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『卒業、おめでとう。』
『ありがとう。』
もう、桜吹雪のかな行われた卒業式は一昨日に終わっていた。
なぜ日にちがたってからの言葉となったかと云うと、それは檜は相変わらず暇では無いから。
こうして2人が顔を合わせるのは久方ぶりだった。
『・・・やっと小学校を卒業か。何か欲しいものとかある?』
『……ッ、物じゃ、ないけど。・・・望み、なら、ある。』
少し黙った後、そうたどたどしく言いながら、顔を真っ赤にして口を噤む瑠維。
その意味が解らない檜。
『ま、とりあえずあるんだろ。出かけるぞ。』
どこへ、と聞かずとも行き先はわかっていた。
『うん』
何かあるたびに足を運んだ、行くと何時も席は空けられていた。
どんどん繁盛していく店。
忙しく接客をしていても店内に入った瞬間、一瞬だけでも視線を返してくる檜の親友。
そんな彼がいるあの店へ。