第108話 夢と海
男が森の中に消え、残された私達は街に戻っていった。
その際、男の子は足に怪我を負っていた為、お姫様抱っこで運んだ。男の子は私の腕の中で「もうそんな歳じゃないよー!」とか「恥ずかしいから降ーろーしーてー!」とか顔を真っ赤にしながら抗議してきたけど微笑んだら急に静かになった。...なんでだろ?
「シュン!!」
「お母さん!!」
拐われた場所まで戻ってくると男の子のお母さんが泣き叫びながらこちらを見つめていた。
「あぁ...!良かった...!!」
「お母さん!お母さん!」
...どうしたものか...。このまま帰る...?よし。そうしよう。
彩音は感動の再会を邪魔しないように《龍の力》で強化された身体能力をもってしてその場から離れたのだった。
「お母さん!あのね!そこのおねーちゃんが...あれ?」
「さっきの子が助けてくれたの?」
「...うん。もういなくなっちゃったけど...。」
「そうね...。できればお礼をしたかったのだけれど...。」
「お母さん。」
「なぁに?」
「...僕、大人になったら冒険者になる。」
「...ふふっ。そっか。」
そうして2人の親子は近くにある家に帰ったのだった。
──────
───
「......ふぅ...。戻ってきた...。」
「ふぅ。戻ってきた...じゃないわよ...。」
「っ!」
あの後、空を飛んだ時に見た広場の方向をひたすら歩いていた。そして、ようやく集合場所の広場にやってきた。
ちょっと休憩しようとベンチに座った瞬間、隣から話しかけられた。
「すず?」
「はぁ...10分遅れよ?」
「......ホントだ!あだっ!?」
「いったいどこで何をしてたのかしらねぇ?」
「まぁそこら辺にしとけ。」
「ヨイチマルさんは優しすぎない?」
「そこまで優しくねぇよ。」
デコピンされたおでこを擦りながら2人に説明をする。
「なるほどねぇ...。なんか後々厄介なことが起きそうだね...。」
「そうだな。俺らも調べておこう。2人とも気をつけるんだぞ?」
「「...。」」
「...なんだその目は。」
「「...やっぱり優しいなと。」」
「...ほっとけ。そんなことよりも海に行く準備はできてるのか?」
「もちろんよ。」
「はい。」
「じゃあ行くぞ。」
「「はい!」」
そうしてファレルの西にある海岸に向けて歩き出したのだった。
西門に向かう途中、プレイヤーやこちらの人からチラチラと見られた。王都でもチラチラと見られたけど今回は何かが違う。
「...空飛んだんでしょ?」
「...そうだった。」
一瞬で解決した。
───────
───
「着いたぞ。」
「早く着いたねぇ...。」
「...迷わなかったんだから当たり前でしょ...。」
「...そういえばそうだったね...。」
「...お前ら迷子になり過ぎでは?」
「仕方ないでしょ...。」
「うんうん。」
「はぁ...。まぁいい。」
「あ!」
「どうしたのあや?」
「私水着ないや...。」
「なんだそんなこと?」
「え?着なくていいの?」
「私が買ってきたから。もちろんサイズもバッチリよ!」
「...聞かなかったことにしよう。」
「...俺は闇を見てしまったようだな。」
すずに手渡された水着を手に取る。白いワンピースタイプの水着だった。
それを装備する。メニューの装備欄から装備するって選べば一瞬で選んだものを装備できるから別に脱いだ訳じゃないよ?
「はぁぁぁぁ......可愛いわぁぁぁ......。」
「すず離してー!」
「...あと少しー...。」
「まるで姉妹だな...。」
防御力は最早無いに等しいけど、私は刀があればいい。まぁ、今はインベントリに入ってるけどね...。
「あや!早速海で...」
「申し訳ないが手伝ってもらうぞ。」
「なん...ですって...?」
「はーい。」
ヨイチマルさんがインベントリから出したのは一気に10人ぐらい入れそうな中型の木製の船。
「──俺の目的地は深海だ。」




