おうごんのくに エルドラド
むかしむかし あるむらに
パルというなの イスづくりの しょくにんがいました。
もりの木をきって、その木をまた、ちいさくきって、
イスづくりの ざいりょうにします。
きのぶひんをくみたてて、イスのかたちができると、
つぎに、かみやすりで きれいにみがいて、
ニスをぬって つやをだし、できあがりです。
パルは、このむらにある こうえんのベンチや がっこうのイス、
レストランのイス、そんちょうがすわるイスまで、
あらゆるイスを つくっていました。
そして、そのイスは とてもすわりごごちがよくて
むらのみんなに よろこばれていました。
あるひ、パルは、できあがったばかりのイスをもって、
きょうかいへ いきました。
ぼくしさんが ちゅうもんしたイスでした。
きょうかいのまえには、こどもたちがいて、
うたをうたっていました。
エルドラド エルドラド
おうごんのくに エルドラド
すべてが きんでできた ゆめのくに
ゆうしゃだけが みえる まぼろしのくに
きんのめがねをかけて
きんのドレスをきて
いってみたいな エルドラド
だれもが ゆめみる エルドラド
おうごんのくに エルドラド
パルがこどものときから、このむらで、うたいつがれているうたでした。
パルは、なつかしくなって、こどもたちといっしょになって うたいました。
いってみたいな エルドラド
しあわせのくに エルドラド
おうごんのくに エルドラド
そのひのよる、パルはふしぎなゆめをみました。
もりのひろばのまんなかで、きんいろのふくをきた ろうじんが、たっていました。
「あすのまよなかに、ここへくるがよい。おまえに いいものを さずけよう」
パルは、はんぶん しんじられませんでしたが、
まんがいちのことも あるかもしれないと、
つぎのひのよる、もりへと でかけていきました。
もりのひろばの まんなかへいくと
そこには、ゆめでみたのとおなじ きんのふくをきた ろうじんがいました。
「パルよ、よくきたな」
ろうじんは、つづけていいました。
「このきんのめがねを おまえにさずけよう」
ろうじんは、きんのめがねを さしだしました。
「なぜ、わたしに くださるのですか」
パルは たずねました。
「わがくにで、イスをつくってもらいたいのだ。さあ、めがねをかけてごらん」
パルは、いわれたとおりに、きんのめがねを かけました。
すると、あたりがひるまのように あかるくなり、
めのまえには、りっぱな、きんのおしろが あらわれました。
おどろいたパルのよこで、ろうじんがいいました。
「エルドラドへようこそ」
ろうじんは、エルドラドのおうさまだったのです。
「もうめがねは、はずしていいぞ。ただし、なくさないように」
パルは、めがねをはずして、ポケットのなかへ だいじにしまいました。
おうさまに あんないされて、パルは おしろのなかへ はいっていきました。
おしろのなかは、すべて きんいろでした。
かべも ゆかも てんじょうも、
おかれた ちょうどひんも、
すべてが きんいろに ピカピカと かがやいているのです。
そして、さいじょうかいの おうのまへ やってきました。
まんなかには、きんのイスが おかれていました。
「これが、わたしのイスだが、すわりごこちがわるくてな。
ぜひ、かわりのイスをつくってほしいのだ」
「わかりました、おうさま。でもわたしは、木でイスをつくります。
すべてきんいろの、このおしろに にあうでしょうか」
「かまわんよ。つくってくれるかね」
「もちろんです」
「ただし、イスができるまでは、このくにからでることはできない」
「ざいりょうの木や、こうぐはありますか」
「わたしが、すべてよういしよう」
パルは、そのひから、エルドラドのおしろのへやで
イスをつくりはじめました。
おうさまのイスをつくるのは、はじめてです。
パルは、いつもより はりきって とりかかりました。
そして、いっかげつもたったころ、
とうとうおうさまのイスが できあがりました。
それは、木のとくちょうをいかした、こまかいさいくがついた とてもきれいなイスでした。
おうさまは、とてもよろこびました。
「なんてうつくしいイスだろう。すわりごこちもさいこうだ」
パルは、おれいにと、きんのふく、きんのぼうし、きんのくつをもらいました。
おうさまはいいました。
「もっとイスをつくってほしい。ざいりょうは、たくさんよういしよう」
パルは、おうさまのために、たくさんのイスをつくりました。
できあがったイスは、おしろのなかだけでなく、
まちのなかにも おかれました。
エルドラドのひとたちも、パルのつくったイスを きにいったようでした。
パルは、おうさまから、イスがひとつできあがるたびに、きんのおれいのしなをうけとりました。
やがて、りっぱなきんのいえにすむようになり、
パルのまわりは、きんいろのもので いっぱいになりました。
エルドラドの きんいろのまちのなかに、
木のイスが すこしずつ ふえていきました。
それをみて、ふゆかいに おもっているものがいました。
エルドラドの山にすむリュウです。
リュウは、このくにの まもりがみでした。
「このくにに、きんでないものを ふやしてはならない」
リュウのいかりは、ひにひに おおきくなりました。
そして、とうとうあるひ、リュウは、やまをとびたつと、エルドラドのまちへ おりたちました。
そして、まちのなかにある 木のイスにむかって、
ほのおをはき、やきはらっていきます。
ひとびとはみな、きんのいえに ひなんして ぶじでした。
まちじゅうのイスをやいたあと、
リュウは、おうさまのおしろのなかへと やってきました。
そして、リュウは、おうさまのイスをみつけると、
おうさまごと やいてしまいました。
リュウの つぎのひょうてきは、パルにきまっています。
パルは、にげようとおもいました。
しかし、どこへにげたらいいのでしょう。
「このくにから でるしかない」
パルは、おしろのまえへ はしっていきました。
このくにへきたときは、ここで きんのめがねをかけていたはず。
パルは、きんのめがねをとりだして、かけてみました。
しかし、なんにもかわりません。
そのとき、リュウが パルのめのまえに おりたちました。
「もうにげられないぞ」
リュウが、ぶきみにわらい、パルにむかって くちをおおきくあけました。
パルは、おそろしくなって、にげだしました。
しかし、ぜんりょくで はしっても、すぐにリュウに おいつかれてしまいます。
やがて、パルのあしがもつれて、ころびそうになったとき、
かけていためがねが、じめんにおちて、パルはおちためがねを、ふみつけてしまいました。
パリーン!
きんのめがねが われたしゅんかん、
あたりが いってんして
パルは、くらいもりのなかにいました。
きんいろのおしろも、ほのおをはくリュウも きえていました。
パルのめのまえには、むかし、ろうじんから きんのめがねをわたされたときと
おなじけしきが、ひろがっていました。
でもそこに、ろうじんのすがたは、ありませんでした。
おしまい




