自己嫌悪
「後悔するような人生は送りたくないんだ。」
彼は何かにつけてそういっていた。
「後になって、ああしておけばよかった、こうしてればこうだったのにって
思うのは嫌なんだ。だから俺はやりたいことをやりたい時にやりたいようにやる」
彼はその言葉のとおりだった。彼の葉に衣着せぬ物言いや、破天荒な行動は
教師や大部分の生徒からは嘲笑されたが、その一方で一部の生徒からは人気を集めていた。
ミキもそんな生徒の1人だった。自分の意見よりも相手の反応を先に考えてしまう
ミキはいつしか、学校では「真面目な優等生」を家の中では「聞き分けのいい娘」を
演じるようになって行った。そんなミキにとって自分に素直に生きているコウスケは
まさにあこがれの存在だった。
「転校生ってどんな子なの?」
夕飯時、ママから神坂くんのことについて尋ねられる。
「別に、普通の男の子だけど?」
箸で細かく分けた肉の切れ端を口に運びながらミキは答える。
憧れの存在、なんて恥ずかしくて言えるわけがない。
「でもあんまりいい生徒じゃないって聞くわ
ミキ、あんまりそういう子と仲良くしちゃだめよ」
――なんでママにそんなこと言われなきゃいけないの!
ホントはそう言いたかった、しかしやはりミキにはその言葉を
口にすることはできなかった。
「コウスケくんはそんなに悪い人じゃないと思うけど」
隣に座っていたマユの口からコウスケのの名前が飛び出し、ミキの胸はどくんと跳ねた。
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