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初めて見る景色1

私は目に差し込むような光で目を覚ました。

ゆっくりと瞼を開くと、以前に見た覚えのある天井が広がっている。私は寝具の上で上体を起こし、ゆっくりと周りを見渡した。

私はフラニー達と食事を摂ったテーブルを見つめた。

壁の一部から漏れる光にテーブルの表面が照らされている。

私は寝具から出て立ち上がると、その光が漏れ出るところへと向かった。

私は布で覆われた壁の一部からその布を退ける。

細く、小さかった光が部屋いっぱいに溢れる。

眩しさに私は目を細める。私の目の前は真っ白にだった。少しずつ眼が慣れて眼前に見たことのない景色が広がる。

「ぁ…………これ……」

私は思わず、言葉を漏らす。

空一面を覆い尽くすような青い空が広がっていた。

私が知ってる空は灰色にくすんだ空だけだ。私はこんなに鮮やかな空を知らない。

私はそこから目が離せなかった。

私が空に見とれていると、扉をノックする音が部屋に響いた。

「スーイ、入るわよ」

扉の向こうから聞こえる。

声はおそらくフラニーだろう。

フラニーは私の承諾など気にせず、この部屋へと入っていた。

「おはようスーイ。昨夜はよく寝ていたわね。疲れは取れたかしら?」

彼女は部屋の入り口付近で、後ろに手を組んでこちらに笑いかけていた。

私は窓から目が離せず、彼女の言葉に反応する事が出来なかった。それほどに目の前の光景が私には衝撃的だった。

彼女が私に近づいて来る。

「スーイ、聞こえてないのかしら?スーイ!!」

彼女が私を少し強めに呼んだ。

私としては彼女の声が聞こえていない訳ではなかったので、驚きはせずにフラニーのほうを向いた。

「スーイおはよう。今日は良い天気ね」

「…………」

私は彼女の言葉に上手く反応できない。

私の知っている世界とは全く違うこの光景に対応できていなかった。

「昨日はよく寝ていたわね。夕食の声をかけようとは思ったのだけれど、ぐっすりだったから起こさなかったわ。お腹は空いてないかしら?」

フラニーは私の答えを待たずに続けて言った。

私は彼女に言われて気づく。確かにお腹の辺りに少し物足りない感覚がする。

これが「お腹が空いてる」という事だろうか。

「お腹……空いて、る」

彼女の言葉を繰り返すように言う。

私の答えを聞くと彼女はとても嬉しいそうになる。

そして、彼女は言った。

「そう。じゃあ朝食、食べましょう!」

私とフラニーは朝食を食べに、食堂へと向かった。

食堂ではミルチェ達、使用人が三人ほど食事の準備をしていた。

私達が席に着くと、目の前に朝食が運ばれる。

ここに来て二度目、"私"にとって二度目の食事は私に再びあのワクワクを感じさせ、それと同時にお腹の辺りの物足りない感覚が強くさせた。



私とフラニー、それと使用人達で朝食を食べ進める。

そんな時、フラニーがある話を持ちかけてきた。

「ねえ、スーイ。このあとのことなのだけれど、私と一緒に街へ買い物へ行かないかしら?」

「買いもの?」

私はそれがなんなのか分からない。

とりあえず、聞き返す。

「ええ、私の服を貸すのもいいのだけれど、貴方の物もあったほうが便利だわ。それに街に出れば貴方のことがわかるかもしれない。どうかしら?」

彼女はどうやら私の物を調達してくれる提案をしてくれているらしい。

私としてもこの世界の情報は欲しかった。

私がこの世界に来て二日目。私が知ってる場所はこの建物のごく一部だけだったから。

「はい、行きます」

だから私は彼女の提案に賛同した。

フラニーは私の答えに嬉しそうにしている。

私はつくづく分からない。彼女は私という別の個体に対して、なぜ自分のことのように笑ったり、喜べるのだろう。なぜ私の面倒まで見てくれるのだろう。

私には理解出来なかった。

「ミルチェ、今日の予定は決まったわ。朝食を食べ終えたら早速行くわよ」

「承知致しました」

これで今日の予定は確定したらしい。

私は目の前の食事を食べながら時々、フラニーの顔を無意識に覗いていた。彼女の思考が気になっていた。

結局それが分かることはなく、朝食の時間は終わったのだった。

多忙のため更新が遅れています。

よろしくお願いします。

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