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永久  作者: 愛埜
now
16/31

1-1-4

「開店して13周年ですね。今日からは14年目に突入か…。」

「そうだね。・・・わざわざ来てくれるなんて嬉しいよ。」


 瑠維が差し出してきた花束を受け取る。


「其処の席が空いてるから。」

「ありがとうございます、俊介さん。」


 そう言って、先ほど赤毛の少年との会話のネタになっていた椅子に案内する。

 そう、この席は瑠維たちのためのもの。


「元気そうで良かったよ。なんてったって、14年前の今日に初めて会って、それから何かがあるたびに此処に来てくれててさ。姿を見せなくなったのが13年前。」


 この話をするのは憚れたが、この店と彼女を語る以上、こうなってしまう。

 それが解らず此処に来る程、目の前の女も馬鹿では無い。


「もう・・・?」

「大丈夫ですよ。でなきゃ、ここには来れない。彼との思い出がたくさんのこの店には、ね。」


 なにかふっきれている様な、そんな印象を俊介は瑠維に受ける。


「僕、今は大学院生なんです。」

「そうなんだ…。どこの?」

「同じですよ。」


 それだけで解った。

 相当勉強したのだろう。俺たちと同じあの大学だ。


「入って、知りましたよ。彼って大学内でも凄かったんですね。」

「そりゃあ、賢くてスポーツも出来て、行事にはちゃんと参加していたからね。」

「色々な伝説があちこちに転がっていて…。何も知らなかったんだな、って思い知らされて…。」


 そう言って瑠維が顔を下ろしたものだから、泣いているように見える。

 しかし、続けられた声にそのようすは一切ない。


「僕は彼の研究を受け継ぎました。」


 代わりに、危険な色があった。

 それならば、彼女が泣いていた方が良かったのにと思ったのは罪か。

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