6話
開いて頂いてありがとうございます。
ティックス スターレイン ――― 彼は今代のスターレイン公爵家の当主であり、シンナイト(龍騎)の契約者である。彼は今執務室で頭を悩ませていた。
「カーラのやつ、シルベールと戦ったのか。それでカーラはなんと言っていた?」
マリ スターレイン ――― 彼女はスターレイン公爵家の夫人であり、今は退役しているがナイト(氷姫)の契約者である。
「この先が楽しみなやつだ、って言っていました。カーラは戦闘狂の面もありますが、人を見る目はありますからね。楽しみにしていいんじゃないんですかね?」
それを聞いてますます困った顔をするティックス。
「そうか…。俺はあいつに剣以外のことにも興味を持ってもらいたいんだがな。カーラと戦っては更に剣に気が向いてしまうじゃないか」
「まあ、構わないではありませんか。あなただって昔は女性など剣以外のことには興味は無かったではないですか。大丈夫ですよ。騎士学校に行き、ナイトを発現させればまた、新しいことも起きるでしょうし」
そう言ってマリは苦笑した。
俺は家の門を開けて入る。俺の家は侯爵家だけあって王城から近い。そして父上と母上は両方ナイト持ち、父上に至ってはシンナイト持ちだが、何かあったときに王城に駆け付けられる位置にある。後はまあ、公爵家であるので家はでかい。
「坊ちゃま、お帰りなさいませ」
そう言って俺に頭を下げ、出迎えてくれたのはサリーヌ。俺が赤ん坊の頃からの専属メイドだ。黒髪に身長は160センチ程。後、可愛らしい。今年で確か28になるのではなかったかな。まあ多分だ、年齢のことは教えてくれないし、考えていると―
「坊ちゃま、何か余計なことを考えてはいませんか?私の年齢のこととか」
こうなるんだよ。なぜ俺の考えていることが分かる。
「いや、考えていないよ。サリーヌは可愛いなあとか考えていただけだ」
「そうですか。それと、ティックス様からの伝言です。帰ったら俺の部屋に来い、だそうです」
父上が?なんだろうか?おそらくは今日あったカーラ様とのことかな?
「分かった。着替えたらすぐ行くと伝えておいてくれ」
「分かりました」
サリーヌは俺に一礼すると父上の執務室へ向かった。
無題に広いエントランスを上り、二階にある自分の部屋に向かう。まあ、俺の部屋も無駄に大きいんだが。無駄な物は置いていないぞ。
俺はさっさと着替えて、父上のもとに向かった。
父上の部屋(執務室)のドアをノックする。
「父上、入ってもいいか」
「おう、いいぞ」
俺が部屋に入ったとき、父上は窓のそばに立っていた。身長190近くある長身に筋肉隆々な感じ。まさに戦士って感じだ。
「お前、今日はカーラと戦ったそうだな。どうだった?」
そう言って父上はこちらを向く。
「なんというか、格の違いを見せつけられたかな。俺が目指す道はあそこなのかということも実感できた」
父上はそれを聞いてカラカラと笑う。
「まあそうだろう。カーラは俺よりも強い。俺とマリが二人で戦っても引き分けに持ち込めるかどうかだ。俺単体では命を賭して戦わなければ止めることはできないだろうしな。いい刺激にはなっただろう。
後な、シルベール。さっさと彼女の一つでも作ってこい。前から言っているだろう。真の剣士を目指すのであれば沢山の経験を積めと。剣以外のところの経験が足りないと、高みには登れんぞ?」
またか。それは毎日父上から言われるんだけどな。
「まあ善処するよ。ナイトも発現させるし、何か変わるとは思うよ。あ、それとナイトの発現は明日の授業で行うって連絡があったよ。俺もやっとナイトを発現させることができるようになる」
それを聞いて父上は真剣な顔になる。
「いよいよか…。シルベール、知ってはいると思うがナイトとは魂で契約するものだ。中途半端な気持ちでは良いナイトとは契約でいないからな」
「分かってるよ。そもそも剣への気持ちをぶつけるだけだよ。結果楽しみにに待っててくれ」
彼がナイトを発現させる明日、世界は動きだす。
シルベール伯爵家を公爵家に変更いたしました。