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悪役令嬢は買い物へ

…………………


 ──悪役令嬢は買い物へ



 期末テスト終了!


 今回も何とか乗り切った! 成績にはかなりの自信があります!


 というわけで毎回恒例の──。


「テスト後の打ち上げだー!」


「わー!」


 我が真・魔術研究部の部室で私が告げるのに、ミーネ君たちが歓声を上げる。


 我が部でも魔術関係の勉強を常日頃からやっていたおかげで、みんなテストは無事に乗り切れたそうだ。なので、心置きなく遊びに行けるというものだよっ!


「今回も商業地区に繰り出しましょうか?」


「いいね、いいね。何か買いたいものとかある?」


「夏に備えて水着などを準備したくあります。それからイチゴのショートケーキがおいしいと噂のカフェなどはどうでしょうか?」


「テスト中は我慢していたのですが、今学園で熱いブームを巻き起こしている恋愛小説の新刊が出たそうなのでそれを買いにいきたいですわ」


「いいね! 全部行っちゃおう!」


 うう。今、最高に女子してる感じだ。


 私が地球にいたときは全国各地の駐屯地・基地祭り巡りだったり、戦争もの映画の新作を見に行ったり、買いあさった軍事雑誌を読んだりだったもんなー。うわっ、私って女子力低すぎ……。


「では、いつものようにエーペンシュタイン広場の銅像前で!」


「いつものように午前10時からですね」


 ミーネ君たちとはもう大親友だ。やることが一致してる。未だに様付けなのはちょっと壁を感じるけれどもね……。そこはもうどうしようもないと諦めたよ……。


 さて、イリスたちも今頃はヴェラたちと遊びにいく計画を立てているのだろう。念のためにゲルプとロートに監視させてあるので、安心だ。後で妖精ふたりにはお土産のお菓子をあげないとな。


 しかし、妖精はお菓子ばかり食べたがるが、糖尿の心配はないのだろうか……。


「はあ。今回も期末テストが無事に終わってよかったですわ」


「苦しいテストがあった上での休みのありがたさですからね。堪能しましょう」


 などと、ミーネ君たちは言っている。


 だが、私は今回のテストの打ち上げではちょっとばかりやらなければならないことがあるのである。私の将来を決める上でとても重要なことを必ず実行しなければならないのである。


 だが、それが上手く行くのかどうかが不明で私は心配です……。


…………………


…………………


 さて、やって参りました。おなじみのちょっと思いついた人の像がある、商業地区の広場。今日も賑やかで人が行き交っている。私たちと同じように、期末テスト明けを喜ぶ学園の制服を着た生徒の姿もちらほら。


「お待たせしてしまい申し訳ございません、アストリッド様」


「いやいや。私が早く来てただけだから」


 どうにも待ち合わせ時間などは10分前には到着していないと落ち着かない性分なもので、今回もミーネ君たちより先についてしまっていた。


「それじゃ、今回はどこから見て回ろうか?」


「水着選びの後、カフェでお茶とお昼を済ませて、それから本屋というのはどうでしょうか? ルート的にはこれでいいと思いますけれど」


「じゃあ、それで行こー!」


 水着と言えば、あの店だな。


「さて、水着選びはこの私に任せておきたまえ! いい店を知っている!」


「おおっ!?」


 私が皆を誘導するのに皆がぞろぞろと付いてくる。


「ここだっ! 以前、円卓のメンバーで買い物したお店だぞ! 多分、扱ってる水着の数はハーフェルで一番多い!」


 その通り。私が紹介した店はヴァルトルート先輩たちと一緒に水着を選んだ店である。私もあれ以降ここでドレスを仕立てたりと顔なじみなので、網羅している商品の質には紹介するだけの自信がある。


「凄いですわ。円卓の皆さんが買い物されたお店だなんて」


「私たちなどがここで買い物をしていいのでしょうか……」


 いいに決まってるじゃないかロッテ君。


「さあ、レッツゴー!」


 テスト明けの私のテンションは最高に高いぜ!


