第89話 内装と依頼
「家具を買いに行かないとね!」
「そうだねぇ。私が作れたら良かったんだけど...。」
「ううん。いいの。いつもアヤには助けられてるから!」
「そう?」
「そう。」
「....そっか。」
家の次は内装だ。この家は買ったばかりで何も無い。いや、正確には最低限必要な物以外何も無い、だね。何故か私も住むことになってるから私も家具選びに参戦だ。
そうしてすずと手を繋ごうとした所で...
──ピロンッ...
「ん?...メール...?あ、ノイチさんだ。」
ノイチさんからメールが来た。ノイチさんはイベントで出会った3人組の内の1人で、忍者の女性だ。あの時は敵同士だったけど戦ってる内に刀を羨ましそうな目で見てたから印象に残ってたんだよねぇ。
「どうしたの?」
「えっとイベントでフレンドになった人からのメールが来たの。」
「...へぇ〜...??」
「っ...な、なんだか寒気が...。」
「気のせいじゃない?」
「そ、そう、かな...?」
「メール読まないの?」
「読む...。」
『アヤネちゃん!イベント優勝おめでとう!プレゼントは刀の素材集めのついでにいい物ゲット出来たからそれをあげるね!それで...刀、作っていただけますか...?もちろんお金は払います!』
「プレゼントなんていいのに律儀な人だねぇ...。もちろん造るよ。対価はきっちり貰うけどね。」
メールに同封されていたプレゼントと書かれた物と素材と書かれた物を受け取る。
『アイテムをインベントリに送りました。』
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【名前】ミスリル:品質☆4
【説明】魔力伝導率がオリハルコン、ヒヒイロカネに次ぐ高さを誇る金属。別名:魔銀。加工しにくい、しやすいと意見がわかれる金属としても有名であるが、それは金属が人を選んでいる為であると言われている。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ミスリルだって。」
「ミスリルゥ!?!?」
「ひぃっ!?!?」
──ガシッ!!
「ミスリルの価値分かる!?トッププレイヤーでも1つか2つあればいい方なんだよ!?それを簡単に送るなんて...!!」
「すず!お、落ち着いて!?ね?」
「くぅぅ!!......そんなにアヤに気に入られたいのかぁぁあ......!!!」
「ん?」
低い声で唸っていて後半何を言っているのかが分からなかった。私が、何??
「え、えっと...刀造るから家具お願いしても、いいかな...?」
「うっ!わ、分かった!全力で選んでくる!」
「ありがと!じゃあ造ってくるね!」
「うん!こっちは任せといて!」
そうして私達は家具屋さんに行く道中で別れたのだった。
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───
「王都の鍛冶師ギルドは初めてだからちゃんと挨拶しないとね!」
「お邪魔します...。」
「邪魔すんなら帰んな!」
「え!?ぁ、あの...?」
「冗談だ。...そんな顔すんなって〜冗談じゃないか〜!」
「はぁ...?」
「まぁええか。俺の名前はジル。王都ガンヴァーナ鍛冶師ギルドマスターだぜ!よろしくな!」
「アヤネです。よろしくお願いします。」
やっぱり似てるなぁ。え?言わなくても分かるでしょ?ゲイルさんに始まってゴルさんザイルさん...運営さんそこらへんちょっと適当にしてない...?多分次のギルドマスターはズルさん...?ズイルさん...?どっちだろ?まぁいいや。
「お前さんがアヤネか!噂はここまで届いてるぜ!」
「そ、それはどうも...?」
こういう時どう反応すればいいのか良く分からない。イベントで優勝した事がこんな感じで響いてくるなんて思わなかった...。
「今日はなんか造るんか?」
「はい。ちょっとフレンドの刀を造ろうと思って。」
「ふれんど...?」
「あ、友達だと思ってもらえればいいです。」
「そうか。で、刀ってのはその腰に下げとるやつか!」
「そうですね。」
「ちょっと見てもいいか?」
「えぇどうぞ。」
「ありがとな!......ほぉ...?」
「凄いな...。流石はザイルが認めたやつだな...。」
「ん?ザイルさん??」
「あぁいや何でもねぇ...。それにしてもお前さん本当にすげぇな!こんな業物見たことねぇぜ!」
「あ、ありがとうございます...。」
これも恥ずかしいな...。
「ちょっとここお借りしてもいいですか?」
「あぁもちろんだ!好きなだけ使ってくれ!」
「ありがとうございます。」
さて、造りますか!




