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就職先は、何の縁なのか。
意識をしていた訳でもない。そう、瑠維にとっては偶然だったのだ。
「話には聞いていたが……」
目の前に立つのはこの会社の会長。
「君だったとはね」
それは瑠維も同じ感想を抱く。
なぜだって?
それは、瑠維の目の前の立つ社長は。
養子縁組をしていながらも一度も直接会っていない、
社長もそうとは知らずに瑠維を採用したらしい。
履歴書とそれに張り付けてある写真を見て、知っていて採用したと思い込んでいた瑠維は違う意味で驚いた。
「私もです、お父さん」