「いらっしゃいませ、お嬢様方」


「こんにちは、ダニエラさん! 今日はクラスメイトの友人たちと一緒だよ!」


 いつものように大人の魅力とファッションデザイナーの魅力にあふれるダニエラさんが店の中で出迎えてくれる。今日行くことは伝えておいたから、びっくりはされてないはずである。


「まあ、アストリッド様のご学友様ですか。どうぞ、ご贔屓に」


 ダニエラさんはふふふと言うように微笑んで、ミーネ君たちを出迎える。


「今日は水着を買いに来たんだけど、どんなのがあるかな?」


「まあ、ではヴァルトルート様が買われたのに挑戦されますか?」


「いや、あれはちょっと無理です……」


 三角ビキニはペタン族の私が着てもなー……。


「パレオなど付いて今人気の品なのですが」


「いや。その、お胸が小さいですから……」


 ん? ミーネ君とブリギッテ君は結構胸あるよな。私の中の分類では巨乳に分類される方である。ロッテ君とサンドラ君もペタン族とは言い難い膨らみをしている。これはいけるのでは?


「ダニエラさん。この4人にあのレアールって水着を試させてあげてくれないかな?」


「ええ。畏まりました」


 あれが出てきた時には私とイリスはドン引きしたものだが、ミーネ君たちのリアクションはどうだろうか。楽しみである。


「アストリッド様。レアールという水着は初めて聞きますが、どのような?」


「見てのお楽しみだよ、ロッテ」


 ロッテ君もこの際どい水着で童貞拗ら──反抗期拗らせてる感じのシルヴィオをドンと落としてくれないかなー。いや、でもせっかくの楽しい海水浴にフリードリヒたちが一緒なのは一回だけで十分かな……。


「こちらになります」


 そして、満を持してビキニの登場である。


 チューブトップ型がら三角ビキニまで様々な露出度の高い水着が出たぞ。さあ、ミーネ君たちの反応は如何に?


「こ、これは破廉恥ですわ……」


「で、でも、円卓の方々が試されたのですよね、アストリッド様?」


 ふー。私とイリスがおかしいだけかと思ったが、あの反応は万人共通のものだったようで安心である。


「そだよ。円卓の海水浴でヴァルトルート先輩たちが着てた水着はこれ」


「そ、そうなのですか……。帝国の常識は変わりつつあるのですね」


 私が三角ビキニを指さして告げるのに、ブリギッテ君が頷いていた。


 まあ、変わってるのは我が道を行くことに定評のあったヴァルトルート先輩だけだと思うけどね。


「みんなで挑戦するかい?」


「アストリッド様がおっしゃるなら……」


「ちなみに私はこの可愛い感じのタンクトップとスパッツ型の水着を選びます」


「アストリッド様ー!?」


 梯子を外して悪いが、私のようなペタン族にビキニなど100年早いんだよ。


「もう、私もそちらにしますわ」


「わ、私はこちらに」


「これでしたらゾルタン様も……」


 おっ? ミーネ君以外は意外と挑戦的だな。


「ミーネもさー。スタイル良いんだから、アドルフ様の視線を釘付けにしちゃうような水着を選びなよっ!」


「ア、アドルフ様はこういうのには惹かれない方だと思いますわ」


 それがね、ミーネ君。あいつ、円卓で海水浴行ったとき視線が浮気してたんだぜ。


「まあ、それぞれ水着も新調したことだし、今年は海水浴に行きたいね」


「そうですわね。海もいいものですわ」


「と、殿方も誘いましょう」


 うんうん。フリードリヒ以外なら誘っていいよ。


「アストリッド様はやはりフリードリヒ殿下が帝国の常識に則った格好をお好みになられるから、その水着なのですよね?」


「なんでそうなるかな……」


 ミーネ君はひたすら私に地雷を踏ませようとするな。いい加減にしたまえ。


「さ、次はカフェだよ! お世話になりました、ダニエラさん!」


「いえいえ。またのお越しをお待ちしております」


 ちなみに水着のサイズ合わせで私が目測したところ、もっとも大きいのはブリギッテ君だったです。何を食べたらそんなに育つのか聞きたいよ、全く。


…………………

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