第112話 嫉妬の絶海皇マリエスタ
「...この先に女王陛下がいらっしゃる。」
「くれぐれも変な真似はするなよ。」
「わかりました。」
オサケマン達の言葉に頷きながら扉を開ける。
──ゾワッ...!!
「「「っ!?」」」
『...侵入者達よ。待っておったぞ。』
重い扉を開くと、声が頭に直接聞こえてくる。それと同時に凄い威圧を感じ、3人とも仰け反ってしまった。何とか前に進み、水でできている王座に鎮座するオサケマン達の女王の前に着いた。
『何やら懐かしい匂いがすると思ってここに呼んだが...』
「「「?」」」
『まさかこんな小娘になっているとはなぁ?』
私に目を合わせ、昔を懐かしむような顔をする女王。お胸が大きく、とっても美人な人魚さんだ。...それにしても本当にお胸が大きい...。私も大きくなるよね...?
「...あやはそのままでも十分可愛いわ。」
「い、今言わなくてもいいじゃん!」
『クックック!スカーレットはそんなことを気にしておるのか!昔は無頓着だったのになぁ?』
「〜〜〜〜っ!!!」
もう怒った。勝手に鑑定するからね!
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【名前】嫉妬の絶海皇マリエスタLV.1128 状態:正常
【弱点】なし
【苦手属性】雷
【説明】絶海皇の神殿に住む七大罪の内の1人。大昔に起こった第四次天獄戦争にて海の全てを支配したと言われているが、それは定かではない。
HP:856240/856240
MP:586246
STR:73652
VIT:81271
DEF:96653
AGI:85965
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「......。」
『クククッ...どうだ?私の強さは。あの頃よりも強くなったであろう?...それに比べ、スカーレットは弱くなっとるではないか!』
「えっと...私スカーレットではないんですよね...。」
『はぁ?何を言っておるんだ?スカーレットにはスカーレット特有の匂いがあるのだ!その匂いをこの私が間違えるはずが無かろう?』
「い、いやでも本当に違うんですよ...。」
「私のあやです!スカーレットではありません!」
「そうだぜ。こいつはアヤネだ。」
「2人とも...。」
明らかな強者に対して否を唱える2人に思わずうるっときてしまう。
『ほぅ...?ならばそのアヤネとやらよ。私にスカーレットとは無縁であると証明してみるがいい。』
「え、えぇ!?」
どうしよう...。無茶ぶり過ぎない...!?違うことを証明するってもう悪魔の証明じゃん!!どうしろと...。
『...だが出来ないと言うのであれば私と勝負をしろ。久々に体を動かしたいのでな。...それに...いや、なんでもない。』
「...?...わかりました。」
「あ、あや大丈夫なの?」
「そうだ。絶対死ぬぞ?」
「でも証明出来なくても結局死にそうじゃん?」
「...まぁそれは言えてる。」
「...確かにな。」
『今のスカーレットは力がないようだからな。そこの2人も参加しても良いぞ?』
「ありがとうございます!」
「俺らもできるだけ頑張るけど期待はすんなよな。」
「...うん。2人ともありがと。」
『それでは始めようか。あ、言い忘れていたが、ここで私が攻撃すると神殿が壊れちゃうからな。100分の1ぐらいに抑えるぞ?』
「わかりました。」
そうは言うものの焼け石に水に変わりはない。せいぜい足掻くとしましょうかね...。
「.........ふぅ...。」
『レイドボス:超級魚人種・嫉妬の絶海皇マリエスタが現れました』
『レイドバトルに参加しますか?参加 0/10000人』
はいっと。
『...じゃあまずは手始めに。近接戦から殺ろうか。』
──ギィィイインッ!!
「ぐッ!?」
王座に座って尾びれをピチピチさせていたマリエスタは一瞬で私との距離を詰め、立派な三又の槍で貫いてきた。それを刀で逸らしつつ、自分も避ける。
「っ!《サンダーストライク》!」
──バシュッ!
『フハハハハ!効かぬよ!!』
そこにすずの雷魔法が直撃するが全くもって効いている様子はない。
「せいッ!!」
『遅いな!』
──キィィィンッ!!
空中で泳ぐように浮遊しながら槍を振り回すマリエスタ。私も刀を振って逸らすが、如何せん力が強い。逸らすと言ってもほんの数cmぐらいだろう。
...どうしていつもこんな目にあうのか...。
※ちなみに、とんでもないステータス差があるのに鑑定で全て見えているのは仕様です。
 




