表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/24

023



かつての大国の残党が破れかぶれで、崩壊当時の政府高官ですら選ばなかった、核兵器による攻撃計画を本格的に進めだした。

現代での核兵器の使用は、自らの完全な破滅になることが分からないほどに、人材は残っていない。

進退窮まった残り2国の残党も付随した。

滅亡が目の前に見えて、窮鼠が猫を噛もうとしたが、全ては僕の監視下だ。


3国の内の2国が所有していた、今では遺物のシステムで運行された核兵器は、瞬時に警戒していた全世界からの反撃に合い、発射シグナルの発信と同時に、発射地点で全て無力化された。


後に日本好感度オリンピックとも揶揄されたこの戦争。

元から好感度の奪い合い競技に出遅れたために、必死になっていた一部のアフリカや中東の国々は、今までで最大の戦果を得られる、未曾有のチャンスの到来に奮い立った。

それらの国の白熱した軍部の過激派により派遣された各国の精鋭の特殊部隊によって、リーダー格はもちろん知識層まですべて抹殺された。

核兵器を使ったことで本気で世界を怒らせた3国は、小規模の都市部や田舎の集会所レベルでさえ、爆撃を受けていない場所が完全に無いという記録を作って敗北した。


そもそも戦争に参加して、少しでもアピールしたい国々の数が多すぎた。

一部の国経由で届く不思議なタレコミによって、正確な攻撃場所が示されたせいで、全ての参加勢力が有効な攻撃が出来てしまった事で、競争が激化したと後に分析された。


各国首都だった場所は、これまでの歴史で全くそんな過去が無かったのに、急に親日国だと言い出した例の北の大国が持つ、最新の軌道光学兵器の実験場となって消滅した。

消滅以外の表現方法が見つからない。

元からの親日国だと声高に叫ぶ新大陸の大国も、対抗するように光学兵器を使って、主要な都市はほぼ全て消滅した。

核兵器使用から30分以内での決着だった。


もちろん僕も、手を拱いてはいなかった。

たとえ核兵器が飛んで来ていたとしても、発射前から不発なのは当然だし、リーダー連中の居場所が正確に分かったタレコミも、もちろん僕だ。


戦後の3国は最貧国どころか、原始時代のようなレベルまで落ちた。

数人程度の集まりが各地の廃墟などで生活し、服すらまともに作れず寒波と飢えで人口は合わせて数万人程度まで減った。

それでも妄執のように日本への復讐だけを誓い、目をギラギラさせていると報道され、海外のメディアが取材に行けば、相手を確かめもせずにこん棒などで攻撃を仕掛けてくる。

それらの姿が報道され完全に見放された。



この戦いは参加国が過去最多で130国を超えた。

実質、全世界が参加したために、第三次世界大戦と名付けられてしまった。

これは世界の失笑を買う。


この戦争が後に齎したものとして、日本の情報収集能力の、破格の高さへの恐怖が上げられる。

不思議なタレコミが日本から送られた物であることは、すぐに世界中の軍事関係者に知れ渡る。

何個かの国を経由していたが、全てが古くからの親日国で、それらの国に聞けば当然日本からだと答える。

いや聞かなくても誰でも分かった。


この時代にはミサイルはAI搭載のドローンと一体化しており、着弾精度は誤差数センチ、狙った場所へ狙った角度からの攻撃、同時に多方面からの着弾、迎撃システムをかいくぐるのは当然というレベルまで上がっており、建物やシェルターで防ぐという手法は、放棄された防衛手段と化していた。

