3話
開いて頂いてありがとうございます。
「はい、次!」
「私の名前は…」
クラスメイトの自己紹介が進む中、俺はどう自己紹介を行おうか考えていた。なにかインパクトをつけるべきか…。いや、そもそもスターレインの名前だけでインパクトがあるか。まあ普通に自己紹介すればいいか。あと、面倒ごとも嫌いだから媚びるなとも言っておこう。お、俺の番だ。
「はじめまして。俺はシルベール スターレインだ。騎士科に在籍する予定だ。聞いてわかる通り、スターレイン公爵家の出身だけど、意識しないでもらいたい。普通の友達になってもらいたい。あ、俺と仲良くなったって学校の成績は上がらないからな?」
クラスがくすくすという笑いに包みこまれたのを見て、一応成功だと思っておこう。
ちなみに貴族の中でも、身分を気にせず接するというのは珍しい方であり、そこで余計目立っているのに彼は気づいていない。
そして後ろに座っているフォルスが回りの笑いととりながら自己紹介を行っているのを聞き流しながら彼は考えていた。
(この学校にくればより剣の高みに行けると親父は言っていた。教師、生徒共にレベルが高いのでお前も退屈しないだろうと言っていたのである程度は期待しておこうかな)
そしてその考えごとは、突然耳に入ってきたリオナの自己紹介で打ち破れれた。
「みなさん、ごきげんよう。私はリアナ スカイクラウンよ。魔術科所属よ。そしてシルベールの婚約者よ。よろしく」
な…なんだって!?
それを聞いたクラスメイトが一斉に俺の方を向いている。後ろでフォルスが笑ってやがる。後でシメてやる。
「リアナ。突然そんなことをいうんじゃない。それは決まったことではないだろうが」
それを聞いたリアナは艶やかな笑みを浮かべながらこちらを向いた。
「あら?いいじゃありませんの。そもそもお互い身分も問題ないですし何か問題でも?」
「いや、そういうことではないが…」
「こら二人とも痴話喧嘩は二人きりのときにやりなさい」
いや、先生突っ込む場所違うでしょ!?今これ以上話すとなにか自爆しそうなので黙っておこう。
そんな俺を見てリアナは満足そうな表情を浮かべながら席についた。その表情はまるでいたずら好きの悪ガキのようだった。
その後は何事もなく進み(俺は俯いていたが)先ほど先生に言われた試験を受けに修練場へと向かった。
「俺は知らなかったぜえ、シルベール。スカイクラウンとこの嬢ちゃんと婚約してたのか」
ニヤケた顔でそう聞いてきたフォルスに対して俺は拳骨をお見舞いした。それはクリーンヒットするかと思ったのだがさすが騎士科の生徒。普通に避けやがった。
「チッ」
「ちょ、舌打ちした、今舌打ちしたな!ひどいぜシルベール」
そして結構な数のクラスメイトがそれ見ていた。これによって親しみやすい貴族なんだなという印象が余計に広まり、更に注目度を上げていたのはこれまた秘密。
修練場では既に他クラスが試験を行っていた。この試験では各所属する科の先生が、基本的な実力把握のために担当することになっている。そしてちょうど彼が見ているのは他の騎士科の先生と生徒の打ち合いであった。
所定の待合室についてから彼はじっとその戦いを見ていた。
(これは…。父親が言っていたみたいにやはりレベルが高いな。今まで練習してきた中でも一人一人の質が高い。これは期待できるか)
これはそもそも学校の授業で負けたことがなかった。生まれてこのかた一度も同級生には負けたことが無かった。それ故に退屈していたのも正直な話であり、その退屈さを打ち破る希望が持てたことは彼にとって幸いだった。
(どっちにしろナイトを覚醒させないといけないし、新しくやることは多いからいいんだけどな)
「次!D組騎士科 ファルス!」
思ったより考えこんでいたようだ。
「ファルス、頑張れよ」
「はは、シルベールに言われたんならやんねえとな!ちょっくら当たって砕けてくるぜ!」
「いや、砕けたらいかんだろうよ」
フォルスを冗談を言い合い、彼は試験場に歩いていった。
フォルスの担当は騎士科の中でもトップ3の内に入る教員の先生、ジェークであった。ちなみにジェークはナイト(金剛)の持ち主である。
フォルスの手には一本の剣が握られている。これは試験用に支給された武器だ。特に良い武器ではないが、悪くもない。試験には適当な剣である。
彼が剣を構える。なるほど、脇を閉じて剣を横に傾けるか。これは防御、受け流し型の剣か?彼がそう思った瞬間ジェーク先生がフォルスに打ち掛かる。斜めから袈裟切りに落とされた剣をフォルスは剣を斜めに持ってくるように動かし、先生の剣を受け流す。そしてその受け流した勢いを利用して、打ち込む。
(なるほど。まるで柳の様だ。これはかなり身体能力が高くないとできないはず。はやりフォルスは同年代の中では強いのかもしれない)
ジェーク先生とフォルスの打ち合いはまるで剣で舞っているかのように綺麗だった。フォルスが受け流し、ジェーク先生が打ち込むのが基本の形だ。しかし、ここでジェーク先生がペースを上げた。綺麗に受け流していたフォルスの剣にも乱れが見える。今までは剣の中心で受け流せていたが少しずつそのポイントが乱れていく。
しばらくしてフォルスが受け流しを失敗し、そこに先生が間合いを詰め、彼の剣を弾き試験は終了となった。
汗だくになりながら帰ってきたフォルスを労いながら彼は驚いていた。彼の手には、少しまめができていた。これはいつもと使っている剣の種類が違うことを示している。
「フォルス、お前いつもなんの剣を使っているんだ?」
「お、さすがシルベール気づいたか。俺はいつもはカナタを使ってるよ。やっぱり剣自体に反りがないと受け流すのに余計な力がいるからまめできんだよ。ま、ほんとの剣士はどんな剣使ってもまめなんかできないだろうけどな」
恥ずかしそうに頬を掻くフォルス。
「そんな、フォルスは強いな。あんな受け流しはそう簡単にできるものではない」
そういう俺をフォルスは小突いた。
「ほら、お前さんの番だよ。行ってきな」
俺の担当もジェーク先生だった。俺は試験用の剣を受け取り、それを正眼に構え、開始の合図を待つ。そして審判が合図をしようとしたそのとき、後ろから声がかかった。
「ジェーク先生。彼は私が担当してもいいかな?」
俺はその声のした方に振り向き、声の主を確かめて。そして俺は思わずにやけてしまった。なにせ、声をかけてきたのは王国最強の騎士と呼ばれ、シンナイト(烈火)を持つ女性カーラ イグナイデットであった。
ナイトやシンナイトについてはまだ説明しておりませんのでご安心下さい。あと、これからラテン語の訳を使用していこうと思っているのでご了承ください。