第152話 密巴
「な！だ、誰だ貴様らはッ！！」
「お下がりください旦那様！ここは私めが...。」
「う、うむ！」
「え、えー...あの人もしかしなくてもここの家主では...？」
「あや...。今はどう逃げるかだけ考えよう？」
「なんで何かを悟ったみたいな顔してるの！？」
「あやちゃん。時には諦めも肝心ですよ？」
「マーリンさんまで！？」
「じゃあ私も〜！」
「えぇ...(困惑)。」
私と約1名を除く皆が現実逃避をし始める。それはそうだろう。勝手にお高そうなこの家に不法侵入してる上、家主と出くわしてるんだもん...。私も逃げたい...。でも、この部屋には窓は無く、出入口も今家主達がいる方にある。...どうしろと？
「...おや。貴方は確か捕らえていたはずだったのですが...？」
「？」
そう言いながら男はナイフを取り出した。
旦那様と呼んでいる男が何やらよく分からないことを言っている。私を捕らえていた？ん？....ま..まさか...！
「あなた達が私のあやを捕まえるよう命令したのね？」
「あらあら。あなた達だったのね？私の妹のあやちゃんを捕まえさせたのは...。」
「お姉ちゃんとしてこれは許す訳にはいかないね〜！」
「...とりあえず言いたいことは沢山あるけど、私は妹になった覚えはないよ！」
「あら残念...。」
「......どさくさに紛れる作戦は失敗っと...。」
なんかふーりんさんがブツブツ呟いてるけどどうしたんだろう？ちょっと嫌な予感がするけど...。
私もようやく使えるようになったメニューからインベントリを開き、黒狼王の魔刀を装備する。
そうして武器を構え、互いに睨み合っていると...
────ドガァァァアァァァアアアンンン！！！！！
「ちっ！もう奴らが来やがった！おい！早くアイツらを殺せ！」
「その必要はないぜぇ？だってここでお前が死ぬんだからなぁ？」
「「っ！？」」
急な爆発音が聞こえたと思ったら家主が部下に私たちを殺せと命令した。
だが、その殺気も次にこの部屋に入ってきた男達によってかき消された。
「うわぁまたなんか出てきたよぉ！」
「しっ！今は私たちが出るとこじゃない！」
「おっと！そこを動くなよ嬢ちゃん達！動いたら敵対と見なすからなぁ？」
...なんだこれ...。第三者が入ってきたと思ったらあの家主と敵対しているらしい。どうやらこちらに敵意はないみたいだけど、警戒するに越したことはないだろう。
「さぁ楽しくやろうぜぇ？」
「ひ、ひぃっ！？は、早くアイツを！」
「はっ！」
──シュシュッ！！スパパパパッ！！
「おお！結構速いなぁ！」
「もちろんです！私めは執事であると共に、護衛でもあるのですからね！！」
「はっ！でもその程度なんだな？」
「なっ！？がはっ！」
──カランッ...！
家主の執事さんの武器であるナイフが床に落ちる。それにより数秒程度沈黙が訪れた。ちなみに家主はというと、部屋の隅の方でプルプルと震えている。
私たちは敵対する気がないらしいのでただ突っ立っているだけだった。
「ひぃぃい！？！！？く、来るな！！来るなぁァァ───がっ...！！」
───グサッ...！
「ごふっ...ど、どう、して...こんな目...に...」
「これで任務は終了だ。帰るぞ！」
「....あぁ。」
男はお腹を抱えて叫ぶ執事さんを置いて、家主を右手に持つ剣で貫き、滅多斬りにした。...グロい.....。
どこからか聞こえてきた第三者とはまた別の声。今更ながらなんでいつも厄介事に巻き込まれるんだろう
そうして男たちは私たちの目の前から消えたのだった。...執事さんを残して。
