月
私が思うに、マユと神坂くんは同じ種類の人間だ。
自分がこうだと思うことは他人になんと言われようと実行するし
他人の目なんてまるで気にしない。ミキとは正反対だ。
なんで私はマユみたいになれないんだろうか、なんで、どうして。
そんなことばかりがぐるぐると頭を周り続けていた。
ミキ今日もはいつも通り朝早くから登校する。
人のいない道では誰にも気を遣う必要もないし、どんな自分を演じる必要もない。
ふと、足を止め、空を見上げる。まだ薄暗い冬の空に、薄くなった月が浮かんでいる。
夜はあんなに綺麗に輝く月も、太陽が昇るにつれ、空へと消えていく。
そんな月を見上げ、「ああ、死にたいな」と声が漏れた。
別に本気で死にたいなんて思ってるわけじゃない。嫌なことから逃げ出して
あの月のように消えていってしまいたい。そんなことを考えているうちに
自然と口から出たのがこの言葉だった。
――朝から憂鬱だな。
などとに思っている間に、教室についてしまった。
「・・・・・・!」
いつも通り誰もいないと思っていたミキの目に映ったのは
今のミキの憧れでもあり、悩みの種でもある神坂くんだった。
「おはよう、いつもこんなに早いの?」
「え! あ、うん」
急に話かけられたミキは声がうわずる。
と同時に顔が赤くなるのがわかった。
「・・・・・・何、見てたの?」
誰もいないので、ここぞとばかりに話しかけてみる。
「ん、あ、月だよ?」
月、もしかして神坂くんも月を見ながら私と同じこと考えてるのだろうか
「どうして月なの?」
ようやく落ち着きだした心臓と呼吸を整えて、ミキは話を続ける。
「んー、月って昼間は太陽の光に隠れてよく見えないでしょ?
でも夜は太陽が月に隠れて月が光る。それってお互いがお互いを尊重してるっていうか
仲良しって気がして好きなんだよね。」
やっぱへんかな、とコウスケは照れくさそうに鼻を人差し指でこすった。
同じ月を見てミキは「死にたい」といいコウスケは「好きだという」
やはり自分と神坂くんは違う種類の人間なのだと、改めてミキは思い知らされるのだった。
予定があり2日あきましたがなんとか更新です。感想、アドバイス等あればお願いします、読んでいただきありがとうございました。