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真騎士(シンナイト)  作者: 夢中闊歩
1章 シンナイト
5/8

5話

開いて頂いてありがとうございます。戦闘描写は難しいですね…。

 王城グランドロスの中を歩いている、赤髪の女性 カーラ イグナイデットは執務室へと向かっていた。



 あの青年、シルベールはおもしろい人材だ。私は平民出身なので庶民側だが、彼は貴族、しかも四大貴族。なのに彼の目からは権力欲が感じられなかった。ただ純粋に、剣を求めるその気持ちだけが読み取れた。


 最後のあの一撃。私は完全に決まったと思っていた。彼を誘い、突きを打たせた後に頭をかち割る。並みの兵士ならば完全に終わっていただろうが、彼はそうではなかった。とっさに受け流したな。瞬時に受け止めらえれないと判断したのだろう。その度胸、精神力は称賛に値する。同年代でもトップクラスの腕なのは間違いない。剣術に関しもまだまだ楽しみだ。


 しかし、一つだけ気になることがある。そう、かれは一つ、剣士を極めていくために必要なモノが欠けている。それに気付かなければ、私がいる高みには登ってこられないだろう。



 彼のナイトについても非常に興味があるな。どのようなナイトが発現するのか非常に楽しみだ。



 そして彼女は自分の執務室に着き、中へと入って行った。









 「おいシル、お前すげえな。あのカーラ様、烈火の騎士と打ち合えるなんてほんとすげえ」



 シルベールは教室でフォルスや新しくできた友達と雑談をしていた。



 「ホント。私なんてあの顔見ただけで逃げ出す自信があるわ!」


 そう言って胸を張ったのはネマ ユアトス。彼女の家は貴族で男爵だ。彼女は医療魔術専攻である。


 「おいおい、そこは胸を張っていうことじゃないだろ」


 そう言ってネマにチョップをしたのがデルエ プリオリス。 彼も貴族であり、子爵。そして専攻は格闘である。



 そしてその喧騒の中でのんびりとシルベールの横で、本を読んでいるのが リザ。彼女は平民である。選考は軍師科。


 「こら、デルエ! 私になにしてくれんのよ!お父様にもたたかれたことないのに!」


 「うるせえ、そんなこと気にするな!」



 ぎゃーぎゃーと騒ぐ二人を尻目に、リザが話しかけてくる。




 「ねえ、シルベールって目立ちたくないんでしょ?」


 「ん?まあそうだな。もともと名前だけでも目立つし、あんまり目立ってもいいことないしな」



 するとリザは不思議そうな顔をする。



 「じゃあなんでカーラ様との試験のときにあんな全力でやっていたの?あれ凄い注目浴びてるし、その話でもちきりよ?今年の新入生にはカーラ様と打ち合える奴がいるって。あなたあれなの?バカなの?」



 そう言われて彼は言い返せない。図星である。



 「返す言葉もございません…」



 リザは呆れたような顔をする。



 「はあ…。まあ私は構わないけど。それより友達になってくれてありがとう。私、平民出身だからなにかとね…」



 「いや、構わない。俺は貴族であることを鼻にかける気はないし、その家の力を使う気もない。みなここでは唯の学生さ」



 リザはそれを聞いて微笑む。


 「それは助かるわ。ありがとう。これからよろしくね」




 その後、ブラウン先生が教室に戻ってきて、簡単な連絡事項を伝えた後に解散となった。










 俺は騎士学校を出て、王都を二分する大通りを歩いていく。この街の活気は大陸でも類を見ない。大陸の中心都市のひとつである王都グランドロスは、活気に溢れていた。



 「この活気が、平和がいつまでも続けばいいな…」


 シルベールはそう呟き空を仰ぎながら歩いていく。



 残念ながらシルベールが願ったことは続かない。時代のうねりはもうそこまで迫っていた。新たな時代を切り開くターニングポイントが自分であることなど、このときのシルベールには分からなかった。

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