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とある異変。
それに逸早く気がついたのは、本人ではなく医大生の彼だった。
『どうした』
『?』
『最近、ますます何も食べてねえみたい。』
檜が瑠維と初めて出会った時。あの時でさえ細かったのだが、今はその比ではない。
華奢を通り越しそうになっている。
『何が食べられる?』
『・・・食べる気になれない。』
『俺、もうちょっとふっくらした子が好きなんだけど。』
『…食べる。』
おそらく、檜と共に食事をしていないときは食べていないのだろう。
ただでさえ、食材が入っていない冷蔵庫の中が変わっていかないのはそれが原因。
久しぶりの休日なのだ。
普段は瑠維が作るのだが、今日は檜が調理場に立つ。瑠維の制止を振り切って。
『そこで大人しくしてろ。』
『わかった。』
とある異変。
それにまだ、本人は気付いていない。
『近いうちに病院にでも行け。』
『やだ、診てくれればいいじゃん。』
『嫌でも行って来い。』
そっぽむく瑠維だが、檜は強く言う。
『瑠維、お願いだから。』
その異変に、本人は気付かなければならない。