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道中1

城を出た俺はまず最初に向かったのは街の入り口になっている門だった。

 

 ニルは確か馬車でも二週間……まあ、「三日」ぐらいで着くだろ。

 

 門にいる兵士に冒険者のカードを見せて門を出る。


 少し歩き人がいない場所に出たら俺は履いているブーツに魔力を流す。


 「エンチャント……『空歩』」


 魔法を付与したブーツで地面を蹴り大きくジャンプする。


 すると落下することなく空に地面を踏みしめるかのように立つ。


 「空歩」、魔力消費が高く足の武具に限定するが空を地面のように立つことができるようになる付与魔法だ。もちろん走ったりできるが魔力を流すのをやめると落下するし、使い手を選ぶ魔法である。


 「さてと…『俊足』」


 俺は強化した脚力で空を蹴り、一気に走り出す。

 魔力が多い俺には馬車などで移動したりするより早く移動できる方法なのだ。


 ペースを保てば三日ぐらいで着くだろう。


 でも……


「久しぶりにこの空を楽しみながら行くか」


 俺は空を蹴りながら急がなければいけないのに久しぶりの空の旅を楽しむのだった。


 


 ♢♢♢


 「さて……日も暮れてきたしそろそろ降りるかな」


 空歩を使って空を走り、日も暮れてきた。

 流石に夜の空は星空があるとしてもかなり暗い、それに夜行性の魔物もいるのでかなり危険なのだ。日の暮れる前にテントを用意しないと色々面倒なのだ。


 どこにテントを立てようか考えて地面に降りると近くにもう二つほどテントがあった。


 どうやら先客がいたらしい。少し離れた場所でテントを立てることにしようか。


 俺はそのテントから少し離れた場所にテントを立てて夕食の準備する。


 アイテムバックから食材と水と調理道具を出して簡単な料理を始める。


 食材は王都を出る前に買っておいたものだ。どうやら通貨は500年前から変わってなかったらしいのでたくさん買っておいた、食材には困らないから助かってる。


 今日の献立は野菜スープとパン、あとオークの肉を塩と胡椒で味付けしたものだ。


 オークは魔物の中でもうまい魔物で一般的な家庭でも食われている肉だ。ただ腐りやすい性質がありアイテムバックに時間経過停止の効果がなければ買わなかった。


 「やっぱり…オークの魔物はうまいよなあ…柔らかいし、その割にあっさりしてるし」


 オークの肉を食いながら夜空を見ているとふと視線を感じる。 

 何かと思いそちらを見ると、少し離れたテントの場所から干し肉と保存用のパンをを持った冒険者らしきパーティがこちらを見ていた。

 

 すごい見られてる……



 多分その原因は俺の食っているものだろう。

 アイテムバックなどの保存ができるものを持ってない場合は基本的に保存食が旅での食事となる。確かに羨ましいのはわかるがそこまでガン見されると少し食べずらい。


 食事をなるべく早く済ませ片付けをしてテントに入る。

 



 なるべく早く起きてあのパーティに目をつけられないようにしなきゃ……そう思って早く寝袋に入ろうとしたら誰かから声をかけられた。


 「済まない。少しいいか」


 「……なんだ」


 「いや、君は一人かと思ってな」


 テントから出てみると一人の男がいた。

 先ほどこちらを見ていた冒険者の一人だろう。重装備の鎧を装備していて背中には大きな盾、腰にはロングソードを装備しているところを見るとこいつは前衛の盾役と思われる。


 顔つきも女性が喜びそうな優男で人気もたかそうだ。


 「何の用だ?」

 

 「いや、君が一人なら俺たちと一緒に行動しないかと思ってね」

 

 「一緒、ねえ……」


 俺はそう言って離れたところにいるこの男の仲間たちをみる。

 魔術師、盗賊、神官の三人…全員女性だ。


 よりによって一番めんどくさいメンツかよ……。


 「いや、遠慮しとく。俺はニルまで一人で行くつもりなんだ」


 「ニルに行くのかい?俺たちもだよ。一緒に行こうじゃないか、それに君は武器はその剣一本だけかい?」


  優男はテントの中にあるクロスを見てそう言う。

 

 クロスをだけ呼ばわりとはひどいな。

 仮にも聖剣だぞ。


 「それが?剣が一本ありゃ十分だよ。それに付与魔法や強化魔法があれば素手でも戦闘はできる」


 「でもリスクはあるだろ?今俺たちは四人でパーティ組んでいるんだけど前衛が俺だけでね。人手不足なんだ」


 「……」


 俺はわざと話すのが嫌そうな顔をして断ろうとした時、なんか優男の仲間の盗賊が近ずいていきた。


 「ちょっと、ロベルが話しかけてんだからちゃんとした態度で話しなさいよ!」

 

 「は?」


 俺は優男の前に出てきた盗賊の方を見る。

 少し小柄の少女でまだまだ冒険者のなりたてだと言うのが丸見えだった。


 「何よ…なんか文句あるわけ!」

 

 「いや、見た感じ冒険者になりたてのように見えたから」

 

 「何よあんたもなりたてなんじゃないの?」


 「俺は確かになりたてだがかなり実戦を積んできた。実戦経験者には特有の雰囲気があるんだよ、お前にはそれを感じなかっただけだ。そこの優男もそうなんじゃないか?」


  「そうだよ。よくわかったね」


  俺の言葉に優男は感心したように頷く。


 「俺たちはこの前冒険者になったなりたてでね。あそこにいるのも同期なんだ、今回せっかくだから同期同士で初仕事ってことで今回、ニルから出ていた魔物退治を受けたんだ。」


 「そうか……」


 「君は?ニルに何の用だい?」


 「俺は今回知り合いに頼み事を受けて一度ニルに向かってる……話はこれでいいか?今回の申し出は断る俺はもう寝たいんだが」


 「でも誰が見張りをやるんだ?」


 「付与魔法でテントに気配遮断を付与してんだ。うるさいから早く行け」


 そう言って俺はテントの中に入る。


 盗賊の女が入ってこようとしたが黒い魔力の壁に阻まれて入れない。

 それもそのはずテントにはもう一つ付与魔法で付与をしてあるのだから。


 付与魔法「城壁」、結界のように魔力で使用者、又は使用者が認めたもの以外は入れないようにする付与魔法だ。


 付与魔法は確かに便利で開発をすればどんなものでも作ることができるがその分開発にも発動にも魔力を大量に消費する魔法でもある。俺は勇者である上に魔力量も多いから連発して使えるが普通は戦闘以外には使えない。


 これで何も気にしないで過ごせる。



 おやすみなさい。

 


 


 


 

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