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中学に入って生物部を創った。いや、復活させた。



部誌のアーカイブを見る限り、20年ほど前に数年間の活動があったみたいで、その前は40年前だ。

20年単位で3~5年の復活があるらしい。オリンピック?ハレー彗星?


1年生の時に、僕だけが会員の同好会として学校に開始届けというのを提出した。

その当時は部活に入る事がうちの中学では義務化されており、それを逃れるには塾に通っている証明が必要だった。

部室は理科準備室。昔もそうだったらしい。


生物学に進むのにも勉強は必要だったから、塾に通っても良かったけど、一人でやりたい事が余りにも多かった僕は、部活の時間をデータ整理に使いたくて、誰も入らない予想の元に同好会を作った。


3年間で小さいビオトープを作れば対外的には十分かな?

学校と交渉してビオトープの土地を使わせて貰えなければ、何か昆虫の飼育記録でも作ろう。

と思って、学校側に話をしたら同好会に使わせる土地はねぇってなもんで、大人しく一年間、水生昆虫数種類の飼育日記を作成。

虫の身体に不調がないかは入れば分かるから、飼育失敗にならないのが欠点。

でも死んでほしくないし・・・



問題は2年に上がった時に起こった。

なんと同好会に入会希望者が来てしまった。

しかも2人。これでは部に昇格してしまう。

こんな展開は求めていない。

困った・・・

困ったとて追い返すワケにもいかない。

改めて生物部として活動開始。

当然に僕が部長になってしまう。


新しく入ったのは新入生の女子、呉美琴くれ みことさん。

背が低くて新入生にすら見えない。

肩までの髪で、顔が整っている上に小顔だからかなりの美少女だ。

でも小さすぎて小学生の4~5年生にしか見えない。

前髪に少し癖っ毛があるのがチャームポイントだな。

話し方が丁寧で大人っぽい雰囲気を出しているから、良い家の子なのかと思ったら、小さく見られるのが嫌で大人っぽい所作を意識しているって。


もう一人はなんと同級生の女子、高島昌たかしま あきらさんだ。

高島さんはボーイッシュなスラっとしたスタイルで僕と同じくらいの身長だ。

せっかくのストレートの綺麗な髪もベリーショートでかなり短い。

顔は綺麗系かな。

美琴さんに比べると落ちるけど、方向性が違うから比べるものでもない気がする。

明るいし砕けているけど、自頭が良さそう。

昌さんは元はソフトボール部だったスポーツ系なのに、何やら事情があって転部する事にしたらしい。

なぜにそこで生物同好会を狙ったのかが不明。


1年の美琴さんは、家でペットが飼えないので、学校でウサギを飼いたいという理由だった。


去年一年で作った資料は、僕の昆虫による研究結果だ。

暗号化しているから僕以外が見ても意味は分からないが、使われている数字が莫大な数で、さらに項目がビッチリ分かれている。

中身が何か分からなくても、ふざけて作れるものじゃない事は分かってしまう。


しまった。一年間、水生昆虫飼っていただけって話にしようか・・・

何もしていなかった事にしないと、辻褄が合わない。

水生生物のデータだけ別の表にして、誰が見ても不自然じゃないデータを作る?

うーむ。


4月になって急に2人が入るのが分かった(当然だ)から、何も準備していなかった。

同好会からの顧問の逸見先生(45歳・男性・理科教師)に、ずっとパソコンに打ち込んでいる姿を何度か見られているし、余計な事言われたら破綻しちゃうなー

しかもパソコンに入力する時間を別で取らないといけないな・・・


うーん、困った。

とりあえず、水生昆虫を飼っていただけ路線で進めてみる。

パソコンへの入力を全くしなくなった僕を、先生が怪訝な顔で見ていたが、何も言ってこなかった。

とりあえずセーフ。


部に昇格したことで部費が出る。

まずは3人それぞれがやりたい事を話し合う。

「では、改めまして。第一回生物部会議を開催しま~す」

「わ~どんどんぱふぱふ~」

「昌さん、棒読みありがとう」

「いえいえ~」

「三人がやりたい事を各自発表して貰います。実現するまでにどの位の費用と物が必要かを調査してくるという宿題は出来ましたか?」

「はい!」「・・・・・・」

「あれ?昌さん!?」

「あはは・・・あたし、部長のに一票!」

「まだ発表もしてないよ!3人で1人がそれやったら決まっちゃうよ!会議終わっちゃうよ!」

「あははは・・・それもそっか・・・」

「どうしたの?本当にやりたい事見つからなかった?」

「うーうん・・・2人のやつ先に聞かせて貰っていい?」

「え・・・まあ・・・いいけど・・・美琴さんもそれでいい?」

「あ、はい。大丈夫です」


「じゃあ、美琴さんから教えて」

「はい、私は前から言ってたウサギを飼うなんですけど・・・これ、実現不可能だって分かりました」

「「えええええ?なんで!?」」

「えーとですね・・・普通にウサギを飼おうとすると、エサ代だけで月に3,000円以上かかって、それ以外にケージとかの初期費用が20,000円くらいかかります。それにウサギ本体が安くても5,000円とか?9,000円とか?」

「ええええ?そんなに金かかるの!?それはとても無理だなぁ・・・」

「ですよねー」


「うーん・・・初期費用ってケージの他は?」

「えーと・・・水入れ・食器・トイレ・トイレ砂・ウサギのハウス・・・とかですね」

「うーん、うーん・・・ハウスとケージは自分たちで作れるけど、エサ代は・・・自分たちでどうにか出来る方法とかある?」

「エサが一番どうにもならないです。チモシーっていう牧草の乾いた奴が無いと歯が伸びちゃって大変なんですけど、この牧草が普通ではペットショップでしか手に入らないんです・・・だから、エサ代は減らせません」

「うわーマジか・・・エサ代だけで部費を余裕でオーバーだね」

「はい、しかも、ウサギの寿命を考えると、後輩を必ず入れて世話を焼く人が10年以上必要になるし・・・そうなると毎年の部費が全部ウサギに消えるウサギ部になります・・・」


「美琴さん・・・ゴメン・・・それは不可能だね・・・」

「はい、自分で調べて分かりました。だから大丈夫です」

「そっかーモルモットとかハムスターなら実現できそうじゃない?」

昌さんが代替案を出してくれる。

「あーそれも考えたんですけど、ウサギが好きなだけで、ネズミはそんなに好きじゃないんです・・・」

「「そっかー」」



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