第111話 海底遺跡内部
『......。』
『す、すず大丈夫...?』
『...こりゃダメそうだな...。』
『い、いえ...まだ、まだ大丈夫...です。』
『うーん...そういうんなら....。でもなぁ...。』
サケサン軍団のミンチを見て、顔が真っ青になり、今にも吐きそうになっているすずはこちらを見ながらサムズアップしている。それを見て、私達は微妙な顔をする。...これは一旦戻った方が良さそうだね。
『ヨイチマルさんやっぱり1回戻りましょうか。』
『...まぁそうなるよな。』
『え?い、行かないの...?』
『すずの方が大事』
『アヤネの言う通りだ。...それにこれから活躍してもらう約束だからな。こんな所で吐いてもらっちゃ困る。』
『...分かった。』
そんな訳で具合の悪いすずをお姫様抱っこして浮上する。...あれ?既視感が...。
「あ、あやぁ...恥ずかしぃ....。」
「っ!」
両手を頬に当て、今度は顔を真っ赤にしたすず。その姿にドキッとしてしまい、私まで恥ずかしくなってくる。
なぜ、すずの声が聞こえるのかというと、私を覆っている水の膜がすずを覆っている水の膜と繋がったからだ。空いた隙間から声が聞こえてくると言うわけだ。まぁすずは気づいてないようだけど...。
『...イチャついてんなよな...。』
『い、イチャついてないです!』
『...私はイチャつきたいけどね?』
「っ!」
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「...うぅ......。着い...た...。」
「そうだね。あ、そういえばヨイチマルさんに聞きたいことがあったんだけどさ。」
「ん?なんだアヤネ?」
「最後のあれ。なんですか?」
「《ミリオンズ・ストーム・アロー》のことか?」
「あれってそんな名前だったんですね。」
「そうそう。MP消費が激しすぎるからあんま使いたくねぇけどな。」
「それってどのくらい消費するんですか?」
「最低でも4000だな。」
「え!?それってMP足りるんですか!?」
「足りんかった。」
「え、でも...」
「言いたいことは分かる。
実はな、小技なんだがMPがMAXの状態でポーション飲むと一時的にだが最大値が増えるんだよな。」
「...ちなみにですけど何本飲んだんですか...?」
「20本分だな。」
「「!?」」
すずも船の上で横になりながらこちらを見ている。すずも初耳だと言わんばかりの顔をしていた。
MP回復ポーションは1本で150回復させる。つまり、20本で3000分回復するということ。まさかそんな小技があったなんてね....。
──────
───
『...本当に大丈夫か?』
『ええ!もちろんよ!』
『ほんと?』
『うん!』
私達は今、海底にある遺跡の前にいる。
『それにしても本当に大きい遺跡ですねぇ...。』
『そうだな。』
『そう?普通じゃない?』
『『...。』』
『...早速入ろうか。』
『...そうですね。』
『?』
すずの言葉を無視して遺跡に入る。遺跡の入口には水の膜が張られていて、そこを通り抜けると遺跡内部には浸水してこない空間が広がっていた。
「...凄いね」
「そうだな。俺もここまで来れなかったからこれは驚きだ。」
「よし!ここでなら私の魔法も役に立つよね!」
「そうだね!私も頑張って守るから!」
「だからイチャつきは止めろと...っ!?」
「「っ!?」」
話していると、急に三又の槍をこちらに向けてくる魚に手が生えた生物が現れる。それも多数。
「そこの侵入者よ!」
「我らが女王陛下がお待ちである!」
「え?え?」
「つべこべ言わずに着いてくるんだ!!」
「なんなんだコイツら...。」
「さ、さぁ...?」
2人も困惑しているようだ。あ!そうだ鑑定鑑定...
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【名前】オサケマン♂LV.26 状態:正常
【弱点】なし
【苦手属性】雷
【説明】海に住む魚人型の魔物。サケサンが進化した姿で、知性が着いた。オサケマンが三又の槍を持っているということはオサケマンの上位種がいるということが証明されている。
HP:8650/8650
MP:5235
STR:550
VIT:710
DEF:760
AGI:530
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『ねぇねぇ。女王陛下ってこのオサケマン達の上位種じゃないかな?』
『え?あ、鑑定か。』
『うん。レベルは26で低いけど多分進化したからだと思う。』
『なるほどな。今は手を出さない方が良さそうだな。』
『うん。』
しばらくして、オサケマン達に案内された場所はとても重厚感のある扉の前だった。
 




