二十日目 抑えられない、この逸る心
この前年が明けたと思ったら、あっという間に二月です。早いですねー。
ぬぼーっとしていたら時間はどんどん行ってしまいます。この瞬間、この一秒を輝かせながら生きていきたいものですね。
………とてもこんな小説書いてるヒトの言葉とは思えませんねー
「それで、だ。結局久城さんはどうしたいのかな。何か目的があってそれを僕に伝えたんでしょ?」
そう、一番大事なのはそこだ。もし彼女が芒に危害を加えるつもりなら―――残念だがただで返すわけにはいかない。でも具体的にどうしよう。おにいさん警察沙汰は勘弁よ? 婦女暴行、ダメゼッタイ。あ、でも今の話聞く限り僕の方が返り討ちにされそうだね。がくがくぶるぶる。
「どうって……そうね、まずは悪いモノかどうか確かめる必要があるわ。妖怪も人間と同じで、性質が色々あるから」
「なるほど。つまりあの子に会う必要があると?」
「そうなるわね。さて、私は話したんだから、次は貴方の番よ。綴樹君、あの妖怪が何処に住んでるか知らない? 分からないならせめて名前だけでも。とにかくあの妖怪に関する情報が欲しいの。あの子とどうやって知り合ったか、そしてあの日何をしていたか。教えてくれない?」
むむむ、そう言われては断れないじゃないか。仕方ない、とりあえず害は無さそうなので当たり障りなく説明するとしよう。
「えーと……神様にお願いしたら狐耳の少女が僕のベッドで寝てたので、一緒に暮らすことにしました」
うん、我ながら事実を端的に、かつ明快に表している。これで久城さんも納得してくれて、円満に解決するに違いない。……と、思ったのだが。彼女は額に手を当て、何か悪い冗談でも聞かされたような表情を作った。
「…………………えぇと。つまり、何? 貴方はあの子が妖怪だと分かった上で仲良くし、あまつさえ同居している。しかも、そもそもあの子を呼び寄せたのは貴方自身―――という解釈で良いのかしら?」
「うん、まあそういうことになるかな。というか、よくさっきの説明でそこまで分かったね」
「そ、そう? まあ、このくらいは普通じゃない? 褒めるほどのことでも……ってそうじゃなくて、どういうことよ、それ!? なんでそんなことしたの!」
「え……何か問題が?」
「大ありよ! 人間界に妖怪を連れ込むなんて……貴方、何を企んでるの?」
企んでるとは失敬な。どうやら久城さんは、僕が妖怪を遣ってクーデターを起こすとでも思っている様子だ。まったく、漫画の読み過ぎじゃないのか。僕はそんな大層な野望は抱いていない。抱きたいのは狐の尻尾である。
しょうがない。これはいっそ直接会ってもらった方が、話が早いだろう。丁度我が家の前まで着いたところだし。
「ただいまー」
「お、お邪魔します……」
扉を開けて久城さんを招き入れると、奥の方からパタパタとスリッパの音が近づいてきた。
「おかえりなさい、秋斗さん! ご飯にしますか? お風呂にしますか? ……あれ、そちらの方は……ご学友ですか?」
「―――ッ!?」
目にも止まらない、とはこの事だろう。闇色の瞳が向けられた瞬間、久城さんは懐に手を突っ込むと紙幣のような物――神社にある護符みたいな――を取り出し、きょとんとする狐っ娘に叩きつけるように突き出した。
「え、ちょっ、久城さん!?」
「なに、この子………こんな強い妖気、今まで感じたことない……!」
冷や汗が一滴、頬を伝う。その視線は鋭く、真っ直ぐに芒を射貫いていた。よく見れば、符を持つ手が微かに震えている。
しかし、当の芒は何が何だか分からないという様子で、おろおろと僕と久城さんに交互に視線を彷徨わせる。と、何か思いついたようにポンと手を打ったかと思うと、
「う、うわ~、やられた~………」
そんなセリフと共にへなへなと床に座り込んだ。
「……………」
「…………………」
「………………………あれ。わたし、何か間違えましたか?」
プルプルと震える僕たち。といってもその理由は大きく異なる。僕は必死に吹き出すのを堪え、久城さんは……うわぁ、耳まで真っ赤になってらっしゃる。羞恥によるものか憤怒によるものか、はたまたその両方か。それは僕の与り知るところではないが、なにはともあれこんなところで立ち話というわけにもいかない。機能を停止した久城さんをリビングへ招き入れると、芒は何も聞かずにお茶の準備をしてくれた。
なんだか最近疲れが取れない感じがします。季節の変わり目だからですかね。
とりあえずおいしいもの食べてぐっすり眠ることにします。
みなさんも体調管理には充分注意してくださいね




