番外編① キジンさんの道
今回からカインsideです。全部で何話になるか...分かりません...!!
──カインside
俺は第1回イベントでスズカに負けてしまった。あの一騎討ちは今でも俺の身体を震わせる。それほど深い高揚感があった。それにスズカの存在感が凄かった。まるで人間が本能的に頭を垂れるような存在...あったことも見たことも無い神のような感じだった。
「俺はどうすれば......。」
自分に問いかける。鬼人になり、圧倒的な強さを得たが、それも井の中の蛙。結局は少し強くなった人間ベースの亜人に過ぎないのだ。
『オイオイ...。折角俺ノ身体ヲ混ゼタノニマダソンナコトヲ言ウノカ...。』
「仕方ないだろう...。」
『......ハァ...。ナァ知ッテオルカ?』
「なんだ?」
『鬼人ッテノハナ...マダマダ発展途中ナンダゾ?』
「!?」
『マサカコレデ進化ガ終ワッタナンテ思ッテナイダロ?』
「......。」
『...マズハ我ノ故郷デアル、リヅワ、トイウ鬼人ノ里ニ向カエ。話ハソレカラダ。』
「.........分かった。」
俺は以前同化してしまった鬼人のウルバの話を聞き、ウルバの故郷らしいリヅワと呼ばれる場所に向かう事になった。ウルバ曰く、今いるガンヴァント国王都ガンヴァーナから遠く離れた地...鍛冶の国ダルニアにその鬼人の里があるらしい。
「...絶対強くなってやる...!この剣に恥じない位にはな...!!」
アヤネから貰った剣...クラーガンソードを握りながら、俺は長い長い旅に出た。
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『オイカイン。』
「なんだ?」
『今度ハアノダンジョンニ入レ!』
「またかよ...。まぁいい。これもレベル上げの為だ...。」
そう言いつつ、俺はもう何度目かになるダンジョンへと入っていく。現在地としてはシクサリオンを少し過ぎた辺りだろうか...?
鬼人の里とやらはもうすぐの所にあるらしい。案外近いもんなんだな...。
『カイン。ソコヲ右ダ。』
「え?」
『イイカラ我ノ言ウ通リニシロ。』
「...はいはい分かりましたよーだ。」
急にウルバに指示され、その通りに進むこと実に1時間。いや長ぇよ...。
だが、到着した場所は色んな意味で凄い所だった。
『...ア、アレェオカシイナァ...。我ノ記憶ダトコンナ立派ナ野菜畑ハ無カッタハズナンダガナァ...?』
「...道間違えたとかねぇよな...?」
『イヤ、ソレハナイ。我ハ何度モココヲ通ッテ来タノダ。ソウ簡単ニ忘レルハズガナイ!』
「じゃあ誰かがやったんじゃねぇのか?」
「ウゥム...。鬼人族ハソノ性格上野菜ナンゾヨリ肉ダカラナァ...。カトイッテ外ノ者ガ入レナイヨウニ特殊ナ結界ガ張ラレテルカラナァ...。」
「あ、だからここに来る時無駄に曲がったりしてたんだな。」
『ム、気ヅイテイタカ。』
「まぁな。だったらそういう奴がたまたまいたんじゃねぇの?」
「ムゥ...。」
俺はキョロキョロ辺りを警戒しながらウルバの話を聞く。見たところ人の気配は感じられない。
「とりあえず散策してみるか...。」
『ソレモソウダナ。』
「おっ?こんな所に人か?めっちゃ珍しいなぁ!」
「『!?』」
「誰だ!!」
「うぉっ!ビックリしたぁ...。俺の名前は」
急に後ろから話しかけられたので、前に飛びながら抜剣し、声のした方を睨む。だが、そこには悪い意味で有名なやつがいた。
「やさ男だろ?」
そう。やさ男だ。あの第1回イベントでレイドボスという化け物を生み出した張本人である。
「...やさ男...ってなんで分かったし!?」
「いやだってなぁ...。お前の容姿と名前はすっげぇ有名だしなぁ...。それに俺もイベントのトーナメントに出場してたしな。」
「へぇー...なるほどなるほどぉ...。」
「...正直このゲームやめたかと思ったけど...。」
「あっはっは!折角いいゲームに出会えたんですからそう簡単にやめたりしませんよぉ。」
「(...こいつメンタル強すぎねぇか...?)」
「...まぁアヤネさんに対してはすごく申し訳なく思ってる訳なんですけどねぇ...。魔物から作った肥料のせいであんなことになってしまったんですからねぇ...。」
「あぁ...そうだな.。」
「でも!俺はそこで諦めなかったんだ!より完璧な野菜を作ってアヤネさんに食べてもらうんだって!!」
「お、おう...?」
急に熱く語り出したんだが...?
「そのお陰で俺は!ついに!新野菜を生産することが出来たのだ!!その名も!『元気100倍!万々菜!』だ!」
「うっわ絶対やばいやつじゃねぇか...。」
「あの悲劇の二の舞にならないように品種改良を繰り返したから大丈夫だぞ?」
「いや...そういう訳じゃないんだよなぁ...。」
あとこいつタメ口になるの早いな...。
まさかの展開。ついに再登場しましたねぇ...。これからどうなるんでしょう?




