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道中2

翌日、夜明け前に起きた俺はテントを片付けて出発の準備をする。


 アイテムバックの中にテントを入れて昨日のうちに作っておいた朝食を食べてまた同様に空歩を使用して空を走る。


 飛ぶ際に昨日の優男のパーティメンバーが俺の姿を見て驚いていたが知ったこっちゃない。



 それから四時間ほど走り、そろそろ休憩を挟もうかと降りる場所を探していると馬車が山賊に襲われているのを見つけた。襲われているのはかなり豪華な馬車で貴族のものだろう。


 頼まれた仕事の仕事中だし、関わりたくないがせっかくだし恩を売っておこうかと思いそのまま山賊と戦っている貴族の護衛の騎士との間に入る。


 空歩を解き、そのまま魔力を足に込めたまま回転をかけて山賊の一人の頭めがけて蹴りを放つ。

 回転がかかり鋭くなった蹴りはその山賊の頭蓋を粉々にした感触を俺の足に与えて見事決まる。


 「なっ何モンだお前!」


 「何ただの冒険者だよ」


 いきなり現れた俺に山賊のひとりがそう聞くが俺は軽く流して腰にあるクロスの柄に手を掛ける。

 すると一気に体の中から魔力が抜ける感覚があり、クロスに魔力を食われているのを感じる。


 もっとよこせ。


 とクロスが言ってるようにも聞こえ、一瞬動きが止まったがクロスを一気に引き抜く。

 クロスは鞘から抜かれるのを心待ちにしていたかのように魔力を吸う量を増やしてくる、結構持ってかれるので気を引き締めないと。


 俺は引き抜いたクロスで近くにいた山賊を横薙ぎに切り飛ばしそのまま回転しながら後ろにいたやつも切る。周りに血飛沫があがるが山賊たちはいきなりのことに動けていない、なぜが護衛の騎士もだった。


 「おいおい、何惚けてんだよ。さっさと戦わないと死ぬぞ?」


 「っ……やっちまえ!!こいつの方がやばい!」


 山賊のリーダらしき男が周りの仲間に命令すると全員が一斉に襲いかかってきた。


 俺は襲ってきた山賊を全員一太刀で倒し、強化魔法を使って強化した脚力でリーダーの後ろに回り押さえつける。


 「何しやがる!離せ!!」


 「離すかよ。そこの騎士、何かこいつを縛るものを持ってるか?」


 「……あっ、ああ今縄を持ってくる」


 何か間の抜けた返事をした騎士は慌てて馬車の中にある縄を取りに行った。





 ♢♢♢


 「それで……君は誰なんだい?見た所冒険者のようだが」


 「俺は直也。一応冒険者なりたてだが実戦経験がありだ、お前たちはクラド帝国のものか?」


 「ああ、クラド帝国ショーン伯爵家の馬車だ。今回当主様が魔族のものを奴隷にしたくてそのせいで処罰されてな。今回当主の方を護衛しているところだ」


 あのおっさんの娘か……性格は期待できなさそうだな。


 「なら改めて挨拶した方がいいかな、俺は直也伊澄。今回召喚された勇者の一人で今回、魔族の保護と受け渡しを担当する。これがあれば確かなんとなると行っていたはずだ」


 俺はナナリ王からもらったバッチを見せると騎士は驚いた表情になりすぐに馬車の中に声をかける。

 すると中から出てきたのは意外だった。


 真人間っぽいからだ。


 切れ目の美しい目に瞳と同じ長いひとつに結った茶色い髪、顔立ちも端正であのおっさんの娘には見えなかったのだ。


 「始めまして剣の勇者ナオヤ殿、今回ニルを収める貴族ショーン辺境伯爵家の当主になったモルド・フォン・ショーンです。お会いできて光栄です」


 「あのおっさんの娘とは思えないほど丁寧な言葉遣いだな。よろしく」


 それから仕事の話をするために同行することになった。


 ニルについてすぐに仕事に取りかかれるようにだ。

 話を聞いてみると現在魔族の女は解放されてかなりの高待遇をいけているらしい。

 まあ、悪いのは全面的にこっち側なんだから当たり前か。そしてもう帰りたいような様子があるらしいので急げるのはありがたいそうだ。



 「勇者様は魔族の方を送り届けたらどうするのですか?」


 「そのままいろんなところを旅する予定だ。冒険者でいろんなところに向かう、他の大陸にも行きたいしな」


 「そうですか。その理由をお聞きしても?」




 なぜかモルド嬢は理由を聞いてきた。


 「別に構わないが……なんでだ?」


 「あの大英雄の剣の勇者様が戦争にも参加しないと聞いたときは驚きまして、理由を聞きたくなったのです」


 「大英雄って……」


 「知らないのですか?あなたは他の三人の勇者よりも人気があるのですよ?」


 それはナナリ王からなんとなく聞いた気がする。


 「男性たちの殿方たちは術の勇者、女性の方々はあなたのような男性と巡り会えたりするのを理想としています」


 「まじ?」


 日本で小学生の女の子が言うような白馬の王子様扱いなのかよ。


 「それは光栄だが……そこまで大層なもんじゃないぞ?」


 「それを評価するのは回りお人ですよ。あなたからしたら大層なものじゃないと思っていても周りがあなたを大英雄と思っていればその評価が周りの評価です」


 「むず痒いな。少し変な気分だ」


 「ふふ……そうですか」


 それから少し旅の目的を話したりして馬車内での時間を過ごした。




 あっ、結局理由話してなかったわ。




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