第151話 え?
「......。」
「......。」
30cm、20cm、10cm、とどんどんすずが近づいてくる。
私は動くこともできないし、すずのキスを受け入れるしかないのだ。いや、別にすずとキスするのはいいんだけ...ゲフンゲフン!嫌じゃないんだけど!何かなぁ...。もっと雰囲気をね...?
「.........。」
「.........。」
──ハァ......ハァ.........
え、なんか息遣い荒くない...?すず大丈夫...??何も見えないのってなんかドキドキするなぁ...。色んなことに敏感に反応しちゃうんだよね...。
───ガチャッ!
「「ッ!?」」
「はぁ...やっぱりこうなると思ってたわ...。」
「あー!すずちゃん今からキスする所だったの〜?」
「あ、え、いや、そのぉ...これは...あのぉ...ぅぅ...。」
扉が開く音がして、次に聞こえてきたのは久々に聞くいつぞやのマーリンさんとふーりんさんの2人の声だった。すずはこのシーンを見られて狼狽えている様子。私も恥ずかしいけどどうしようもないしね...。
「まぁ言い訳しなくてもすずちゃんがあやちゃんのことが好きなのは皆分かりきってるしね...。Loveの意味で。」
「そ〜そ〜!だからすずちゃん!ぶちゅーっと!」
「うぇえ!?...な、なんで...?妹にしたいって...。」
「それは妹にはしたいけど恋愛は別だしね。」
「むしろ姉として嬉しいまであるよね〜!」
「「まだ貴女の妹になってない(わ)!」」
「あ、はい...。」
キスえ、えーと...。この状況どうしようねぇ...。
「とりあえずあやちゃんを先に起こしましょ?」
「そうだね〜。」
「そうだった...!」
お!やっと起こしてもらえる!...あと、起こすの忘れてたすずは後でごにょごにょ....。
「あやちゃーん!おーきーてー!」
「.........んっ......ありがとう。」
「えぇ。おはようあやちゃん。」
「おはようあや!」
「......うん。何食わぬ顔してるけどさっきまでの会話全部聞いてたからね?」
「「「え...?」」」
起こすの忘れて私にキスしようとしてたすずちゃんはどうしてくれようか...。
「いや、ね?あは、は...あれは...そのぉ...。」
「その...何?」
「.........すみませんでしたぁぁぁ!!!」
すずは楽な姿勢からすぐさま土下座謝罪をする。...なんという変わり身の早さ...。
「ま、まぁあやちゃんそう怒らないで?すずちゃんも悪気があってそうしたんじゃないからさ...?」
「う〜...。それは分かってるんですけど...。」
「まずはここから出ようよ〜!話はそれから!」
「......そうですね。」
そういう訳で私たちは外に出ることになった。ちなみに男は黒焦げになっていたので、鍵を拝借して首輪を外した。
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「出口は先に見つけておいたからこっちで合ってるはずよ。」
「はぇー...用意周到ですねぇ...。」
「そうねぇ...。」
「ふふん!私のマーリンは凄いんだから!」
「いや私貴女のものじゃないけど...。」
「え...?だってあの時───」
「わー!!わー!!その話は止めて!!」
「えー?......可愛かったのに...。」
「何か言った?」
「なんでもないです〜!」
「そう。じゃあ行くわよ。」
ようやく出口を見つけ、虹色の膜を突き抜けると、そこには見慣れない部屋に出た。
「...うん。皆いるね。じゃあ行こ──」
──ガチャ...。
「──ったく!なんでアイツらが襲ってくるんだ!!」
「旦那様!今はそのような事を仰っている暇はございません!さぁ早くあの扉...に...?」
「「「「「「え?」」」」」」




