009
学校に戻って逸見先生に報告。
さっそく明日から作業に入る事も伝えて、中学校の掃除道具を借りる約束もした。
帰ってから全校生徒のリストから住所を確認。
これは小学校の時点で作成済みで、当時の高校3年生から、現在の小学校1年生までのこの町の全生徒の住所をリスト化してある。
昔の件で住所が分からなかったせいで、やりたいことが出来なかった反省から、各学校の職員室に虫を送って生まれたリストだ。
虫の情報網を使って住所の近くを探すと、件の2人の家はすぐに見つかる。
さっそく覗くと、内田君の家では内田君らしき人物が女の子を部屋に上げて、イチャイチャしている。
そして原田さん宅には、原田さんらしき女子が部屋にいた。
おっと、これはいきなり浮気の状況か?
とりあえず顔が分からないから何も出来ない。
原田さん宅の子が姉妹だったら大変だ。
内田君と相手の女子、原田さんの3人に虫のマークと、細かいアラーム発報条件の指令を設定して、ハエを中心に指令を発布する。
とりあえず今日はここまで。
翌日、学校に来てから、内田君と原田さんの顔を確認。
昨日の内田君の家に来ていた人は、地元の高校の一年生だった。
放課後はビオトープの大掃除だ。
学校から掃除道具を借りて、小学校の道具小屋の鍵も借りられて、必要な道具はそろったので、とにかく掃除。
予め小さい虫類は逃がしておいた。
ムカデとか出ると女子には厳しいかも知れないし。
3人で雑談しながら作業は進む。
もっとかかるかと思ったけど、本気で作業する人が3人もいるとグングン進むな。
明日か明後日には掃除を完了させられそう。
この時に同時に低学年用のプールも掃除、両方とも日干ししてからプールは雨水が貯まるのを待つ。
今日の部活時間が終わって、学校から帰ろうとして居る頃に、虫からのアラームが来る。
内田君が昨日の女子とも、また違う女子と会っているのが分かる。
その女子にもアラームを設定して様子見。
原田さんとは会ってない?まあ、まだ分からんな。
3日丸々かかったけど、掃除が終わる。
その後の収集は3人それぞれが分野毎にリーダーになって、その指揮下に残りの2人が入る形にする。
後でする研究発表の時にそれぞれが纏める内容の下地だ。
昌さんが魚・甲殻類班、美琴さんは水草・草班、僕は虫・両生類・爬虫類だ。
自然に集まってくるそれらも取り込むけど、基本的に最初にある程度の数は集める。
自分の担当の生き物のどの種類を集めるかを調べて、集め方を調べて、その方法を他の人に伝授するノウハウを調べる事を、翌日の部活の時間にやろうと思って2人に言う。
だが、2人が時間がもったいないから、家での宿題にしようって逆に言われる。
基本的に集める種類は、元々僕が去年作ったリストに詳細が書いてある。
本当にそれで問題がないかの確認と、収集方法を見つける部分が課題だ。
もちろん大喜びで了承。2人がやる気を出してくれると嬉しい。
その後、ビオトープは順調に進む。
池も水槽も1/3位は陸地を作り、その中間に川から拾ってきた小石のエリアを作る。
基本は自然のミニチュアだ。
砂利よりも小さい粒径の小石の運搬が、全作業で一番の重労働だったかも。
虫の探索で超小粒の小石をピンポイントで探せたから時間はかからなかったが、本来なら探索だけで数週間かかった案件だったはずだ。
更にビオトープの外に盛り土で土エリアを作る。
本当は木が生えて伸びて小規模でもいいから林が出来れば最高だけど、さすがにそんなすぐに事は進まない。
理想を言うと、やっぱり流れ水ならなぁ。
水草や草を探して移植したり、着手してから3週間程度でビオトープの完成。
ミナミヌマエビとミナミメダカを近くの沼や池から採取して低学年用プールに放す。
浮草も入れて、ここはバックアップ用の池として活用する予定だ。
メダカは遺伝子汚染が起こらないように、虫に選別させた上で、地元の在来種のみを集めている。
虫の目を通せば個体の少しの差異も簡単にわかる。
在来種を集めて僕たちの構えるタモ網に誘導するのも簡単だ。
どの池に居るかも、獲る時のサポートも、ここは水生昆虫や甲殻類がフル稼働だ。
2人は余りにも簡単にエビもメダカも採れる事に驚いている。
後はメインに入れる多種多様な生き物を探す作業に入る。
一方、内田君の行動パターンは把握出来た。
原田さんと会うのは3日に1回、その他の女子2人とサイクルで会っている。
更に日曜日に会う高校生がいて、関係しているのは4人。
モテる人ってこういう生活なのか?。
女子4人の内訳は高校1年生2人と中学3年生2人。
更には4人中3人の平日に会う子は状況を把握していて、その事で悩んでいるけど我慢している。
週末に会う高校生が内田君の本命っぽい。
その子だけは他の子と明らかに扱いが違うし、肉体関係も無い。
デートというかのんびり遊びに出かけているだけの関係に見えるが、内田君の態度や服装など、何もかも違う。
内田君の家は両親の帰宅が遅く、女子を呼び込めるのは平日の部活後から21時くらいまで。
その時間にサイクルで女子が来るのだが、内田君の都合でドタキャンされる事も多い。
他の女子は家でボーっとしながら時計ばっかり見ているか、時々泣いている。
それでも自分の番の日にはウキウキで出かけるんだから、この案件では僕の出番は全く無さそうだ。
とりあえず、関係者へのそれまでのアラームを解除して、監視のみを続行。
かなりの異常事態のみのアラームという指令だけ残す。
ビオトープは土と草がやっと落ち着いてきた。
雨水と高さの調整用に入れた水道水で、適正水位まで一度に持って行き、水中に大量のバクテリアを移住させる。
ビオトープの土から出るアンモニアは、虫で発生を促進させた上で微生物で分解してアオコの発生を封じて、更にヌマエビを先行投入させて藻の発生も適正以下に抑える。
水生昆虫をはじめとする小さい微生物などを、完全に適正を超える量を集中させて、一度完全な浄化状態まで移行させる。
一旦浄化状態での安定を得られれば、後は投入する生き物に合わせて微生物の量を増減し、また必要な栄養や浄化を行える虫を投入するだけだ。
色々虫の力でチート状態にしているし、低学年プールもチートしまくりだ。
メダカはボウフラを食べるから、早くから活動している蚊の出産を低学年用プールで促し、メダカの数はすでに採取した時の3倍以上になっている。
エビも苔を食べて増えている。