主要な指揮官や指揮所・軍事施設の場所を隠す事で、敵の攻撃から逃れるのが主流であり、隠蔽技術と暴露技術こそが戦争の胆となっている時代だった。


各国の軍隊どころか、テログループすらミサイル等の攻撃手段は持っているが、どこを狙えば良いか分からないから、国力の弱い所は戦えない。

その弱国に今回は攻撃すべき場所が正確に示されたから、競争化してしまった面がある。

軍事力=情報収集能力という時代において、相手国の主要なメンバー1人1人がどこに隠れているかを、数万カ所同時にリアルタイムで報告し続ける。

各国からすれば、やり方すら想像できない未知の情報収集能力は、もし日本と戦う事になった場合に、対抗手段が全くない事を知らしめた。

軍事に於いて対抗手段が無いものが、たった一つでもあれば、それは軍事衝突=壊滅的な敗北を意味する。

それを最大の注力をすべき、情報収集能力で行われたのだ。


更には日本から遠い国からは、経由しただけの親日国も、同様の手段を持っていると思われた。

日本に味方をすれば勝ち組、しなければ終わりという認識は加速する。



全滅間近の時に、一部の人権活動家がこれは民族浄化だと騒いだが、国連の人道支援も動かない。

日本の機嫌を損ねる国連の決定など、どの国も欲していなし、人道主義だけを声高に叫んで状況が読めない活動家など、どの国でも生きていけない。


僕個人は最も極端な事を言う人は、左右どちらにも必要だと思っている。

その意見が、人の意識を先に進めると思っているからだ。

だが、世界の同調圧力の強さの前では致し方ない。

遥か先の未来に必要になった時に残るように、思想や言葉を文字で残しておいて欲しいとは思ったが、何も手は打たなかった。


実際に国が生まれ変われるチャンスが目の前にあり、成功する国が多数生まれる状況。

どの指導者も、いかに自分のおかげで日本に気に入られたかを国内に喧伝し、国を成功に導いた人物として、未来永劫語り継がれる自分を夢想している。

夢物語ではない実現が可能な歴史的成功という、甘美な果実の魅力に抗う事など誰も出来なかった。

そのような状況で、自分の国の中に反対派がいる事は許容できなかった。

成功した国の指導者は、自分の功績が失われる事を何より畏れたので、行先を失った色々な活動家や様々なグループは、どこかの未開地を含む国に亡命し、そのまま消息を絶った。



僕が実際に手を下した人数に、滅んだ3国の人口や各国の犯罪組織や、このように消えていった人の人数も合わせれば、間違いなく史上最大の虐殺者だろう。

増やした数も220億人以上だが、15億人位は死んだはずだ。

だが、どんな能力であれ、人が本来持ちえないチート能力が一つでもあれば、覚悟さえあればこれは誰にも実行可能なのだ。

たまたま今回、能力を得た僕が苛烈に実現したから、増減の数が多かったに過ぎない。

地球を変えるために、僕の頭脳で思いつく限りはやったという感想だ。

最近は、もっと発想が豊かな人物が、何等かの能力を手に入れたらどうだっただろうと、良く夢想する。



3つの国が完全に消滅した後に、ぽっかり空いた広大な土地。

この広大な場所を、日本の統治下に入れるという案が、全世界一致で挙げられた。


日本政府から、この土地をどうすべきかの打診を受けた。

実際の功労者である、僕の意見を最大限に優先するという。

レアアースが大量にあるので、そこは考慮して欲しいとお願いされる。


色々考えた末に日本が所有し、国連が管理する、完全自然保護区とした。

そして、日本を含めた全ての人類の立ち入りを、永遠に禁止した。


レアアースは封印させて貰う。

二次使用の未回収率が高い現代で、僕らの世代だけで消費しきって良い訳がない。

日本政府は僕には逆らえない。

この繁栄の理由を誰より知っているし、僕を失えないのは何より政府だ。


各国がすり寄ってきた頃に、対外的な体面を重視して、日本に対して友好的な国にも非友好的な国にも、同じような態度を取ろうとする日本政府に対して、僕の怒りが爆発して協力を拒んだ事がある。

すでに僕の能力による対外戦略が組み込まれた政府は、一瞬で音を上げた経緯があるのだ。


僕の能力を介さなければ何も出来ない事は、僕の研究所を含めて、各所の研究所で調べられた事だ。

僕が正常に意識を覚醒した状態でなければ、能力は発動しない。

僕の廃人化・薬による隷属化などを画策した部署もあるみたいだが、それらは危険が無い限りスルーした。

手は出せないし、僕に協力して貰わないと日本の繁栄は終わる。

余りにも上昇しすぎた日本の国威に、終わる事を恐怖する政治家や役人だらけだ。


真上の北の大国を始めとした隣接国家には水を人質に、保護区への手出しや密入国禁止の厳格化を課す。

僕の昆虫監視網を全土に敷設しているので、密猟者などは完全に排除している。

海岸線も国境線も解放してあるが、その地に入れば虫の総攻撃を食らって必ず全滅する。

もしドローンや完全な装甲兵器を作って何かをしようとしても、それらが帰還した場所から辿られて、必ずその国が無差別に被害を受ける。

そもそもどんなに装甲を厚くしても顔ダニのように人体に寄生する虫もいるし、どれだけ遠隔でドローンを飛ばしても、その出発する基地の回りの虫を全部排除するなど不可能なのだ。

