第146話 踊らない捜査線
──涼香side
「すみません。ここら辺で私の....いえ、赤髪美少女の龍人を見ませんでしたか?」
「え?いえ。私は見てませんけど?」
「そうですか。ありがとうございます。」
「いえいえ。お気をつけて。」
「はい。ありがとうございます。」
これで20人目か。私達の家がフォルマナの東側の中央辺りにある。その近辺はもちろん、北東から南西にかけて探したけど中々それらしい目撃情報はない。それらしい...と言っても赤髪美少女の龍人なんてこの街にたった1人しかいないのだからあるかないかだけなんだよねぇ...。ようするに0か100かの違いだ。
「......はぁ...はぁ...。ちょ...ちょっと待って...。」
「私は何とかついていけてるけどねぇ〜。」
「くっ...!魔法使いで1番のデメリットであるAGIの低さをここで体感できるとはね...!ついでに体力も...。」
「んぇ?あれ?2人ともついてきてたんだ...。」
「うわまじか。この子全く気づいてなかったよ...。」
「それはないよ〜すずちゃん〜...。」
「ご、ごめんって...。」
次は西方面を調べようかなと考えていたあたりでマーリンとふーりんの2人が走って追いかけてきた。ふーりんはメイス使いという接近戦に長けている武器を使っているからか余裕で走ってきてるけど、マーリンは魔法使いのせいか足が遅く、既に満身創痍だった。
「それで?次はどうするの?」
「東と南は調べたから次は西を探そうと思ってるけど...?」
「そう...。じゃあ私たちは北を探してみるわ。」
「え?いいの?」
「もちろんだよぅ〜。そのために走ってきたんだからぁ〜。」
「そうね。たまには私達も活躍したいのよ。」
「2人とも...。ありがとう...。」
こうして私たちは二手に分かれてあやを探す事になった。
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「あのぉ...。ちょっといいですか?」
「あらまっ!また可愛らしい子がいるわねぇ!」
「どうしたのかしらぁ?」
「私達で良ければ話を聞くわよ?」
「ありがとうございます。それでなんですが、この辺りで赤髪美少女の龍人を見ていませんか?」
「あら!その子ならさっき私達とお話してたわよ?」
「ホントですか!?」
「ええ!可愛らしい子だったわぁ!その時にオススメのお店を紹介したからそこに行けばいるかもしれないわねぇ...。」
「そうねぇ...。もしかしたら食べ終わってるかもしれないわよ?」
「それもそうだったわ!デリョサス・スシってお店に行ってみるといいかもしれないわねぇ?」
「ありがとうございます!」
「またお話しましょうねぇ!」
「はい!」
恰幅のいい4人組のマダムから話を聞くと、ようやくあやの目撃情報が出てきた。
早速マダム達があやにオススメしたであろうデリョサス・スシに行ってみることにする。
あ、その前にマーリンとふーりんにも伝えとかないとね。
『今からあやがいるかもしれないデリョサス・スシに行くけど来る?』
『当たり前じゃない。何せ私の妹になる子がいなくなったんだもの。』
『まだ諦めてなかったの?』
『いずれなると信じているわ!』
『今からあやがいるかもしれないデリョサス・スシに行くけど来る?』
『もちろん行く行く〜!もしかしたらあやちゃん誘拐されちゃったんじゃないかな〜?』
『その根拠は?』
『もちろん勘だよ〜!』
『はぁ...。』
「よし...。デリョしゃすっ!...こほん。デリョサス・スシに行きますか...!」
周りの目が暖かいけど無視だ無視!別に気にしてなんかないんだからね!




