12/31
1-1-3
意味深な言葉を残して出て行った赤毛の少年。
その言葉の意味を反芻して考えるが、見つからない。
そこに扉が開けられる音。
「いらっしゃい。」
入ってきたのは、1人の女性客。
年齢は20代だろうか。品のある美しい子。
その手には大きな花束を抱えている。
「お久しぶりです。」
その言葉の意味が解らなかった。しかし、すぐに理解する。
彼女とは、この場で初めて会った。
それは13年も前の出来事。
彼女が此処に来る時は、決まっていつもある男と一緒だった。
「・・・本当に、久しぶりだね。綺麗になった。」
何年振りだ。
噂をすれば影、とは本当の様だ。
ならば、彼女の年齢はおのずと分かる。今、26歳だ。相変わらず、良い意味で年相応には見えない。
あの、腰まであった長い髪は肩でバッサリと切られていたせいで、俊介は一瞬誰だか解らなかった事は黙ってあの時と同じように名を呼ぶ。
「瑠維ちゃん。」
今日もあの時と同じように、何処か妖艶で幼い少女のように微笑んだ。