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004


翌日の学校は大騒ぎだった。

長瀬家の騒ぎは近所に住む生徒によって広まっており、高須君の騒ぎは小さい事になってしまった。


生徒の動揺が凄い事や、実際に昨日事件があったことを報告するために全校集会が開かれる。

全貌が伝わる前に、イジメっ子グループの残り4人を蚊に襲わせる。

昨晩みたいに真っ黒なんて程じゃないけど、定期的に男女の区別なく、乳首や性器を狙って指すように指示した。

昨日も長瀬家に同じ場所を襲わせたが、性的な目的ではない、痒み攻撃の単なる効率だ。


小6なんて羞恥心も強い年ごろなのに、4人とも全校生徒の前で、股間や乳首を自分で掻いている。

周りはすでに噂も回って、怖がって輪になって逃げているから全方位から見られている。

少しでも隙があれば、すかさず何度も刺した。

イエダニも呼び寄せて、蚊の飛ぶ音に過剰反応するそいつらの局部を刺させた。

強烈な痛みとかゆみで我慢が出来ずに大声で暴れている。

先生が救助しようとしたが、長瀬家の話とリンクする状況の気持ち悪さに手が出せないで躊躇している。


イジメグループのそいつらは嫌われ者でもあった。

嫌われ度では長瀬以上の、いつも誰にでも威張っていたゴリエというあだ名の女子が、散々刺されて掻いて敏感になっていた局部を、ダニ数匹に同時に刺されて失禁したのを切っ掛けに、全校生徒が笑い出す。

4人は嘲笑の的になって走って逃げだし、そのまま早退した。


4人の家が分からなかったから昨日は何も出来なかったけど、これで家が分かったから、各自の家を襲撃。

車のタイヤを一つだけ穴を開けて、道路から一番見える外壁に穴を開けさせる。

4人の乳首と性器は常に蚊やダニに刺されて腫れあがっている。

寝ている間に何度も刺されて、アレルギー反応は重篤化し、睡眠下でも無意識で掻きすぎて皮膚が何度も裂けて血まみれのグチャグチャだ。


家中が殺虫スプレーの匂いでモクモクしていて、それぞれの両親が発狂している。

いくら殺虫スプレーを巻いても、壁に穴が開いているから侵入し放題だし、直撃を食らう前に逃げ出す。穴を塞いでも別の場所に穴を開ける。


イジメをするような子供を作った両親にも罪はある。

親権者に責任を取らせない考えは、最初から無かった。

両親の瞼などを寝ている間に蚊に刺させる。

イジメっ子の兄妹には手を出さなかったが、メッセージは伝わっただろう。

その状態を一週間以上続ける。

最初はタイヤ交換をしていた両親も諦めて徒歩で移動していた。


少し時間が経ったおかげで、長瀬の祖父母2組と実の母親の、人となりが分かったので、この5人に対する攻撃も開始した。

この時は初回という事もあり、与える罰の大きさがまちまちだった。

とりあえず、イジメっ子4人の半分程度の頻度で、同じ罰を与える。


この長期に渡る制裁の過程で、一度虫が行った場所であれば、現地に居なくても、その場所を起点に数百mの範囲で、虫へ入ったり指令を出せる能力が身に付く。

必要性を感じるとどんどん能力は応える。


イジメっ子4人の話は近所では有名になる。

先日の長瀬家の騒ぎと結び付けられ、イジメをした祟り的な話題になる。

親たちも我が子がしでかした事が原因では、誰にも文句を言えなかったらしい。

保健所や警察を呼んだり、ホームセンターから大量の殺虫剤を買ったりして対処していたが、人間の知恵で虫の襲撃のタイミングをずらすだけで無効化できる。

何度、燻蒸剤を使っても新たに虫は入ってくるのだ、意味は無い。

忌避剤を身に着けても、防虫液をそのまま塗っても、本能では無く指令によって攻撃する虫には意味が無い。


外に出ると襲われる中、やっとの思いで子供たちを病院に連れて行くが、傷薬を貰う以外に方法がない。

なにせ対症療法以外ないから。

皮膚麻酔で常時麻痺させるわけにもいかず、原因は常に更新される。

すぐに新しく蚊に刺され、自分で掻いて自傷する人間に方法はない。

掻く手を縛ったら痒さで気が触れるだろう。


高須君に変な噂がつかないように、5カ所の加害者宅の周りに少し多めに蚊を配置。

今年は蚊に刺されるって噂が立つ程度に被害を出せておいて、自然さを少しでも装う。


4人は学校を休んでいた。

両親共々まともに寝られず、本人達の乳首や性器は掻き過ぎた傷が元で変形してしまったらしい。


大きいガーゼパッドなどでガードしていたけど、別に局所に固執しているワケでもないから、境目に刺せばいいだけ。

布団にくるまればダニに刺され、外せば蚊に刺され、風呂場で水に浸って逃れる方法が鎮痛にも一番効果があったみたいだが、ずっと入っているわけにもいかない。

水でふやけた傷が浸透圧で組織がボロボロになる上に、傷は治らないで一気に悪化する。

柔らかくなった手のひらや足の裏を刺されると地獄だ。湯船で寝ると顔を襲われる。

脱衣の時に全身を襲われる。逃げ場はない。


まだ暑い9月に傷薬や汗や浸出液でグチャグチャの状態が続き、アレルギー反応が重篤化したのか、胸は全体が、局部は太ももや下腹部も尻も、周りの皮膚が赤や紫色になってボロボロになっている。

そのエリアも蚊やダニに刺させる。絶対に容赦はしない。

傷で浸出液が出まくっている状態で、追加で刺されて痒みを我慢できる人間がいるはずがない。


女の子2人は乳首や局部の変形や着色が戻らないことで、将来的にも終わった事を理解して、人が変わったように暗くふさぎ込んでいる。

4家族共に町をひっそりと出て行った。

一応引っ越し先だけ把握して、追撃は勘弁する。




学校に平和が戻って、虫を殺してしまった事で能力を取り上げられるかと思ったけど、全くそんな事は無かった。



ちなみにこの件は僕の初陣でもあったが、後々の課題を大量に残した。


まず、罪に対する罰の大きさの不均等の問題。

思い出しても、罰の一律化という概念すら無かった。

急に始まった事だったとはいえ、その場の思い付きで罰の大きさを決めていたから、まったくチグハグだった。

問題行動を起こす人間の責任を、親族のどこまで訴求するかという問題は、途中何度も決定して、また更新してを繰り返して、結局高校生になるまで引きずる事になった。

今でも後悔の種だ。


直接的すぎる超常現象は、周りの人に『原因を知って安心したい』という強い欲求を湧かせる。

この事は強く心に刻んで、あらかじめ対処を考えなければダメだと思った。

この件では高須君はその後イジメられることはなくなったが、怖がられて周囲に人がいなくなり、中学でも友達が限られるという弊害を齎し、彼は学力を上げて、県庁所在地の上位の高校へ進学することで地元から逃れた。





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