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グナー遺跡2

 弓の勇者は光の勇者に獣人族の恋人を殺されその憎しみを敵軍の人間たちに向けていました。

 弓の勇者の意見に賛同している兵士たちがさらに戦意を喪失した敵軍を虐殺していきます。

 魔王の女はその勇者を止めてくれないかと剣の勇者に相談します。


 「もう人が死ぬのは見たくない…戦いの原因は無くなったはずなんだから分かり合えるはずだ」

そう言って魔王の女は戦争を終わらせることを希望しました。

だが全てに疲れた剣の勇者は首を横に振りました。


 「人の憎しみはそう簡単に割り切れることはない」


 憎しみが生むのは憎しみ、その連鎖は容易に立ち切れるものではなありません。

 そのことを知る剣の勇者は魔王の女の意見には賛同できませんでした。


 ですが魔王の女は諦めませんでした。










♢♢♢




 遺跡の中は少し暗く不気味は雰囲気を醸し出していた。


 「ルルカ、を頼める?」


 「はい!…炎よ、その力の種を……『フレイム』」


 俺が聞くとルルカはすぐに魔法を発動してくれる。

 初級魔法「フレイム」、火の魔法の基礎的なもので明かりや火種に使う魔法だ。


 でも詠唱がいるのか……


 「ルルカは無詠唱での魔法発動はできるの?」


 「無詠唱なんて上位の技能なんて使えませんよ!」


 「は?」


 無詠唱なんて前の召喚では基礎の扱いの技だぞ?


 そんなのが上位の技能なんて……


 「ペトラルカは?」


 「私は使えるけど難しい……」


 少し自慢げにいうが正直言って前の召喚の時には当たり前の技能でそんなんで自慢されても……


 どうやら今の時代では魔法はかなりの衰退をしているらしい。

 この感じだと剣術とか攻撃魔法もやばそうだ。


 確か部屋までに向かう道には……





 「GAAAAAAAAA!!」


 強力な魔物がいるはずだから。





 「なんですかこの魔物は!」


 「なんでこんな場所にキメラがいるの……」


 「やっぱりいたか」


 獅子と羊の頭にその二つが混ざった感じの体、そして蛇の尻尾を持つ魔物……キメラがそこにはいた。


 「ナオヤ様!私が前に出ます!」


 「いや、今回二人は見ていて、久しぶりに実戦してみたいからな」


 俺はそう言いながら白鋼と黒鋼を短剣に戻して両手に持つ。


 「…『俊足』、『剛力』、『金剛』」


 ひとまず自分の体に強化魔法をかける。


 「剛腕」は力、「金剛」は防御の強化だ。


 「さてと……」


 強化が終わると一気に地面を蹴り出して壁に着地する。

 そしてそのまま壁を走り……キメラの真上に来て、


 キメラの首を飛ばす。


 そのまま何も反抗できなかったキメラは首と胴体を話したまま物言わぬただの骸になった。


 「ちょっと本気でやりすぎたかな……血で汚れた」


 俺は血の付いた白鋼を振り抜いて血を振り払う。

 昔の俺ならもっと早く振るうことができたはずだし、キメラの気配にも気づけたはずだ。


 少し力みすぎたのかな?…いや、そんなことより。


 「ルルカ、ペトラルカ。多分このキメラの血に誘われて他の魔物が来るから準備して」


 「えっ……はっはい!」


 「……わかった」


 俺は今の戦いを見て固まった二人に声をかけて戦闘体制に移行させる。


 するとすぐに他のキメラたちがやってきた。

 今度は二体か。


 「一体は俺が相手するからもう一体は任せる」


 「「はい!」」


 返事が返ってきたので俺は黒鋼をしまい、右手の白鋼一本でキメラに向かう。


 「チャージ!」


 俺が叫ぶと白鋼は俺の黒い魔力を吸って徐々に大きくなってロングソードほどの大きさになる。

 片手剣となった白鋼を左側に抱え込むようにして構えて横薙ぎに振るう。


 見事のキメラの口に入った白鋼は横にキメラを真っ二つにする。


 うーん……やっぱチャージは使いすぎたかな?


