第144話 一方その頃。。。
───涼香side
「......おかしい。」
「ん〜?モグモグ...何がおかしいの〜?...モグモグ...。」
「んもぅふーりんたら食べながら喋らないの!」
「ふぇー!いいじゃん!」
「...まったく...。」
眉にしわ寄せて悩む私を他所に、私の目の前でマーリンとふーりんがイチャイチャしている。
この2人は異形の森からサーディンまでの道程で一緒した仲である。あの時はあやが途中で抜けちゃったけど、その後私たちはフレンドになったのだ。あやが妹になる云々は置いといて、その他の話が合ったからね。度々会うとこうしてのんびり話し合っていたりもする。
今日はたまたまこの街に来ていた2人と共に最近買ったばかりのあやと私の家でのんびりしていた。正直あやと気まずい関係になっている今、2人の存在がありがたく思える。
...最近、この2人の距離が近い感じもするのは何でだろうねぇ(遠い目)。
「それで?スズちゃんどうしたのかしら?」
「...あやの事なんだけどね?」
「「うん」」
「フレンドチャット送っても何にも反応がないの!!」
「「うん?」」
「いつもならすぐに送り返してくるのに!!」
「そ、それってたまたまなんじゃないかなぁ〜?」
「そ、そうね...。私もそう思うわ...。」
「いいや!これは絶対におかしい!!私の勘がそう言っている!」
「うわぁ〜...。これは重症だねぇ〜...。」
「スズちゃんはアヤちゃんの事になるといっつもこうなるのよねぇ...。」
「こうなったらあやを探し出すしか....ブツブツ...。」
「「過保護だねぇ...。」」
「待っててあや!!」
こうして私はあやを探し出すために2人を置いて外に飛び出したのだった。
「しょうがないわね...。私達も着いて行きましょうか。」
「うん!」
先に走り出した涼香を追うために、2人は急いで席を立ち、こちらも走ってついて行くのだった。
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───???side
「おうおう賑わってんねぇ。」
「ふっ...。それももうじき終わる。」
「そうだな!」
俺と最高の仲間の2人は外壁から迷宮街フォルマナを見下ろしていた。
「それで?こっからどーすんだっけ?」
「...もう忘れたのか...。」
「しゃーねぇだろ。あいつら話を婉曲し過ぎだからよぉ。もっと直接言って欲しいもんだぜ...。ったくよぉ...。」
「...まぁそれについては同意する。で、内容だが───」
こいつ...ジオールから聞いた話によると、まず、夜になったらこの街に入り、中央区にある領主の屋敷に侵入。そして、フォルマナの領主を暗殺してから脱出...って流れだな。
「──って感じだ。...おいスギーラン。聞いてんのか?」
「モチのロンさジオール。お前と俺は2人でひとつだろ?」
「はっ!よく言うぜ。たまたま能力の相性がよかっただけだろ。」
「まぁそうとも言うな!はっはっは!」
ジオールの言う通り俺らの能力の相性がよかった。俺はバリバリ接近戦が得意だが、ジオールは付与魔法を主とする支援が得意だ。そしてこの付与魔法が俺と相性がいいのだ。ジオールの付与魔法で俺や俺の剣を強化し、俺が突撃。ジオールはと言うと闇魔法で隠れる。ってな感じだな。
「いやぁそれにしてもあんのクソ領主め!大迷宮を封鎖しやがってよぉ!」
「そんな怒るな。もうすぐ解放されるんだからな。」
「...そうだな。領主お抱えの奴らのせいで俺らの稼ぎが無くなっちまったからな。このツケはキッチリ払ってもらおうじゃねぇか...。」
「そうだな...。」
「「──全ては我ら『天獄の章』の為に!」」
スギーランとジオールの2人は凶悪な笑みを浮かべながらこの街の行く末を想像していたのだった。




