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まさかの

 おはようございます。剣の勇者、伊澄直也です。


 また突然ですが助けてください。



 「伊澄!俺と勝負しろ!!俺が勝ったら戦争に参加してもらう!」


 何でまたこうなるの?



 ♢♢♢


 エルミナと話してから数日、俺はルルカにお願いされて騎士団の稽古をしていた。


 「お願いします」


 「はい、よろしく」


 女性騎士が武器を構え、俺に対峙してくる。

 俺は素手でやってる。白鋼なんか使ったら死人が出るし。


 俺は強化魔法は使わずに魔力だけをまとって力抜いて相手の出方を見ていると騎士の方が仕掛けてきた。


 「やあ!」


 上段から振り下ろされる剣を魔力をまとった左手で受け流して掌底を騎士の腹に叩き込む。

 すると少し苦しそうにした騎士は一旦距離を取り構え直す。でも逃す事なんてしないので構え直すのが終わる前に近づいて軽く足を払って転ばせてから剣を奪い、首に当てて勝利宣言をする。

 「はい終わり」


 「あ……ありがとうございました」


 「うーん、君は剣の振りは早いんだけど当てようと集中しすぎて他への注意があんまできていないから〜〜〜〜」


 終わった後は騎士たちのへのアドバイス。

 今日までの指導を手伝ってるんだからこれくらいわね。


 魔族の国にヴァンパイアを送り届けたらどこかその辺を旅しながらどこかに定住するつもりだから戻っては来ないと説明しているからか、かなりの人が指導をお願いしてきた。


 七葉は宮廷魔導士たちの研究室に連れて行かれてる。

 研究した魔法の意見を聞きたいそうな。



 

 そんな感じで騎士たちの訓練をしているとクラスメイトたちもやってきて訓練を始める。


 この前は別の訓練場でやっていたはずだが何でこの訓練場に来たんだ?

 そう疑問に思ったが騎士たちの訓練があったので意識を外し、そっちに集中した。



 そうして昼になり訓練が終わるとところでなぜか騎士団の方に声をかけてきた。


 「すみません。少し伊澄を借りていいですか?」


 「ナオヤ様ですか?それは本人に聞かないと……」


 「何の用だ」


 天川が騎士に話しかけてきていたのを見た俺は騎士の人たちに先に訓練を終わらせるように指示して、俺はクラスメイトの方へ向かう。


 「それで話はなんだよ。要件を言え」


 「君は明日この城を出るというのは本当か?」


 「そうだけど?捕まってる魔族を魔族の領地に送り届ける仕事をした後そのまま旅するつもりだ」


 「この戦争のことはどうする?」


 「さあ?魔族を返したら止まる可能性があるけどそっからは俺が知ったことじゃないしな」


 俺が飄々とそんなことを言うと天川は顔を赤くして怒り出す。


 「君はこの国の人々が死ぬかもしれない可能性があるのに見殺しにするのか!」


 「お前まだ懲りてないのか。前にも言ったが俺は自分が終わらせた戦争をまたやるつもりはない。戦争を止めるように魔族に声はかけるが魔族の仲間を傷つけられた怒りがなくなるとは思わないし、そのせいで戦争が始まってこの国がなくなっても自業自得だ」


 「関係ない人が死ぬのも自業自得だ。そもそも戦争の原因はナナリ王が部下である貴族の悪事を暴けなかったことにあるんだ。部下の始末は上司が請け負うのが筋だろ?」


 そこまで言うと天川は持っていた木剣を俺に投げてきた。


 「伊澄!俺と勝負しろ!!俺が勝ったら戦争に参加してもらう!」 


 「は?」


 「なんだ逃げるのか!それとも剣の勇者ってのは聖剣とかがないと弱いやつなのか!!」


 「いやいや、巻き込むなって言ったよな?」


 予想の斜め上の答えに俺は意味がわからなくなる。

 なんでそんな考えになったんだ?