 「さてと…ルルカたちはどうなったかな?」


 それから20分間ほどルルカたちの戦いを見ていた。

 せっかくきてもらったんだしアドバイスするためだ。


 苦戦していたようだがルルカがキメラの首に自分の剣を突き刺して致命傷を与え、離れたところをペトラルカの風魔法でとどめを刺したようである。


 「なんとか倒せましたね……」


 「うん…」



 息も絶え絶えになってるな。

 俺は近づきながら二人にアドバイスしていく。


 「ルルカ、君の動きには少し力みすぎだ。強化魔法を使ってなかっただろう?自分の剣術に自信があるのはわかるが強化魔法を使ったほうがもっと戦いの戦術が広がる。あとは型をなぞるのではその動きが通用しない魔物もいるからそこは気おつけろよ?」



 「はい!勉強になります」



 「ペトラルカは魔法の発動をもっと早く、無詠唱の練習をしておけばいざって時に発動しやすなるしな。あと補助魔法をルルカにかけておくといい確か風なら速さが上がる魔法のソニックシューズがあるだろ?風は他の火の魔法や水の魔法より調整が難しいが覚えてしまえばかなりの工夫が聞く魔法なんだ。自分の強化や仲間の強化、それにルルカの火の魔法を強化したりもできる、少し実戦でも使えやすいように魔法を改良してみるといい」


 「わかった……考えてみる」


 「よろしい。なら実戦でやってみようか……ほら次のキメラが来たぞ?」


 俺のアドバイスを聞いて頭の中で思考しようとしているのに声をかけてすぐに戦闘態勢に入らせる。

 すると遺跡の中からたくさんのキメラがこっちに向かってきている。


 ……さて久々に暴れますか。


 俺は無意識に口の口角を上げてキメラたちに向かった。



 ♢♢♢




 遺跡に入って三時間が経過した。


 今は地下二階、あと三階まで一階があるが順調に進んでる方だろう


 その間、襲ってきた魔物たちを屠っていった。

 最初は連携にぎこちなかったルルカとペトラルカもかなりスムーズに動けるようになっていた。


 「せい!…ペトラルカ!!」


 「わかってる……」


 落ち着いた様子でルルカはキメラの攻撃を強化魔法で強化したした俊敏さでかわして隙を作り、その隙にペトラルカの風の魔法で作った刃で首を飛ばす。


 二人とも最初の頃より強くなっているのを実感しているようで実に楽しそうだ。



 かという俺とは言うと……



 「暇だ……」


 強化した身体能力やチャージで強化した神器を使うとすぐにキメラが死んでしまうから無強化で白鋼と黒鋼を使いながら十体のキメラを相手していた。


 「なんでこんなに弱いんだ?」


 少し魔物の弱さに疑問を持ちながらキメラを屠っていく。


 そもそもキメラは様々な動物が合成された魔物で動物の中には当然魔物を合成されたキメラもいる……特徴としてその動物の能力を持つと言うのがあるんだが……なぜかキメラが使ってくる感じがない。


 なんでだ……?



 俺は最後のキメラの首に白鋼を突き立てて絶命させ、その疑問を解消するためにそのキメラの腹を切り開く。魔物なら魔石を持ってるはずだ。


 魔石とは魔力の塊が結晶化したものでその大きさはその魔力量の多さで決まる。

 強い魔物なら大きく、弱い魔物なら小さくその質も大きく変わってくる。


 俺はキメラの骸の心臓あたりにある魔石に向かって黒鋼をその開いた場所から突き刺して引きずり出す。出てきたものは二十センチほどの大きさの緑の魔石だった。


 「やっぱり……」


 「どうかなさいましたか?」


 ルルカが俺の行動に疑問を持ったのか近ずいてきた。俺はそのキメラの血に濡れた緑の魔石をルルカの方に見せる。前の召喚の時のキメラの魔石にしては小さいんだが今の時代ではどうなのだろうか?



 「魔石がな……小さくないか?」


 「?そうですか…?普通の大きさだと思うのですが」


 「……そうか」


 当たり前だった無詠唱の高等化。


 魔物の魔石のサイズの変化。



 そしてその反応を聞いて今のこの世界は少し技術や魔物が退化しているのが確認できた。




 ……少しきな臭いな。


 俺は一人心の中でつぶやきながらそのまま二人と一緒に地下三階の階段を降りるのだった。





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