「...登録しながら倒す...?」
「ギヂギヂギヂ...!」
「ディィァァァァァァア!!!!!」
「グルルル...。」
こちらに気づいた数体の魔物が私目掛けて走り出した。
「まずは基本。」
──...ィィンッ!!
複数ある相手の脚の攻撃に刀を合わせ、受け流す。
──......ィンッ!!
──スパンッ!!
2度目は受け流した後に反撃。
「ギギヂ、ァア?」
蜘蛛みたいな見た目をしている魔物は頭を落とし、絶命した。
『アーツ登録:《刀堂流刀術・靜水》を登録しました』
「お、いいね!」
「ディラァァァァア!!!!」
2回で覚えられた受け流す為だけの技。名前は自動で付けられるらしい。まぁ、師匠から教えてもらったん通りの名前なんだけどね...。そして、魔物が来てるからこんな悠長にしてられない。鑑定はまた後で...。
「次はこれの応用...」
──キンッ...ズパンッ!!
爪を受け流して相手の腕を断ち斬る。
『アーツ登録:《刀堂流刀術・反撃》を登録しました』
「あれ?1回で...?あ、そうかさっきも似たようなことをしたからか...。」
靜水を登録する際、相手にトドメをさす時に反撃と同じことをした。多分これもカウントされてるのだろう。
この調子でどんどん倒していこう!
「次は攻撃!」
──スッ...
「グ、ォオ...?」
──プシッ!......ドサッ...!
こちらのトラ型の魔物も首を刈り取った。
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「ふぅ...ようやく片付いたかなぁ...?」
「お疲れ様です。」
「うん。ありがとうえぇっ!?誰...って私!?」
私が無数にいた魔物を討伐し終え、リラックスしていると後ろから声がかけられた。礼を言うのと同時に知らない人だと気づいたので驚いた。
後ろを見ると、そこに居たのは色白の肌に金属特有の光沢のある黒い髪、そして、金色の角の真っ黒な翼を生やした──私。
道理でなんか聞いた事ある声だなって思ったよ!だって私だもん!...ん?もしかしてこの人...
「ジークフリート...さん...?」
「正解!」
嬉しそうに破顔するわた...ジークフリートさんが可愛い...って顔が私だからなんだかなぁ...。あと、イベントで戦った時みたいに声だけジークフリートさんじゃなくて、声もちゃんと私になっている。
「...気になります?そうでしょうとも。何せ私は研鑽を積みましたからね!」
「......。」
この腰に両手を当ててドヤ顔する姿を見ると...こう...なんて言うか...そのぉ...抱きしめたい...?なんだか妹みたいだなぁ...。はっ!もしかして私今まですず達にこう思われてたってこと!?...なるほどね(遠い目)。
「ふふっ!大変でしたよ。この声を作るのは。以前話した《変身》スキルを改良したら声も作れるようになったんですよ?」
「そ、そうなんですねぇ...。あとその口調と仕草も作ってるんですか...?」
「うん。なんかこの姿になると口調とか仕草が勝手にこうなっちゃうんだよね...。」
うーん...。率直に言うと、私と話してる気分、かな?
・登録したアーツ
《刀堂流刀術・靜水》
《刀堂流刀術・反撃》
《刀堂流刀術・一刀両断》
《刀堂流刀術・二連撃》
《刀堂流刀術・三連撃》以下n連撃(n=四、五、六・・・)
《刀堂流刀術・蕾》
《刀堂流刀術・茎》
《刀堂流刀術・華》
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【名前】《刀堂流刀術》:靜水 消費MP:100
【効果①(LV.1)】水のような静けさで相手の攻撃を受け流す。
【効果②(LV.☆)】受け流しに成功するとMPが少し回復するようになる。
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【名前】《刀堂流刀術》:反撃 消費MP:100
【効果①(LV.1)】靜水で相手の攻撃を受け流したあと、鋭い一撃を相手に叩き込む。
【効果②(LV.☆)】このアーツでトドメをさすとHPが少し回復するようになる。
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【名前】《刀堂流刀術》:一刀両断 消費MP:500
【効果①(LV.1)】目にも留まらぬ速さで相手の斬りつける。
【効果②(LV.☆)】このアーツで相手の器官を斬り落とすとその攻撃によって武器の耐久度が減らなくなる。
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【名前】《刀堂流刀術》:n連撃 消費MP:500+10n
【効果①(LV.1)】一刀両断をn回繰り返す。
【効果②(LV.☆)】このアーツで相手の器官を斬り落とすと他のアーツに繋げやすくなる。
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【名前】《刀堂流刀術》:蕾 消費MP:5000
【効果①(LV.1)】蕾のように相手の攻撃から身を守る。
【効果②(LV.☆)】このアーツの使用中のみ、武器が軽くなる。
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【名前】《刀堂流刀術》:茎 消費MP:5000
【効果①(LV.1)】茎のように靱やかに相手の攻撃を避ける。
【効果②(LV.☆)】このアーツの使用中のみ、AGIが少しずつ上昇する。
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【名前】《刀堂流刀術》:華 消費MP:5000
【効果①(LV.1)】華のように美しく相手を斬り刻む。
【効果②(LV.☆)】このアーツの使用中のみ、AGI+100
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皆さんにこの世界の知識をば...。
『MPを消費しながら登録したい技をする』というのは頭の中で考えたことも含まれるので、現実では出来ない技をアーツとして登録が可能です。彩音たんが涼香さんから聞いたのはあくまでも体験談であって事実ではなかったということですね。
ですがその場合、再現する為にMPが必要です。そのため高難度の技になるほど要求MPが高い訳なのです。
しかし、それができてしまう人もいます。(彩音たんとかアヤネたんとか...)自分の力だけで完璧にアーツを使用した場合、MP消費はなんと!ゼロになるのです!いぇーいドンドンパフパフ!
つまりアーツを全て自力でできてしまう彩音たんは────
──バヂヂヂヂヂッ!!!!




