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真騎士(シンナイト)  作者: 夢中闊歩
1章 シンナイト
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1章1話

 神は我らに一つの武器(じんぎ)を与えた。


 その武器を使い我らは人の世を築いた。


 その武器の名は騎士(ナイト)


 騎士(ナイト)は我々に大いなる力を与え、我らに希望をもたらした。


 人の世が安定し、繁栄していくとき、我らは新しい時代の波にのまれることになるだろう。


 新たな真騎士(シンナイト)が産まれるとき、時代は動き始めるでああろう。


 








 グランドロス王国王都グランドロスの大通りを、一人の青年が歩いていた。流れるような銀髪、バランスのとれた体、適度な身長。そして顔は整っている。その青年が向かっている場所は王立騎士学校。


 


 もう騎士学校に入学する年か…。俺は目の前に迫りくる騎士学校の門を視界に入れながらため息をついた。


 俺の名前はシルベール スターレイン。今年で18になる貴族だ。俺は貴族が嫌いだ。自分が貴族であるが故に余計に嫌いだ。


 俺のいる国、グランドロス王国は80年前の世界を巻き込んだ対戦、いわゆる黙示戦争の勝利国であり、世界第三位の国土を誇る大国である。先々代の国王、ルーシア様はいわゆる武闘派の人間で、国王でありながら自ら先頭に立って、黙示戦争を生き抜いた猛者だ。ルーシア様は昨年、御年98で亡くなった。


 なぜ貴族が嫌いかはルーシア様が関係してくるのだけれども、そこについてはまた追々。




 あれこれと考えているうちに俺は騎士学校の門にたどり着いた。そこでは同じ新入生らしき人たちも既に集まっており、手続きを始めている。見ていてもしょうがないので、俺は受付の列に並んだ。


 すぐに自分の番が回ってきたので受付を済ませる。


 「ご入学おめでとうございます。お名前を伺ってもよろしいでしょうか」


 流石は王立騎士学校だな。事務員まで丁寧だ。それもそうか。品位に関わる問題だしな。


 「俺はシルベール スターレインです。騎士科です。」


 それを聞いて事務員の方は固まってしまった。


 「りょ、了解しました。資料はこちらになります。入学式までに時間がありますので、席についたらお読みください」


 固まったのは一瞬で、すぐに対応してくれた。これは以外としっかりしている。でもその一瞬が嫌いなんだけど。だから貴族はいやなんだよ。



 それから入学式場につき、のんびりと時間を過ごしていると、俺に話しかけてくる男がいた。


 「やあ。横あいてるか?」


 「ああ、空いてる。座ってくれて大丈夫だよ」


 よかったという表情をしながらその男は横の席に座った。


 「なんか友達連ればっかでよ。俺は友達いねえからどうしようかと思ったんだよ。おっと、いけねえ名前を言い忘れてた。俺の名前はファルス。平民だから苗字はねえ。唯のファルスだ」


 あー、大丈夫かな?取りあえず俺も言わなければ。


 「俺の名前はシルベール スターレイン。貴族だ。だが俺も学生だ。シルベールで構わないし、そもそも敬語なんていらないからな」


 するとファルスの顔が怪訝そうな表情になる。うーん、こんな反応されたのは初めてかもしれないな。同い年には。


 「じゃあありがたく。シルベールってじゃああれか、国内四大貴族のスターレイン公爵の息子さんってことか。しかしまあ、びっくりしたな。お前、俺と同類の感じがするから話しかけたんだけども。まさか伯爵家の息子とは思わなかったぞ」


 ファルスはそういってハハハっと笑った。


 「俺も伯爵の名前に引かないやつは久しぶりに出会えたよ。それにしても同類ってどういう意味だ?」


 するとファルスの表情がニヤリとした。


 「シルベール、お前、剣にしか今興味がないんじゃないか??女とかどうでもいいみたいな」


 お、すごい。その通り。


 「そうか、ファルスもそっちか。だから分かったのか。これからもよろしく頼む。互いの立場の違いなんて気にしなくていい」


 そう言って二人は握手を交わした。


 実際ファルスが言ったことは合っている。俺は小さいころから剣の才能に恵まれていた。自分でいうのもなんだが。その影響というか、おかげというかはさておき、俺は小さい頃から剣一筋であった。他の子とは普通に遊ぶんだけれども。


 特に女性とは縁が無かった。いや、無かったというと違うな。対して興味がなかったんだよね。剣一筋だったから余計に。


 俺の父親はそれをすごい気にしていたのを覚えている。まあ、今もだが。貴族であるからまあ仕方ないことではあるけれども。


 今回の入学はナイトの力を得るためだけではなく、嫁でも見つけてきてくれっていう考え絶対にあると思うけれども。


 「そういえばファルスは何科?俺は騎士科だ」


 「おお、俺も騎士科だぜ。でもびっくりだよな。平民の俺にナイトの適性があるなんて、思って無かったぜ。貴族とかにしか適性ないと思っていたよ」


 「ナイトは身分は関係ないはずだけど。力があるものにナイトは適性を示すっていう感じだし」


 それを聞いたファルスは困った顔をした。


 「でも平民の俺にナイトの適性があるせいで、めんどくせえんだよな。お前みたいな貴族ならいいけど、凝り固まったようなやつだと絶対俺にいちゃもんつけてくるやついるって」


 「大丈夫だ、仮になんか言われたら追っ払ってやるよ」


 「それは助かるぜ」


 こうやって雑談をしているファルスは後に、シルベールの相棒になる男である。


 

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