6-1
彼の研究について、‘不死’について、瑠維は今一度考え直した。
そのきっかけは、卒業研究。
ここでは、三年次から卒業研究に取り掛かる。
皆が集まる桜の木の下。
進級したばかりの者たちが、大学構内の桜林の麓で、花見という名の酒盛りをしている。
『あのさあ、皆、卒業研究ってろーすんの?』
酔っ払って、眠りだすものが出て来た時、この中に居たうちの1人、マリ、が言いだした。
呂律が回っていない。
『わたしは・・・南先生のトコがいいな~って。で、新しい植物、花を作る!』
そう答えるのは、瑠維と同い年のアスカ。
『そーゆーのって、卒業してから作るんじゃらいの?』
『へ?』
『やっぱり酔ってる?』
『ちょっと、それはマリの方じゃない?』
『あーあーあー、聞こえん。・・・アスカはさ、先生のところでは原理について研究したら良いんじゃないかな~って』
三年になったばかりで、そのような事まで今はまだ考えていない者が大多数だろう。
その中で、アスカはまだ考えている方だ。
『うー。その方が現実的かも。瑠維は?』
いきなりアスカから話を振られて、瑠維は答えられない。
『え、あ・・・まだ考えてない。』
『そうだよね、この時期で具体的にアスカみたいに考えてる人の方が少ないよね。』
酔いは覚めたのか、いつもの口調に戻ったマリが早口に話す。
『とりあえず、今までやってきたことの集大成ってトコでしょ。』
『そうだね。』
瑠維には苦く笑うしかなかった。
皆が自分の意思で研究内容を考え決めて行く中で、自分だけが他人の意思を受け継ごうとしていたのだから。
不死とは、単に死なないと云う事を示すのか。
それとも、彼にとって別の意味が存在するのか。
今の瑠維でも、その真意に辿り着くことが出来ていない。
その為に行動に出る。 誰に何と言われようと。