第128話 ムッシュ
「そういえばあのキノコ、鑑定するの忘れてた...。」
「まぁどうせ次がくるからその時にね。」
「う──」
──ボコンッ!!
「ジュギャ──!!!」
「はっ!!」
──ドスッ...!!
「──ァァア!?!?」
「《鑑定》」
返事をする前に地面から飛び出てきたキノコを反射的に蹴り飛ばし、鑑定する。
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【名前】ムッシュLV.52 状態:正常
【弱点】なし
【苦手属性】炎
【説明】森の中か、フォルマナ大迷宮にしか存在しないキノコ型の魔物。進化すると特定の武器を極めた状態になり、ステータスもそれによって変化する為、危険であるとされている。進化前であるこの状態のムッシュが放つ胞子は状態異常:大小変幻、猛毒を付与する為、注意が必要である。
HP:4390/4390
MP:1585
STR:432
VIT:514
DEF:7254
AGI:105
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「防御力が異様に高いね...。」
「そうだね...。まぁこういう輩は魔防が無いと思うから私に任せて!さっきの胞子もあるしね!」
「うん。分かった。」
「《サンダーメイデン》!」
──バチッ....バヂヂヂヂヂヂヂ!!!!!!!
ムッシュの周りに10本程度の電気の槍が現れ、一瞬にしてムッシュを穴ぼこにした。
穴ぼこにされたムッシュは自分の体の中にあった胞子を周囲に撒き散らし、息を引き取った。
「えげつないなぁ...。」
「いやいや...あやに言われたくないんだけど...?」
「えぇ...?」
「自覚なし!?」
よく分かんないけどまぁいいや。で、話を戻すと、電気の槍。あれは現れてから敵に向かうまでのタイムラグがあり、更にはその速度もまぁまぁ遅い。
だが、ムッシュは避けなかった。...いや、避けられなかった。ムッシュの弱点はここにあると思う。それは足が遅いこと。ゲーム用語で言うならAGIが低いってところかな?
前に見たレベル38のスライムでさえAGIが165あったのだ。それよりも遅いムッシュが避けられるわけが無い。
だが、油断は禁物だ。
次に出てくる敵が進化とかしていたらもしかしたらスピード特化になっているかもしれない。
「やっぱり魔防低かったわね。」
「そうだね。そろそろ落ち着いたからアイリス出そうか。」
「うん。」
「ぅ?ありぇ?」
「どうしたのあ...やぁ!?」
私の目線がどんどん落ちていく。最終的に私の目線は地面から僅か20センチほどのところ。んぇ?なんですずが大きくなってるの...?一体どうなってるの...?
「ね、ねぇすず?私...ど、どうなってる...?」
もうここまできたら予想はつくけど聞かざるを得ない...。
「か......」
「か?」
「可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
「うびゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
───────
───
えー...どうやら私の体は縮んでしまっているらしい。それもアイリスと同じぐらい。と、とりあえずアイリスを出そうか...。
「ごめんねアイリス...。」
「か......」
「え...うそでしょ...いやもういいよ...やめて来な──」
───────
──
私達は今、すずの肩に乗っている。左肩に私、右肩にアイリス...ということはなく、左肩に私とアイリスが座っていた。...私を抱きしめながら...。
「いやぁ...妹ができたみたいで嬉しいネ!」
「...私...妹...違う...。」
先程、アイリスに散々匂いを嗅がれた挙句、ずっと妹扱い。そりゃ今の私はアイリスよりちょっとだけ背は低いかもしれないけどさぁ...。ちょっとだけ!!
ん...?
「ねぇねぇ2人とも。」
「なぁに?あや?」
「どうしたノ?アヤちゃん?」
「っ!っ!!......ふぅ...。」
ちょっとイラッときたけど、落ち着いて今思いついたことを話す。それは...
「あの胞子で武器造ったらアイリスにも持てるようなサイズに変形させれるんじゃないかなぁ...?」
...もちろん現実にはない方法である。
○今日のスキル○
今日は《サンダーメイデン》です。
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【名前】《風魔法》サンダーメイデン 消費MP:電針1つにつき20消費
【効果①(LV.1)】指定した相手の周りに電針を召喚し、相手に向かわせることができる。召喚本数は自由。
【効果②(LV.☆)】電針の長さ、大きさ、太さを変えることができるようになる。
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