海中ですら甲殻類のおかげで抜け目が無い。


それなのにレアアースがどうしても欲しかった、真上の大国が軍の極秘部隊を使って、わざわざピエロになってくれたおかげで、手を出すとどうなるかという危険性を、世界中に実演してくれた。


真上の大国はそれまでせっかく日本に擦り寄り、江戸時代後期の頃からちょこちょこ仕出かしていた過去の罪を逐一謝罪し、不法占拠していた島を返還して、3国滅亡の際も他の国家事業よりも封じ込めに注力するような努力までしていた。

歴史的に日本から嫌われていた状況を改善し、やっと国力が向上した経緯がある。


馬鹿な一部の上層部が色気を出したせいで御破算になった事で、国民の怒りが爆発。

クーデターの末に国体が一新され、政治形態まで本格的な民主資本主義に変わった。

新しい国家として再スタートし、日本にすかさず最大限の謝罪を行ったので、今では昆虫による直接被害は無い。


ただし恩恵も一切無いし、今後も日本に対する貢献に対して、他国の1/10程度のレートでしか与えるつもりはないから、ペナルティとして使い物にならなくなった農地もすぐには回復しない。

滅んだ3国の土壌に大量にあった有害物質が、誰も気づかない内にいつの間にか撒かれた土地が、自浄作用で戻るのは数世紀は先だろう。

当分国力は回復しないだろうし、他の国々にも負け続けるだろうけど自業自得だ。

その状況でも日本にすり寄り、頼らなければ国民生活が成り立たないほどに、全世界の次の嫌われ者となっている。

日本への敵対行動を取れば世界中から排除される、それを逃れるには、必死に日本に貢献して親日アピールを行い続けるしかない。

革命が行われなければ第二・第三の手を考えていたが、それを発動させなかった処に情けを感じて欲しい。


そこまで甘くはない事は世界中がすでに知っている。


この件で、世界中で国民による政府監視の目は、今までと比較にならない厳しさになった。

単なる一市民だったから政府の暴走に気付かなかった、なんていう戯言は一切通用しない。

それが共通認識になった。


保護区は何処も手を出さない場所になった。


保護区内で、今は亡国となった連中に、無秩序に建てられた建物や道路網などの人造物は、すでに僕の指令でゆっくりと自然に帰ろうとしている。

今は全土が緑に覆われつつある。

歴史的な遺産は土で固めて、未来へと遺すこととした。


他国の絶滅危惧種などの動植物を移住させる計画が出る。

元の自然がそのままに残っているエリアは、そのままに地域の自然に任せる事にした。

元の自然と呼べるほどの自然が残らなかった都市エリアの中から、お互いに大きく離れた数点だけピックアップして、世界中の大陸別、地域別の昆虫の居住エリアを作る。

遺伝子汚染などは不安だが、永年指令で居住エリアを守らせた。

指令が無効にならなければ大丈夫だろう。


同じく絶滅危惧種の動物や植物を移住させて、人間以外のユートピアを作りたいが、僕の能力の及ばない生き物は、一歩間違えれば危険な試みになる。

だが、最低でも昆虫や虫達のユートピアだけは確保しよう。

これでやっと・・・


元からの地域の、白黒のあれとか一部の虎などを含む希少種や固有種は、虫で監視して繁栄するように、特別に保護している。


僕の老後の趣味にするつもりだ。


特定の国と思われる表記が有りますが、現実の世界とは関係ありません。

完全なフィクションです。

作者が、もし世の中がこうなったら、各国はこう動くだろうという空想で書いています。

抗議等を頂く事は結構ですが、反応しませんので悪しからず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