第139話 柔らk─事故です
──ガチャ...
「...お姉ちゃん。」
今から寝ようというところで、私の妹である雪華が部屋に入ってくる。
「んぇ?...雪華いたんだ?」
「まったく...。いくら彩お姉ちゃんが好きだからってやり過ぎでしょ...。」
「うっ...。だ、だってちょっとだけいじめたくなっちゃったから...。」
「それは分かるけどちゃんと自重しなよ?」
「はーい...。」
「もう...。彩お姉ちゃんもこんな無防備にしちゃって...。」
雪華は私に対して文句を言いながら彩音に近づいてきて、布団をかける。
「次にこのようなことがあったら私が彩お姉ちゃんを奪うからね?」
「それは絶対ダメ。」
「じゃあ気をつけてよね!」
「それは...約束しかねます...。」
「はぁ...。じゃあお休み。」
「うんお休み。」
私に呆れながら雪華は部屋を出ていった。
雪華は今、中学2年生だ。歳は下だけど私よりもずっとしっかりとしている。そんな妹を私は尊敬しているが、それと同時に敵視もしている。
それは何故か、雪華があやを狙っているからだ。それに気づいたのは2年前。ちょうど私とあやが中学2年生の時だった。私が雪華に用事があって部屋に入ろうとしたら...その...ね?......していたわけでございます...。えぇ...。まぁその時のね?オカズと言いますか...。はい...。それがあやだった訳ですね!
そこから私はあやを狙う者同士ライバルとして雪華を見てきたんだよね...。
尤も、雪華自身、私が聞いていたのを知ってるみたいで、それ以来、あやに対する好意を隠そうとしなくなったんだよね。...それと、私に対しても何故か好意を持ってるように感じるのは多分気のせいだと思う...。
まぁ今はあやのことだけ考えてればいいや。おやすみなさーい...。
────────
────
「......───ず〜?すず〜起きて〜!」
「んぇぇ...?どーしたのあやぁ...?落ち着いて...おはよー...。」
「うんおはよー...じゃなくてっ!!おーもーいーー!!」
「???」
寝ぼけたままの目を擦り、今の自分の状況を確認する。
...えぇっと...?...うつ伏せ...?それにあやの声が下から聞こえるっていう変な状況...。
「──うにゃあぁぁぁあ!???!?!???」
うつ伏せの状態から起き上がろうと、両手を私の体の下に潜り込ませると何やら2つの柔らかいものを掴んでしまった。それと同時に聞こえてくるあやの叫び声。
...あぁ...。だんだん冷や汗が流れてくるわ...。
「す、すず...い、いい、いったん離れよぅ...?」
「あ、うん。」
彩音さんの言うことに素直に従いすぐにベッドから降りる。この間僅か2秒。自分でもビックリだ。
「「......。」」
あやの顔が真っ赤に染まっている。よく小説とかでゆでダコとかで例えられるけどまさにその通りだ。そして、おそらく私も同じくゆでダコ状態だろう....。
「............エッチ...。」
「ブフォッ!!」
彩音さんは両手を体の前で弄りながら私から目を逸らし、一言呟く。
当然の事ながら、鼻血を出して倒れてしまった。まぁこうなるのは仕方ないよね。だって不意打ちだったもの...。
「すずっ!?ねぇ大丈夫っ!?ねぇっ!!ちょっ、ちょっとまっててっ!!メイドさん連れてくるからっ!!」
意識が朦朧とする中、最後に思っていたのは...
───あやのお胸は慎ましいけど柔らかかった
という本人が聞いたら絶対怒るであろうことだけだった。




