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③戦士ガイメッツァー//追悼

「―――――――――ッ!?」


――――ギイイィンッ!!

ガイメッツァーは、躊躇せずに聖剣で満身創痍の黒い戦士を攻撃しようとしたのだ。

それをスメディーはマイダスメッサーで受け止める。


「オヤジ! 何のつもりだッ!?」


挿絵(By みてみん)


「それはこっちのセリフだ! その男がどれだけのエルフィン族を! 連合の兵を! ヴァーレンハイトまで殺した人の皮を被った悪魔野郎なんだッ!! なんでそんなヤツを庇う!」

「ケッ、愛する男を守るのに理由が必要なのかい!」


「……血は争えんな……。お前は神君ハイウェルラインの血を引く、ダークエルフィンの正当な女王の血筋。やはり性根は魔王を裏切って、勇者に寝返った裏切り者のダークエルフィンだ!」


「じ、じいちゃんを殺したオヤジが言えたことかッ!」

「―――ッ!?」


ガイメッツァーは聖剣を見つめる。

戦友から預かった聖剣ソウルオブナイトを。




◆◆◆十余年前、レフガンディーの砦―――

 (ガイメッツァー一人称)

帝国将軍のひとり暗黒騎士アレフと俺は死闘を繰り広げていた。

互いの血飛沫を浴びて……。

「はぁはぁ……ヴァーレンハイトの敵だ! 命に代えてもテメェを殺す!」


レフガンディーの砦は連合軍の総攻撃で陥落は時間の問題だった。

派閥は関係なく、ローザリアとグランベルの総力戦。

そして10倍以上の戦力差で連合は帝国を追い詰める。


だが、連合の勝利など俺には関係なかった。

ヴァーレンハイトの赤い鎧を身に纏い、帝国の奴らを殺すためにレフガンディーに突撃したのだ。


相まみえたときに、アレフは既に苛烈な攻撃を受けて体力を大きく消耗していた。

イシュタル平原とは違い、レフガンディーの攻防は連合軍の圧勝であった。

後に「イシュタルで秘匿していた戦略がサイラ―ジュの時点でリークしていたのでは?」とシュターゼンは言う。


アレフの怪力は古のオーガの血筋である俺の腕力を凌駕していた。

ドラゴンスレイヤーの重さは戦斧の比ではなかったのだ。

重装兵を甲冑ごと薙ぎ払う、その怪力とあの大剣なら、ドラゴンと戦うというのも頷ける。

もちろん、一対一というのは不可能だろうが、今思えば、この男ならやりかねない。


しかし、多勢に無勢。

部下の放つ矢がアレフの肩に突き刺さり、ヤツの動きに精彩さがなくなった。

俺は渾身の一撃で黒い戦士を大剣ごと、弾き飛ばす。

大剣を離さなかったものの、ヤツはとうとう倒れる。

――――――勝った!


ゴールデンアックスを黒い戦士に振り落としたとき――――


――――――ッ!?

黒い影がヤツの前に現れた。


「うぎゃああぁぁぁぁぁっ」

そして、黒い戦士の断末魔ではなかった。


「ベスッ!!」


挿絵(By みてみん)


「き、貴様……女を盾に……っ」

黒い戦士を守るために飛び込んできた女魔導師。

もちろん、ヤツが盾にしたのではない。

俺はわかってはいたが、どうしても言葉にしてしまった。


連合にも女兵士はいるが、前線には投入しない。

帝国は女魔導師を最前線で使う

だが、瞬時に俺は力を緩めていた。

即死ではない。

それでも致命的な一撃には変わりはなく、魔導師ベスの命の灯は風前の灯であったであろう。



挿絵(By みてみん)

「アレフッ!! レフガンディーは陥ちる。退却するぞ!」

そこに現れる魔導師風のふたりがアレフとベスを庇うよに前に出る。


「連合の将よ! 私の名はギメル……この恨み、帝都で決着をつける!」

魔導師風の男はギメルと名乗り、ワープの術で姿を消した。

ギメル……3番目。

魔導師は恐ろしい存在だ。

しかし、戦争は地上戦だ。

その魔力は長期戦になれば、底をつく。



◆◆◆

――――そして、黒い戦士と王城戦で会うことはなかった。

ただ、王の間まで攻め込んだナーシェルは皇帝を追い詰めたが、激戦の末に戦死したと聞いた。


誰があのアスガルド最強の竜騎士を倒したのか?

俺はその報を聞いて驚愕したのを覚えている。


王の間で同じく戦闘を経験したノワールハイム王の話ではベスという魔導師の魔剣に貫かれたという。

しかし合点がいかなかった。

ベスは重傷を負っていた。

死んでもおかしくはないほどの……。

それに魔導師であるのに剣と言うのも違和感がある。

グングニルを持つナーシェルを剣で倒せる者がいるのか?


そんなヤツは悪魔王(マジンオウ)ぐらいだ。



そして、連合が勝利し、大戦は終結した。

皇帝はレオンに討たれ、追い詰めたナーシェルを人々は勇者と称えた。

皇剣エクスカリバーと光の魔法ナラティブを持つ皇帝とナーシェルは戦ったのだ。


だが、大戦後にローザリア地方にある地下迷宮の魔王がアスガルドに対して宣戦布告した。

その魔王の名はベス。

俺は耳を疑う。


その魔王をローザリア王となったブランシュバイクが倒したと知らされるが、ブランシュバイクごときが魔王を倒せるはずはない。

シュターゼンより、帝国と暗黒教団は劣勢になり、ベスに降魔の儀を行い、魔神ネメシスを降臨させようとしたと聞いた。

瀕死になったベスを利用したのだ。

そして、そのイノセンスとなったベスを倒したのはアレフ、ギメル、ダレス、ザインの4名。

ナーシェルが言っていた魔人たち。





挿絵(By みてみん)

「殺すなら、私も一緒に殺せ!」

そう言って娘はアレフを泣きながら抱きしめる。



この男に名前はない……。

ただ、俺は知っている。

この剣の名がドラゴンスレイヤーだってことを。

そしてドラゴンに挑む、この男がドラゴンスレイヤーと呼ばれていることを。












聖剣が手から落ちる。

地面に突き刺さった。

聖剣はあの大戦で散った友の墓標のように見えた。


そして、魔素が消え、砂漠の大地に残る大剣と戦斧。

互いに支え合って大地に刺さるその姿は、まるで生還した戦友らが再会を喜びあうように。


挿絵(By みてみん)

「戦場じゃないどこかで出会っていたら……」



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