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13年前、美津濃あづさが撮った写真。
今でも尚、色褪せずにその存在感を十二分に放っている。
初めてそれを目にした客が、全員いつのものかを問うてくるくらい。
「さ、少年は帰る時間だ。」
「保護者同伴でも?」
「同伴じゃないくせに聞くな。さ、帰った。」
そう言うと、赤毛の少年は友達に声をかけに戻って行った。
これからは酔っ払い達の時間だ。
純粋無垢な少年たちには縁のない時間。
「ごちそうさまでした・・・・あと、オッサン。」
「何だ」
少年はそんなにも写真に興味を持ったのか、それとも開けられている席が気になるのか。
「俺って何歳に見えてる?」
「どうでもいい質問だな。」
「良いから、答えろって」
「中学生か?」
「いや、次の春から中学生。・・・今、俺の知ってる人は13歳だけど、5年前に引っ越しちまった。」
「何が言いたい。」
「別に。じゃ、また来ます。」
赤毛の少年は、不可思議な言葉を残し店を出て行った。
「最近の若いのは・・・・・・」
頭をかくしかなかった。