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永久  作者: 愛埜
about 16 years ago
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2-1-1

 ―――夜の街

 其処ら中にカップルや夫婦が肩を組み、手をつないで歩いている。

 そこに、この時間にこの場に居ることが異質な少女が一人。 漆黒の長い髪を背に流し、その肌は陶器のように白い。


『ねえ、お兄さん。今ヒマ?』

『…………。』


 ベンチに一人座っている男に少女は声をかける。


『ワタシ、を、一晩だけ買わない?あ、それじゃあ、話し相手になるからさ。』

『金、困ってんの』


 少女は何も言わず、男を見る。

 そんな少女に、男は自分の横に座るよう促す。すると、案外大人しく少女は座った。


『……いくら欲しいの』


 男は少女の肩に腕を回し、耳元で囁く。


『・・・君が払っても良いって、思った分だけ』


 少女の肩に添えられていた手が、背を伝い腰へと下ろされる。少女はそれに、身を窄める。


『あのさ……』

『フジサキくーんっ!こんな所で会うなんて、もしかして運命!?』


 何処からともなく現れた化粧の濃い女。近づいてくるたびに、香水のにおいが強くなる。


『だからさぁ~。私と付き合ってよ!』

『悪ぃけど、』


 フジサキと呼ばれた男は、横に座らせた少女の腰を自分に引き寄せる。


『俺にはコイツがいるから。行くぞ。』

『えっ…うん』


 男は少女を立たせる。


『こんな高校生のガキのどこが良いのよ!』


 女は叫ぶ。


『こんな公共の場で出会う度に叫ぶような女はお断りだ、って毎回言ってんだろっ。』


 そう言うと、男はタクシーを引き留め少女を押し込むように乗せる。

 女はまだ何か言っているが、男は気にも留めずに乗り込み、タクシーは走って行った。

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