第118話 ドールナビゲーションシステム
「で、どうするのあや?」
「...そうなんだよねぇ...。」
私は悩んでいる。どうすればアイリスの希望通りの武器を造れるかを。
大きいのが駄目だから小さいのを...とも思ったが、それだと今度は攻撃力が足りなくなる。大きな魔物相手に爪楊枝ぐらいの大きさの武器で攻撃しても大したダメージを与えることはできないということは自明だろう。
「じゃあフォルマナ大迷宮に行ってみたら?」
「え?なんで?」
「あそこは色んな魔物もいるし素材を集めてる内に何かいい物が思い浮かぶかもしれないでしょ?」
「...そう、だね。うん。元々行くつもりだったしちょうどいい機会だよね。」
「うん。」
「んぇ?どこかいくノ?」
「うん。隣街までね。」
「今度は私を忘れないでネ!?」
「あ、あはは...。多分忘れないよ。」
「多分??」
「はい。絶対忘れません...。」
「宜しイ」
早速フォルマナに行く事にする。もしかしたら大きさの問題を解決してくれる素材があるかもしれないし、無駄になることは無いだろう。
──────
──
「昨日の────」
「あれは謎だよなぁ───」
「魔物じゃなきゃいいけどな────」
宿の外に出て、聞こえてくる声に耳をすませる。どうやら昨日、海の方から衝撃波が観測されたらしい。どうやって観測するのかは分からないけど、きっとそういう手段があるのだろう。そして、その衝撃波は岸から約300km離れた場所から観測されている為、強大な魔物の仕業だと言われているそうだ。
....まぁ私だよね。
戦いがどんな感じだったのかは意識が無かったせいで分からないけど、帰りの船ですずとヨイチマルさんとの会話で凄さだけは伝わった。
「...早く行こっか。」
「...まぁその気持ちは分かるけどね。」
「...なんの事かな?」
「なんでもないですよー。」
雑談をしながら潮の匂いがする街を歩き、今度は東門から外に出る。
あ、潮の匂いで思い出したけど...
「そういえば...これ。渡してなかったなって。」
「え?魚?」
「うん!すっ...ごく!美味しかったんだぁ!」
「お、おぉ...?」
すずが若干引き気味だけど仕方ないじゃん!それほど美味しかったんだもん!ふふふ。すずもこの美味しさにほっぺを落とすがいい...。
「ん!これ美味しいね!私がいつも食べてるのと比べても問題ないぐらいだよこれ。」
「そうなの?」
「うん。またここに来たら食べましょう?」
「うん!」
すずと約束を交し、再び歩き出した。あ、そうだそうだ。また忘れるところだった。
「...うん。ここならもう大丈夫そうだね。」
「良かっタ。忘れられてなくテ!」
「う...あの時はごめんね...。」
「もういいヨ。」
「...うん。ありがと。」
「それで?アイリス。道って覚えられる?」
「エ?この道真っ直ぐ進むだけでショ?なんで覚える必要あるノ?」
「「ぅぐ...!」」
2人にとって痛いところを突かれた。確かに道なりに進めばフォルマナに着くのだろう。...でも私たちの方向音痴を舐めてはいけない。ちゃんと進んでいると思っていたらいつの間にか迷子になっていた、なんてことがざらにある。...いや、必ずあるのだ。
そこで方向音痴ではないであろうアイリスに道案内を頼もうという訳なのだ。
「...それはさすがに冗談、だよネ...?」
この話を聞いたアイリスは「マジかコイツら...。」と言わんばかりの引き攣った顔をしている。
「...残念ながら。」
「はぁ....。まぁいいワ!私が迷いそうになったら教えてあげル!」
「「おぉ〜!!」」
これほど大きな背中を見たことがない。もちろん実際は凄く小さいのだが...。
「──魔物。」
「来たわね!私の魔法の錆になりなさい!《サンダーボルト》!」
──バヂッ!!
「────!?」
「スライム?緑色だけど...。」
「えぇ。ただ、あれは普通のスライムではないわ。」
私が出会ったことのあるスライムは水色と青黒いやつだけだ。両者とも水魔法を使ってきていた。目の前のやつはなんの魔法を使ってくるんだろうか...?
「《鑑定》」
とりあえず鑑定。少しずつこのゲームの知識がついていくのがとても面白い。