 「目の前に困ってる人たちがいたら助けるのが普通だろう!」


 「じゃあそう言うのは一人でやれよ俺の中では仲間以外助ける義理はない」


 めんどくさくなって木剣を返却しようとすると天川がいきなり斬りかかってきた。


 「……なにするんだよ」


 「いいから勝負しろ!」


 「いやだ…よ!」


 俺は受け止めていた木剣を片手の木剣で撃ち払いそのまま天川の手の甲を打つ。

 すると天川は痛みで顔を歪めて木剣を離してしまう。


 おいおい、もう終わり?フザケンナよ?


  俺を倒すのならそんな実力じゃ敵わないぞ?


 俺はそのまま木剣で天川の肩を打ち、骨を砕く。


 「ほらほら、早く木剣をとれよ。俺に勝ちたいのであればそんなんでは一生届かないぞ?」


 「くっ……」


 天川はそのまま背を向けて木剣を取りに行く。

 俺は拾われる前に天川に背を木剣で叩き吹き飛ばす。


 「そんな簡単に敵に背を受けるように訓練してたのか?戦場に出たらすぐ死ぬぞ?」


 「だったら……光よ、『ライトニング』!」


 魔法で強化したらしい天川は今度は素手で戦うつもりのようで一気に距離を詰めてきた。


 「魔法か……しかも光属性かよ」


 俺は魔法の属性を見抜き面倒なことになったとため息をつく。


 「どうした!怖じけずいたとでも言うのか伊澄!」


 「いや単純にお前との相性最高すぎてお前の勝てる見込みがなくなって退屈になっただけだ」


 俺は光の力で強化された天川の拳を受け止めて。軽く魔力を体に張り巡らせる。

 そうすると拳に触れてた手のひらから溢れた黒い魔力で天川の光は霧散する。


 「なっ…!?」


 「俺の魔力は少し特殊でな、仲間からは『夜』の魔力と呼ばれてた。俺の魔力特性はどんな魔力でも包み込み無力化できる。特に光の属性魔法は俺の魔力の中でも一番相性がいいんだ」


 俺は天川の拳を掴み、そのまま捻りあげる。


 「いつ……」


 「なんだよ。こんなもんかよ」


 全く強くもない騎士以下の実力で俺に挑んできたのか?ふざけてんのならその辺にしろ。


 俺は天川を突き飛ばしてそのまま白鋼と黒鋼を首のそばに当てる。


 「この状況ですでにお前は死んでるぞ?本気でやる必要もないから俺はトドメは刺さない」


 「お前は……そんなに強い力を持ってるのになんでそれを人のために使わない!」


 「そもそも人のためってのが間違ってるんだよ。力は自分の意思で振るうものだ、そんなみんなのためとかって言ってるやつには一生わからない。あとな……」


 今度はクラスメイトにも聞こえるように声を大きくして話す。


 「大きな力を使うのなら、その分大きな責任が伴うんだ。そこのとこよくわかってから力を使え」




 そういって俺はその場を離れたのだった。











 












 「はあ……やらかした」



 天川たちの前で話をして訓練場を後にしたあと、俺はここ最近よくくるテラスで項垂れる。


 「なんでまたクサイ台詞を言ったんだ……」


 これじゃあ昔の俺に戻ったみたいじゃ……いや、元に戻ったのか。

 日本に帰った直後は、元の平和な暮らしに慣れるまで時間がかかったのだが元に戻るのは早いものである。


 「もう気にしないようにしよう……さて、いよいよ明日が出発だし準備するか」


 と言ってもほぼ荷物はアイテムバックにほとんど前のものが入ってるのであとは身分証明書がいるだけだった。


 「まだ昼過ぎたばっかだし……ちょうどいいか」


 俺は王城の城門に向けて歩き出した。













 ♢♢♢




 城から出た俺は街にのある建物にやってきていた。


 「冒険者ギルド」である。

 この世界で旅をするのなら少なくとも路銀がいる。その稼ぎをするのには冒険者ギルドが最適なのである。


 アイテムバックに金は入ってるが今の通貨とは同じとも限らないし。


 そんなこんなで冒険者ギルドクラド帝国王都市部に来ているわけだが……





 「ここはお前みたいな見た目だけのやつが来ていい場所じゃないんだよ!」



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